Center:2003年2月ー仕事も大学もつづかない息子(回答)
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しかし顔つきや身振りは、聞くよりも言うことのオーラが形として出ています。<br> | しかし顔つきや身振りは、聞くよりも言うことのオーラが形として出ています。<br> | ||
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2019年1月1日 (火) 20:07時点における最新版
仕事も大学もつづかない息子(回答)
〔2003年2月15日〕
相談者・母。
相談該当の人=年齢・27歳、性別・男、家族構成=父、母、男2人。
新聞を読んで早速ですが御指導いただけたらと思いお電話させていただきました。
二男は27歳になります。
今までの経過を書かせていただきますのでよろしくお願いいたします。
中2の時から学校を休みがち、この時は2週間程で登校する。
高校は志望校に入学したが高2の時から又休みがち。
無断でバイト、バイクに乗ったりする。
高3には進級したが又不登校で休学届を出す。高3はダブったが出席日数はやっとたり卒業出来た。
自衛隊の試験は色弱で失敗、大学受験にも失敗。
パン工場、馬の飼育、新聞配達の仕事で県外に出たがすぐやめて帰る。
中国地方のある町でバイトをしながら受験勉強もすると言う事でアパート生活、2年間余りの間にサラ金で借金(無免なのに自動車を買っている)。
予備校へ行くと言うことで大阪の寮に入所。予備校も休みがち。
東北地方のホスピタリー専門学校へ入学。
3か月で退学して新聞の営業に出る。6か月でやめる。
また復学したが休みがち。受験勉強していた様子。
九州にある○○大学に入学。ここでも休みがちであるため留年になりそうです。
以上のような生活振りです。
私もどのように対処していいかわかりません。
色々と話をしてはみましたがなかなか聞く耳がないようです。
5歳の時に父親が死亡しました。私の元気な内に自立しないと社会から孤立します。
生活力をつけるにはどのようにしたらよろしいでしょうか。
先生の御指導をいただけたらと思います。よろしくお願い致します。
【回答】
お手紙を拝見いたしました。
子どもに聞く耳をもってもらう方法は、まず親の方が子どもの言い分を聞く耳をもつことをめざす、そこから始めるのが最短の方法です。
27 歳になっているのですから、すぐに効果がでるわけではありません。
これまでお母さんは基本的にはずっと子どもに言い聞かせようとしてきたように思います。
子どもは親の言うことをしたのにうまくいかない、それを続けていてはダメだと無意識に感じていて、深く身につけていると思います。
これから親の言うことを聞いて参考にしようと思うまでには、数年の時間が必要です。それでもそれが最短です。
お母さんが本気で子どもの言い分を聞こうという気持ちになるのにも時間がかかります。
初めは言葉として子どもの言い分をきく耳をもつことになります。
しかし顔つきや身振りは、聞くよりも言うことのオーラが形として出ています。
子どもはそれを正確に察知します。
お母さんが言葉でも聞く耳をもち、体の表情としても聞く姿勢になる、これが本当に子どもの言い分を聞くようになることです。
この努力をお母さんが始め、身につけるまでに年単位の時間を要します。
その姿勢が板についたころ、子どもは母親に自分の気持ちを少し話してみようという気になるでしょう。
最初は小出しに口にします。最初から全部を言うのを期待しないことです。
それを期待するのは、横暴ではないでしょうか。
相手の気持ちを尊重することが求められるのです。
最初、少し相談を持ちかけられたときには、その範囲で応えていくのがいいでしょう。
一気に言いたいことを全部言ってしまうと、また殻を閉じてしまいます。
それを戻すのにまた数か月単位を要すかもしれません。それは焦りです。
結局は、当面の自分の言いたいことを聞く耳をもたせることが目標ではなくなります。
親と子、または人間と人間のコミュニケーション、会話が一方的でないようにする、そこに向かうわけです。
「言い分を聞く」姿勢でいるからこそ「言いきかせる」ことも役に立つのです。
子どもさんの側から事態を考えると、ある意味ではもっと事態は切迫しているのかもしれません。
自分で自分の進むスタイルをつくりたいので、親はそれに干渉してきて、結局自分のスタイルができないで困っている、という気がします。
ただ、これまでは必ずしも親の言いなりになってこなかった、それは確かです。
親の言い分通り、マインドコントロールの枠内におかれるのに無意識のうちに闘ってきました。
ほめてあげたいものです。
しかし、そうだからといって自分のスタイル、自分の道が開けているわけではありません。
残念ながら、いまも子どもさんは本人にとても不満足な状態にとどまっています。
自分でも困っている、もがいているわけです。
この葛藤に回答を出すのは自分以外ではありえません。
親が代わって言いきかせても、それは妨害でしかないのです。
この葛藤を見守り、外側で応援してほしいのです。
内側に入ってきてほしくないのです。
ですから、いますぐに母親の言葉を聞くことはできません。
自分ではうまくいっていないことはわかっています。
それを念押しされる気分になるだけでしょう。
お母さんとしては念押しではなくて、アドバイス、参考…と思うでしょう。
それは子どものいまの状態、いまの気持ちを無視しています。
人は、自分で少し歩き始めたときに、初めて人の意見をきき、受け入れることができます。
受け入れるというのは、言いなりになることではありません。
自分の必要に応じて取捨選択できる力がつくという意味です。
その力をつけること、それが子どもの葛藤するときです。
私の直感では、とりあえず親にあわせないことが子どもには楽であり、自分なりの考え方が探し当てられる条件が広がることになると思います。
できれば身近なところに相談できる人、場所があるといいでしょう。
相談するとは、お母さんがその人の言いなりになることではないでしょう。
自分の考えがあり、判断があり、納得がいく範囲で受け入れ、修正していくことです。
これは長期戦になります。
その間にお母さんはどんどんいろんなことを学ぶでしょう。
子どもは成長し、変化していきます。その時間のなかで子どもは子どもの道を少しずつ固めるでしょう。
これは一件落着を図るとりくみではなく、子どもとの関係の今後をずっとつくり出すものです。
人生そのもの以外ではないでしょう。
ご参考になれば幸いです。
*「五十田猛への手紙と返事」
(01)Center:2005年5月ー正社員になりたがらない若者
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(03)Center:2003年5月ー当事者の会に来るのはどんな人
(04)Center:2003年2月ー仕事も大学もつづかない息子(回答)
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