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− | '''[現を歩く]支援シェルター 困窮の若者 自立へ奮闘=北海道'''<br>
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− | '''◇現(いま)を歩く ◇共に問題解決 障害に対処'''<br>
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− | 収入が低いため家賃が払えなかったり、突然、仕事を失ったりして、生活に困窮する若者たちがいる。<br>
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− | 知人宅やネットカフェに寝泊まりするなど、不安定な生活を余儀なくされ、様々な問題も抱えている。<br>
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− | そんな若者の自立を支援するシェルター「コミュニティハウス れおん」で、困窮する若者たちの現状を取材した。<br>
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− | 札幌市手稲区の住宅街にある3階建ての一軒家。<br>
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− | 1階はシェルターを運営するNPOの事務所。<br>
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− | 主に2、3階で最大6人の男女が共同生活する。<br>
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− | 札幌市の一時生活支援事業を受託し、入居者の食費や入居費は無料だ。<br>
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− | 施設責任者の佐渡洋子さん(32)は「虐待経験や障害、借金など、いくつもの重い荷物を背負ってここに来る」と話す。<br>
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− | 入居者は数か月間、スタッフから自炊や金銭管理などの日常生活の手助け、病院や福祉機関への同行支援などを受けながら、就労するか生活保護を受けるなどし、自立を目指す。<br>
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− | 「墜落するかしないかの低空飛行をずっと続け、限界だった」。<br>
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− | 1月に入居した男性(30)は、18歳で両親と死別。<br>
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− | 7年ほど、友人宅や漫画喫茶などを転々としながら、日雇い労働で食いつないでいた。<br>
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− | 男性は仕事に就きたいが、不安から来る極度の緊張感や起きられないほどの疲労感に襲われてしまうという。<br>
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− | 現在は医療費にかかる生活保護のみ受給し、就労をめざしている。<br>「自分だけではどうにもできなかった。一緒に解決を考えてくれるスタッフの存在がありがたかった」と話す。<br>
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− | ◇<br>
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− | 1月に退所したばかりの女性(19)にも話を聞いた。<br>
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− | 専門学校の学費を工面するため住み込みで働いていたが、ミスを重ねて約半年で解雇された。<br>
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− | 住む場所と仕事を同時に失い、専門学校を中退した。<br>
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− | 父親には「面倒はみられない」と言われ、途方に暮れていた。<br>
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− | 「今まで周囲にはただ怒られるだけで、自分がなぜうまくできないのかわからなかった」と入居当時を振り返る。<br>
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− | 女性は忘れ物や不注意でのミスが多く、コミュニケーションが苦手だ。<br>
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− | れおんのスタッフが病院に付き添い、ADHD(注意欠陥・多動性障害)などの発達障害と診断された。<br>
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− | 入居中に障害を理解してくれる就職先を見つけ、1月から一人暮らしを始めた女性は「自分の特性を初めて知り、対処の仕方もわかった。<br>
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− | ここに来られたのは宝くじに当たったぐらいの幸運」とはにかんだ。<br>
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− | ◇<br>
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− | ある日、1月に退所し、一人暮らしを始めたアルバイト男性(22)のアパートを佐渡さんと訪ねた。<br>
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− | 男性はネットカフェに寝泊まりしていたが、昨夏、無一文になった。<br>
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− | 「橋から飛び降りて死のう」。<br>
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− | 自暴自棄になって河川敷をさまよう生活を1か月続け、ベンチで寝ていたところを支援団体から声をかけられた。<br>
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− | れおんで久しぶりに風呂に入ってゆっくり休むと、悪化していた持病のアトピー性皮膚炎が見違えるようによくなった。<br>
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− | 「今まで居場所がなかったが、れおんの同居人やスタッフは笑顔で迎えてくれる。今は仕事も生活も頑張っている」と笑顔で語った。<br>
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− | 佐渡さんはこの日、「卒業証書みたいだね」と言いながら、男性に市の支援事業を終えた通知を手渡した。<br>
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− | 佐渡さんは「住む場所だけではなく、人とのつながりも失ってしまうのがホームレス。<br>
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− | れおんは重い荷物を一緒に解き、失敗しても支えつづける場所でありたい」と話す。<br>
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− | 〔◆平成29(2017)年2月26日 読売新聞 東京朝刊〕 <br>
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