Center:2007年1月ー不登校情報センターの名称を生かす
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2012年4月3日 (火) 11:42時点における版
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不登校情報センターの名称を生かす
〔『ひきコミ』2007年2月号=第41号に掲載〕
(1)~部、~支部の名前で生かす
不登校情報センターという名称は、ネーミング企画としては成功しています。
名前をきいただけで、ある種のイメージが伝わるからです。
「20歳をすぎているのですけど・・・」と遠慮がちに相談してくるお母さんがいました。
“不登校は18歳未満の人対象だと思うからでしょう。
これがイメージと現実のギャップなのですが、「20歳以上のひきこもりの相談もOKです」と答えると「そうなんですか」と納得してくれます。
うすうす何かを感じているから電話をかけてくるし、この言葉で確認できるのです。
不登校情報センターという名称は完全ではありません。
それでも最良だと思うのは、ある程度のイメージができるからです。
この名前を最も有効に活用しているのが「トカネット」です。
「NPO法人不登校情報センター訪問サポート部・トカネット」とかなりわかりやすいのです。
有効に使用するというのはこういうことです。
トカネットは不登校情報センターに依存していると思う向きもあるかもしれませんが、それは問題の小さな一点を拡大し偏見になっているのにすぎません。
2006年に「不登校情報センター名古屋支部」というのができました。
名古屋で活動している木村登校拒否相談室(赤門学習塾)とは20年近くのつき合いがあります。
そこにトカネットが進出し、共同で事を始めるときに「不登校情報センター名古屋支部」という名称が浮かびました。
木村登校拒否相談室も、トカネットも、そして不登校情報センターもいずれもやりやすくなったし、影響を広げやすくなったと思います。
これを私は名称の有効な使い方だと思います。
なかには「不登校情報センターの名称を、勝手に遣って自分で何か事を始めるのはいけないこと」と考えている人がいる気がします。
「勝手に」使用するのはまずいと思いますが、協力して有効に使用していただけるようにむしろお願いしたいくらいのものです。
かつて「不登校情報センター茨城支部」を自称して、親子で相談活動を始めた人がいます(当事者)。
この人は短期間で活動を終わったのです。
しかし、今後とも何かの活動を起こすときには「~支部」とか「~部」などの形で不登校情報センターの名称を使用していただいてもいいと思います。
不登校情報センターの名称を使った別の例も紹介しておきましょう。
桐書房の発行で「エコーブックス」という3冊の体験手記の本があります。
(1)水原香苗『学校なんでやだもんね』
(2)三須かほり『マイペースがいちばん』
(3)桜井愛『いじめとの九年戦争』
この「エコーブックス」の監修が不登校情報センターになっています。
辞書によると「監修」とは「【書物の】編集の最高責任者として名前を出す・こと(人)」『新明解国語辞典』となっています。
これも1つの使用方法です。
不登校情報センターという名称は貴重です。
大切にしてほしいのですが、自分を信じてそれが役立つと考えるならば使ってください。
(2)NPO法人、10年の歴史を生かす
不登校情報センターにとっても、その名前が広がり宣伝になる。
だからその名称を使用してください、といっているわけではありません。
自分が始めようとしていることで、不登校情報センターの名称があることが、わかりやすくなる、都合がよくなる。
そんなときに使ってほしいのです。
中心は、何かを始める自分にとってどうかという尺度が肝要なところです。
この名称はなぜ有効に働くのでしょうか。
おそらくこの名称がこの“業界”においてある程度の信用を得ているからです。
ともかく10年以上この名前で活動してきたわけです。
フリースクール系の活動をしている人で、この名前を知らない人はあまりいないのではないかと思うほどです。
それは不登校情報センターの活動に賛同しているのと同じではありません。
同じ名称で一つのことを続けていけば、自然と信用はつくものです。
これはいろいろなことに共通することでしょう。
