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低年収の生き方ノウハウ本

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2012年 「やってみました!『年収100万円の豊かな節約生活術』」(春原弥生)<br>
 
2012年 「やってみました!『年収100万円の豊かな節約生活術』」(春原弥生)<br>
 
2016年 「年収90万円で東京ハッピーライフ」(大原扁理)<br>
 
2016年 「年収90万円で東京ハッピーライフ」(大原扁理)<br>
〔◆平成28(2016)年10月1日 中日新聞 朝刊〕 <br>
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低年収の生き方ノウハウ本

特報 低年収の生き方ノウハウ本 03年は「300万円」 今では「90万円」 暮らし向き悪化を反映
「年収300万円時代を生き抜く経済学」が十三年前にベストセラーとなって以来、低所得の生活ノウハウ本が定番化している。
年々、題名の年収額は低下する一方。
今年は年収九十万円の暮らしを伝える新刊が話題を呼んだ。
開会中の臨時国会で安倍晋三首相は経済の好転を強調するが、暮らし向きの悪化という国民の実感をノウハウ本は反映している。
経済アナリストの森永卓郎氏が「年収300万円」の本を書いた二〇〇三年、人びとは「そんな時代が本当に来るのか」と疑った。
日本経済はバブル崩壊から立ち直れずに、経済は長期低迷。それでも、まだ賃金にはあまり手が付けられず、比較的安定していた。
ところが、やがてリストラが拡大。
解雇が広がり、年収が大幅にダウンする人が続出。
就職難と並んで、非正規雇用が大きな社会問題となり、森永氏は〇七年、新たに「年収120万円時代」を書いた。
「賃金の低下は予想通り。ただ、そのスピードは思った以上だった」。
森永氏はそう振り返る。
その後も、「年収百五十万円」「年収百万円」をタイトルにした低年収本は相次いで出版された。
これらに特徴的なのは、苦労して高学歴を身に付け、大企業に就職しても、将来は必ずしも明るくないことを前提に、「あくせくしても仕方ない」とスローライフを提唱していることだ。
今年七月に出版された「年収90万円で東京ハッピーライフ」の著者、大原扁理氏(31)は「物心ついた時から不景気が当たり前。
好況がどういう時代か分からない。
適度に社会から距離を置けば、週二日ほど介護の仕事をして、あとはのんびり暮らせる」と言う。
「内容はどんな生き方をしたいか、自問自答を繰り返した結果。時間があるので食べ物に気を付け、適度に歩いて健康維持を心掛けている。病気や老後を心配してもキリがない」
〇九年に民主党政権が誕生した背景の一つに、非正規の派遣社員の急増があった。
〇八年暮れには、東京・日比谷公園に「年越し派遣村」が登場した。
ただ、貧困問題は民主党政権で解消できず、一二年末に自民党が再び政権復帰し、アベノミクスによって円安と株高が進んだ。
森永氏は「金融緩和で市中にお金はあふれたが、それが労働者には回らず、企業の内部留保が激増している。また、富裕層の資産が水膨れした」と指摘。
「安倍政権は規制緩和で正規社員のリストラをしやすくしようとしている。同一労働同一賃金も、非正規に正規の賃金を落とせば実現できる。中流層が崩壊し、ごく一部の超富裕層とそれ以外の貧困層に二極化する可能性が高い」と予想する。
経済評論家の山崎元氏は
「低年収で生活するノウハウ本が売れる土壌はあるし、そんな生き方があっていい。ただ、一人暮らしならいいが、教育費がないので少子化が加速する。望ましい社会状況とはいえない」と警告している。
主な「低年収の生き方」本
2003年 「年収300万円時代を生き抜く経済学」(森永卓郎)
2007年 「緊急版年収120万円時代」(森永卓郎)
2009年 「年収150万円一家」(森川弘子)
2009年 「年収200万円からの貯金生活宣言」(横山光昭)
2011年 「年収100万円の豊かな節約生活術」(山崎寿人)
2012年 「年収150万円で僕らは自由に生きていく」(イケダハヤト)
2012年 「やってみました!『年収100万円の豊かな節約生活術』」(春原弥生)
2016年 「年収90万円で東京ハッピーライフ」(大原扁理)
〔平成28(2016)年10月1日 中日新聞 朝刊〕 

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