Center:実感なき搾取の構造(1)
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2012年4月22日 (日) 00:30時点における版
4-4実感なき搾取の構造①
〔2010年06発10日〕
4章の4「実感なき搾取の構造」に入ります。
ウィキぺディアへの記載者はT=、私の感想・意見はM=の形にして分けています。
M=4章のこの節は、名前からして無理をしていると感じます。
よほど深い分析力でもないと、“実感のない”人間関係の現象を描き出すことは難しいのですが、何かをつかみ出して教えてくれるのでしょうか。
T=フリースペースとの境目が曖昧なワークスペースでは、
「不登校・引きこもりの支援団体などの情報提供をするウェブページを通所者が分担して作成している」が、これは「仕事体験」という名目であるのと、同センターの財政基盤の弱さ・生産性の低さの問題から、通常のIT企業におけるホームページ制作に比べて作業賃は極めて低額である。
いっぽうで、同センターの性格上、ページの内容は正確でなければならない。
つまり「仕事体験」と称して、引きこもり経験者支援の名のもとに不当に低い待遇での労働が行われているとも解釈できる。
M=(1)通常のIT企業におけるホームページ制作」との比較は恐縮の至りです。
私の理解と対処のしかたを紹介します。
「私の見るところでは、この生産性は、(1)仕事の速度の遅さ、(2)休憩時間の多さによって低くなるのですが、最大の要因は(3)自分での臨機応変の判断を避ける傾向によってより重大な影響を受けるのです。
ただ全員が平均してそうなるわけでもなく、個人差は相当に開きがあります。」
『ひきコミ』(2005年10月号=第25号)の「ワークスペースの向上をめざして」に掲載。
M=同じ文はウェブサイトの「引きこもりからの仕事おこし(1)」=五十田猛エッセイ四行論に引用しました。
そのうえで、次のように続けています。
「この労働生産性の評価は私個人のもので、公式の判断を得ているわけではありません。
ですからこれに固執する気はありません。
しかしそれでも一般の非熟練労働と比べてもかなり低い、それでいて心身障害者に認められる程とは違う労働生産性に根ざした、労働過程(それは同時に、引きこもり経験者にとっての対人関係づくりの過程、社会性習得の過程でもあります)を容認・促進する法律的条件が必要なのだと思います。」
M=(2)意味するところは“搾取”などが問題になる生産関係ではなく、対人関係づくり・社会性習得の過程、修行の場であるという意味です。
その場づくりにウェブページ制作というワークが入るのです。
ワークスペースとはフリースペースの一種、フリースペースの実現のしかたであり、その延長です。
境界はありません。
しかし、作業費を支払います。
一般の労働環境と同じに扱うわけにいかないので「法律的条件」を考えたのです。
M=(3)もう一つ重要な見落としがあります。
仕事の生産性と仕事の正確性は平行しません。
仕事が遅いから内容は正確ではないと言えません。
仕事の正確さ、丁寧さを追求し、必要な省略が上手くできなくて遅くなる面があります。
この傾向も全員一律の要素とはいえませんが、引きこもりのかなり多数に共通しています。
実際、通所者が制作している支援団体に関する情報提供は誤植が少ないものです。
この正確さ、丁寧さを社会で上手く発揮できないのです。
それは対人関係の困難に由来するし、生産性の低さにも要因があります。
M=(4)執筆者T=はここでも自分の経験を基準にして全体の記述をしました。
執筆者T=は仕事のペースは早い方で、一般の生産性の範囲に入ると思います。
臨機応変の判断もできます。
引きこもり経験者では例外とはいえませんが少ない方です。
この分野の職に就き熟練していけば相当レベルに到達するように思います。
この自分の基準をベースに全体の事態を判断しています。
M=(5)私は引きこもり経験者の生産性の低さを上記のように3点挙げましたが、生産性の特色全体を見るならば、さらに違った表現ができるでしょう。
創作活動を重視するのはこの点と結びついています。
なぜなら創作活動の成果の大きさは“労働時間”の長さに比例しないからです。