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社会参加の力をつくる公の場

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(社会参加の力をつくる公の場)
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サポステとみんなの就労センターに会員登録<br>
 
先日、ひきこもり経験者(計3名)に同行し、若者サポートステーション(サポステ)と江戸川区みんなの就労センターに行きました。<br>
 
サポステは全国にあり、みんなの就労センターは江戸川区が今年設立した新たな取り組みです。<br>
 
両者とも、ひきこもり・ニート対策として、就業に結びつける取り組みをします。<br>
 
みんなの就労センターは自治体福祉部に属す労働者派遣事業所です。<br>
 
 
 
'''サポステとみんなの就労センターに会員登録'''<br>
 
'''サポステとみんなの就労センターに会員登録'''<br>
 
先日、ひきこもり経験者(計3名)に同行し、若者サポートステーション(サポステ)と江戸川区みんなの就労センターに行きました。<br>
 
先日、ひきこもり経験者(計3名)に同行し、若者サポートステーション(サポステ)と江戸川区みんなの就労センターに行きました。<br>
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職場で働く一人ひとりの就業者に対してです。<br>
 
職場で働く一人ひとりの就業者に対してです。<br>
 
その一人ひとりが、尊重される環境条件を社会が、国と自治体が、制度として整備する面がなくては根本的な対応にはつながらないと考える昨今です。<br>
 
その一人ひとりが、尊重される環境条件を社会が、国と自治体が、制度として整備する面がなくては根本的な対応にはつながらないと考える昨今です。<br>
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[[Category:不登校情報センター・五十田猛・論文とエッセイ|2021年月日]]

2022年9月7日 (水) 12:38時点における最新版

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社会参加の力をつくる公の場

サポステとみんなの就労センターに会員登録
先日、ひきこもり経験者(計3名)に同行し、若者サポートステーション(サポステ)と江戸川区みんなの就労センターに行きました。
サポステは全国にあり、みんなの就労センターは江戸川区が今年設立した新たな取り組みです。
両者とも、ひきこもり・ニート対策として、就業に結びつける取り組みをします。
みんなの就労センターは自治体福祉部に属す労働者派遣事業所です。
両者には違いもありますが、ひきこもり経験者を就業につなげる点で共通します。
私はひきこもり対応の中心は就業分野に限らないと考えています。
それでも就業を考える人もいますし、ひきこもりから抜け出す方法の手掛かりにすることもあります。
両方の会員登録の場に同席し、見聞きしたことを簡単に紹介します。
希望者がいましたらこれからも同行・同席させてもらいたいので連絡ください。

サポステは全国に150か所以上あり、15年近い取り組みの実績があります。
今回はその1つに行き様子をきいたことになります。
全てのサポステが同一とは言えないわけですが、かなり共通するでしょう。
内容面では、週5日、午前と午後に分かれて特定のプログラムがあります。
職業訓練ではありませんがPC教室などもあります。
コミュニケーション、事業所紹介などが計画されています。
プログラムの中で関心が向くものに参加します。
このサポステには30名ほどの会員がいて、各プログラムへの参加は数人です。
PCは7台なので参加の最高限度は7名になります。
会員は利用者として専門の相談者と相談できます。
徐々に本音で相談できるようになり自分に何ができるかわかるのが大事です。
利用者同士で話し合える関係、情報交換的なことになるのが前進です。
プログラムの1つに職場見学があり、特定の事業所を見学します。
「ここなら働けるかもしれない」と思うと、働いてみようという意識も高まるようです。

江戸川区みんなの就労センターは、施設としてはハローワーク以外の公立の労働者派遣施設になり、自治体の福祉部門の取り組みです。
類似のとりくみは他の自治体でも行われているはずですが、労働者派遣施設になっているところは珍しいと思います。
今年6月に設立されたばかりで、内容はこれからそろうはずなので、現在が目標到達点とは言えないでしょう。
センター内で対人関係や技術を身に付けるのでではなく、就労センターとして一定の仕事を受けとり、それを会員有志が取り組みます。
これは業務であり、最低の時間給(東京都の場合は1時間1041円)を受けとります。
定職よりもパートタイムやアルバイト、臨時の請負仕事から手を付けることが多くなるのではないかと、これは私の予測です。
就業センターには事業者が求人登録します。
そこで求人活動ができること、就労センター側では会員に就職(パートやアルバイトを含む)の相手先が明確にでき、事業者を広げることに力を入れることです。
サポステが主にサポステに通所する利用者となるのに対して、就労センターが向かうのは、主に就労先になります。

サポステも就労センターにも、会員の居住条件の制限はありません。
交通や距離の関係で自然に会員の住む地域は決まりますが、制限はありません。
協力し登録する事業者もサポステ、就労センターともに制約はないのですが、自ずと区内や近隣自治体が多くなります。
ひきこもり対応の中心には、対人関係の経験を重ねる居場所、自宅から外出できない人への訪問(アウトリーチ)などがより重要となると考えています。
その実現が難しい分だけ、効果的なひきこもり対応ができないのが現状です。
結果として国・自治体は8050問題に有効な対応はできていません。
10年、20年と時間が過ぎ、“自然に”消えていくのを待っていると思えることもあります。
それは彼ら彼女らが経験しつつ、未来に生かす内容が得られないことで、残念というべきです。
いま有効な対応策が得られないのでは、今の社会の変動にも後れを取るのではないかと心配になります。

