Center:(4)“社会派”のKさんの場合
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2011年10月5日 (水) 21:09時点における版
(4)“社会派”のKさんのばあい
Kさんは自分の行く先が行方不明になっています。
自分ではイラストレーターのような仕事がしたいと考えてきました。
しかし、親からは「もっと確実なことを考えなさい」と言われて、それが頭から離れません。
「それでもまだ夢みたいなところはあるけれど……」と控え目に語ったのが、動物を世話する仕事です。
「だから何をしていいのかわかりません……」というのがいまの状況です。
なぜKさんはイラストレーターの道を進もうとしないのか。
その過程のなかに「もっと確実なこと」の手がかりや材料や、なによりも前向きの意欲が湧いてくる条件があったと思います。
イラストレーターへの道を自分で閉ざすことで、結局は、未来を見失い、前に進むのが困難になっているのです。
この状態をみて、Kさんの親が姿勢を変えればよい、と考える人もいると思います。
たぶんそれも一理あります。
私には最も重要なことだとは思いません。
Kさんはいわばマインドコントロールの枠内におかれています。
そこから抜け出し精神的な自立をしようとする意志がまだ低いことが問題で、私はそのとき親よりも本人を主において考えるのです。
Kさんにとって「自分で自分を育て直す」ことが必要です。
それに気づき、それに向かう気になることが基本的だと思います。
その課題を支援できる環境としての居場所が必要です。
Kさんを評価し、あるいは批判し、いずれにしても信頼関係のとれる人間関係ができる場、それがKさんにとって必要な役割としての居場所のような気がします。
20代後半になって働き始めたLくんの話を聞きました。
お母さんは一時パソコンばかりやっているLくんをみて、パソコンがあるから家から出られないのではないか、引きこもっているのではないか、パソコンをやめて別のことに取り組んでみてほしい……と考えていたそうです。
しかし、Lくんが働き始めたきっかけはパソコンでした。
パソコンを通して他人と話し合える場に出かけられるようになりました。
人との関係にある程度の自信がもてるようになりました。
Kくんはパソコンのヘルプデスクとして仕事を始めました。
Kくんの場合と比べて対照的な材料になると思います。
〔2〕社会参加までの葛藤のタイプ
(1)親しい友人をつくる場
(2)精神的自立の程度を高めていく場
(3)“心理派”のJさんの場合
(4)“社会派”のKさんの場合
(5)“半社会派的”なMくんの場合