次にこの名称は、わかりやすいことです。
もちろん“引きこもり”はどうなるんだろう、“発達障害”はどうなるのか、ということはあります。
“相談”という言葉はないけれども相談はできるんだろうか・・・などなど不十分なことはいろいろあります。
面談をしてみて親の会があることをはじめて知ったという人もいます。
名称は不完全で、あらゆる内容を全部表わすことはできません。
元々そういうものです。
取り組みの全部を名称に取り入れればいいのかというとそうではなく、逆にわかりにくくなります。
不完全だけれども最良の名称であるというのはそういう意味です。
2005年にNPO(特定非営利活動)法人になったことも重要です。
私の経験でも、名刺に「NPO法人」とあるのを見て、扱いが違ったなと思うこともありました。
NPO法人が世の中で絶対視されているのではありません。
NPO法人を悪用している例もありますし、それがNPO法人をおとしめている向きもあります。
それにもかかわらず、NPO法人不登校情報センターの名称は、信用性が高いと思います。
これらの要素、それは社会的信用性といってもいいと思いますが、この名称を使用して何かを始めるときに、ある種の見えない壁を低くしてくれます。
個人名で何かを始めるときの営業面の困難や広告・広報面の困難を少し低くしてくれると思います。
逆に「不登校」という名前も入りますから、それらとは無関係な分野では、対象を制約してしまうリスクもあります。
その判断は、何かを始める人自身が考えていくべき性格のものです。
何かを始めるに当たっては、資金があり、自分に関心(おもしろさ)と技術や知識があったとしても、それだけではなかなかたいへんです。
人間関係が不得意で社会的経験がたりないと思っている当事者にとっては、営業面はともかく難敵です。
(3)相談活動を広げる面でも生かす
ところで、不登校情報センター相談室の役割と実際の取り組みを充実させるのが、今年の重点の1つになります。
その方向はいくつかあります。
1つは、各地で心理相談室を開設している、開設しようとしている人との協力です。
そのときNPO法人の団体会員になるなど、ある程度の条件が合えば、「不登校情報センター」の名称をつけてもらう方法があります。
名称の中心にするのか副次的要素にするのかを含めて、それぞれの希望に応じていきます。
第2は、インターネット上にある検索サイトに登録・参加していく方法です。
不登校情報センター相談室のホームページを改善することにより、この登録・参加条件をつくります。
不登校やひきこもりの相談・カウンセリングに対処している人たちに、不登校情報センターという名前を知らせていくことに通じます。
不登校情報センター相談員のカウンセリングの内容を、ホームページ上でもアピールするなどの広報活動面も重視します。
第3は不登校情報センター相談室自体を改善向上することです。
その前提は相談者が多くなることです。
出発点として五十田の相談日を月間スケジュールで明示し(月・金曜日など)、相談内容を充実させることから始めます。
ほかの相談員はそれぞれの条件により、可能なところから改善します。
この関連でフリースペースの運用、イベント的企画を明快にしていきます。
実際に相談者が増えることによって、相談室の内容を改善向上していく基礎条件ができることになります。
各種療術としてNTTのウェブサイト「タウンページ」に掲載させている心理療法のデータを多数見ました。
先月号の「カウンセリング・セラピー・ヒーリングの施設データ集め」作業のつづきです。
この莫大な情報を点検しながら、“心の時代”の日本では、心を対象とする多くの施設が生まれ、それを職業とする多くの人も生まれています。
多くの方法と多くの工夫が重ねられています。それは私の貧しい想像を超えています。
不登校情報センターがここでどんなことができるのか、何かできそうな役割があるのかを考えてみました。
いやこれは不登校情報センターだからこそできるものもあると確信できるもの、すなわち情報センターの名称にふさわしい情報提供分野があります。
もう一つは相談活動にもっとも力点をおくことです。
そのための方策として、相談活動を始めようとする人の協力を得、また協力をしながらできること、それがこの最後の「相談活動を広げる面でも(不登校情報センターの名称を)生かす」点になったのです。
実際に2~3人からの問い合わせがあります。