若い世代が社会に入る力をつける条件の確立
会報11月号にエッセイ「家族の仕事から社会的分業、社会参加に必要な修練期間」を書きました。
その終わりの「社会参加に必要な修練期間」を特に注目します。
学校を終えて、といっても1950年代初めまでは「中学校卒業」が基準でした。
70年代には「高校卒業」が基準になりました。
現在はかなりの部分が「大学や専門学校の卒業」が、学校を終える基準になりましたし、大学院卒業も珍しくはありません。
その学校を終えた多くの人は、社会人になります。
50年代までは農業に就くことが多くの新社会人でした。
60年代以降は、会社への就業が社会人になる中心になりました。
ここには男女差が大きく、女性はこの型の社会参加が勧められたのは70年代以降になるかもしれません(ときには精神的に強制された?)。
学校側では中学校にしても高校にしても、あるいは専門学校や大学を卒業するころには、学力面だけではなく社会人になって生活できる条件が自ずと備わるものと考えられたのでしょう。
意識しないできたように思います。
学校教育は知識偏重の教育だ、上級学校への進学指導が中心になっている、と言われました。その傾向は今もあります。
しかしかつては社会に入るだけの人を育ててきました。
振り返って思うにそれは学校の内側にその力があったのではなく、社会にそういう要素があったというべきものでした。
学校を卒業しても社会に入る力がついていない様子が少しずつ明らかになりました。
90年代には他の要件も重なって、学校を卒業しても社会に入れない人、社会参加を拒む人、ひきこもり状態になる人が相当数あらわれ始めました。

数年前からはそれが「8050問題」と名前の付く大きな社会問題として知られるようになりました。
そうなって初めてわかることは、ひきこもりとして表面化している問題は、その個々人の問題に限定してみることではなかったことです。
それを社会関係の全体から見なくてはならないこと、社会の大きな動向から説明しなくてはならないとわかったのです。

いま若者サポートステーション(サポステ)や自治体や公共職業安定所(ハローワーク)で取り組んでいる、とくに若い世代の社会参加を促す取り組みはこの空白部分を埋める取り組みに相当するのです。
さらに見れば、障害者の作業所、就業移行支援事業所にもこの事態は当てはまります。
自治体で取り組んでいる生活相談や、心理相談等の個人カウンセリングもこの枠内に位置づけてみなくてはなりません。
確かに、社会参加できない個人、対人関係に不安があり精神的動揺をくり返す個人に対応しなくてはなりません。
そうであってもそれが社会の大きな変動の中で生まれ社会の変動自体を表している点を知らなくては、根本的・基本的な対応に欠けると思うのは以上の点からです。
問われているのは、子ども時代から続けている学校教育のしかたです。
働く現場、それぞれの事業所という労働現場です。
非正規雇用と称される働き方が若い世代の過半数を占める働き方になっている社会制度です。
その背景には社会が大きく変動しており、学校も企業社会も、そのベースになっている家庭や地域社会が変動しています。それに対応することです。
個人に焦点を当てるのは、学校での一人ひとりの子どもに対してです。
職場で働く一人ひとりの就業者に対してです。
その一人ひとりが、尊重される環境条件を社会が、国と自治体が、制度として整備する面がなくては根本的な対応にはつながらないと考える昨今です。
両者には違いもありますが、ひきこもり経験者を就業につなげる点で共通します。
私はひきこもり対応の中心は就業分野に限らないと考えています。
それでも就業を考える人もいますし、ひきこもりから抜け出す方法の手掛かりにすることもあります。
両方の会員登録の場に同席し、見聞きしたことを簡単に紹介します。
希望者がいましたらこれからも同行・同席させてもらいたいので連絡ください。

サポステは全国に150か所以上あり、15年近い取り組みの実績があります。
今回はその1つに行き様子をきいたことになります。
全てのサポステが同一とは言えないわけですが、かなり共通するでしょう。
内容面では、週5日、午前と午後に分かれて特定のプログラムがあります。
職業訓練ではありませんがPC教室などもあります。
コミュニケーション、事業所紹介などが計画されています。
プログラムの中で関心が向くものに参加します。
このサポステには30名ほどの会員がいて、各プログラムへの参加は数人です。
PCは7台なので参加の最高限度は7名になります。
会員は利用者として専門の相談者と相談できます。
徐々に本音で相談できるようになり自分に何ができるかわかるのが大事です。
利用者同士で話し合える関係、情報交換的なことになるのが前進です。
プログラムの1つに職場見学があり、特定の事業所を見学します。
「ここなら働けるかもしれない」と思うと、働いてみようという意識も高まるようです。

江戸川区みんなの就労センターは、施設としてはハローワーク以外の公立の労働者派遣施設になり、自治体の福祉部門の取り組みです。
類似のとりくみは他の自治体でも行われているはずですが、労働者派遣施設になっているところは珍しいと思います。
今年6月に設立されたばかりで、内容はこれからそろうはずなので、現在が目標到達点とは言えないでしょう。
センター内で対人関係や技術を身に付けるのでではなく、就労センターとして一定の仕事を受けとり、それを会員有志が取り組みます。
これは業務であり、最低の時間給(東京都の場合は1時間1041円)を受けとります。
定職よりもパートタイムやアルバイト、臨時の請負仕事から手を付けることが多くなるのではないかと、これは私の予測です。
就業センターには事業者が求人登録します。
そこで求人活動ができること、就労センター側では会員に就職(パートやアルバイトを含む)の相手先が明確にでき、事業者を広げることに力を入れることです。
サポステが主にサポステに通所する利用者となるのに対して、就労センターが向かうのは、主に就労先になります。

サポステも就労センターにも、会員の居住条件の制限はありません。
交通や距離の関係で自然に会員の住む地域は決まりますが、制限はありません。
協力し登録する事業者もサポステ、就労センターともに制約はないのですが、自ずと区内や近隣自治体が多くなります。
ひきこもり対応の中心には、対人関係の経験を重ねる居場所、自宅から外出できない人への訪問(アウトリーチ)などがより重要となると考えています。
その実現が難しい分だけ、効果的なひきこもり対応ができないのが現状です。
結果として国・自治体は8050問題に有効な対応はできていません。
10年、20年と時間が過ぎ、“自然に”消えていくのを待っていると思えることもあります。
それは彼ら彼女らが経験しつつ、未来に生かす内容が得られないことで、残念というべきです。
いま有効な対応策が得られないのでは、今の社会の変動にも後れを取るのではないかと心配になります。

若い世代が社会に入る力をつける条件の確立
会報11月号にエッセイ「家族の仕事から社会的分業、社会参加に必要な修練期間」を書きました。
その終わりの「社会参加に必要な修練期間」を特に注目します。
学校を終えて、といっても1950年代初めまでは「中学校卒業」が基準でした。
70年代には「高校卒業」が基準になりました。
現在はかなりの部分が「大学や専門学校の卒業」が、学校を終える基準になりましたし、大学院卒業も珍しくはありません。
その学校を終えた多くの人は、社会人になります。
50年代までは農業に就くことが多くの新社会人でした。
60年代以降は、会社への就業が社会人になる中心になりました。
ここには男女差が大きく、女性はこの型の社会参加が勧められたのは70年代以降になるかもしれません(ときには精神的に強制された?)。
学校側では中学校にしても高校にしても、あるいは専門学校や大学を卒業するころには、学力面だけではなく社会人になって生活できる条件が自ずと備わるものと考えられたのでしょう。
意識しないできたように思います。
学校教育は知識偏重の教育だ、上級学校への進学指導が中心になっている、と言われました。その傾向は今もあります。
しかしかつては社会に入るだけの人を育ててきました。
振り返って思うにそれは学校の内側にその力があったのではなく、社会にそういう要素があったというべきものでした。
学校を卒業しても社会に入る力がついていない様子が少しずつ明らかになりました。
90年代には他の要件も重なって、学校を卒業しても社会に入れない人、社会参加を拒む人、ひきこもり状態になる人が相当数あらわれ始めました。

数年前からはそれが「8050問題」と名前の付く大きな社会問題として知られるようになりました。
そうなって初めてわかることは、ひきこもりとして表面化している問題は、その個々人の問題に限定してみることではなかったことです。
それを社会関係の全体から見なくてはならないこと、社会の大きな動向から説明しなくてはならないとわかったのです。

いま若者サポートステーション(サポステ)や自治体や公共職業安定所(ハローワーク)で取り組んでいる、とくに若い世代の社会参加を促す取り組みはこの空白部分を埋める取り組みに相当するのです。
さらに見れば、障害者の作業所、就業移行支援事業所にもこの事態は当てはまります。
自治体で取り組んでいる生活相談や、心理相談等の個人カウンセリングもこの枠内に位置づけてみなくてはなりません。
確かに、社会参加できない個人、対人関係に不安があり精神的動揺をくり返す個人に対応しなくてはなりません。
そうであってもそれが社会の大きな変動の中で生まれ社会の変動自体を表している点を知らなくては、根本的・基本的な対応に欠けると思うのは以上の点からです。〈br〉 問われているのは、子ども時代から続けている学校教育のしかたです。
働く現場、それぞれの事業所という労働現場です。
非正規雇用と称される働き方が若い世代の過半数を占める働き方になっている社会制度です。
その背景には社会が大きく変動しており、学校も企業社会も、そのベースになっている家庭や地域社会が変動しています。それに対応することです。
個人に焦点を当てるのは、学校での一人ひとりの子どもに対してです。
職場で働く一人ひとりの就業者に対してです。
その一人ひとりが、尊重される環境条件を社会が、国と自治体が、制度として整備する面がなくては根本的な対応にはつながらないと考える昨今です。

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