Center:2008年8月ー「ポルノ的アニメを仕事にする」息子を心配
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2020年1月2日 (木) 22:34時点における最新版
Center:2008年8月ー「ポルノ的アニメを仕事にする」息子を心配
〔2008年8月〕
(1)
20代後半の男性Aさんのお母さんから相談を受けました。
Aさんはかつて一人暮らしの大学時代に引きこもりの状態になっていました。
そのころからお母さんから相談を受けていました。
そのAさんが引きこもり状態を抜け出し、パソコンによるゲーム制作をすることで、友人関係ができました。
それから2年近く経っています。
Aさんは一方では、安定的な職に就く道が開かれ(それは親族のつながりによる)、他方ではこれまでのゲーム制作をどうするのかを決める時期が近づいてきたようなのです。
お母さんからの相談は意外なものでした。
Aさんからきいたこれまでやってきたゲーム制作は、アニメではあるがポルノ的な内容のようです。
それが明瞭になるまでに母親らしい混乱があり、アダルトサイト的な、もしかしたら犯罪に結びつく可能性を感じたようです。
もしかしたら考えすぎな気もします。
そのAさんはポルノ的なアニメ作品を持って、ある制作会社に就職するつもりであるが、どうしたものかという相談内容でした。
私の返した内容は「犯罪的なことでなければ、本人が決めればいいことです」となります。
母親として好感、嫌悪感レベルは別ということになります。
(2)
私は、かなり以前に20代前半のB青年から相談を受けた例を思い出しました。
Bくんも対人関係に苦労する引きこもり気味の青年です。
一念発起の気持ちで仕事を探していたのですが、時は就職難の時代でした。
彼が見つけたというのは「ソープランドでの受付」というものでした。
私は、Bくんに対して結局「きみが決めればいいこと」という意味で反対はいいませんでした。
それは微妙なところです。
1つは、Bくんが私の許可を得てからそこで働くつもりではなかったこと。
もともと“許可”のあるなしにかかわらず、働かなくてはならない状態にあったという意味です。
当然のことですが、そういう決心がみえることは大事なことです。
もう1つ、彼のこのときの状態では、もし他に職を探すにしてもすぐには見つからず、立往生する感じがしたこと。
彼にとっては世間的なことはともかく、職場の中における人間関係を考えると、心理的なハンディを感じなくていいといったことです。
何よりも、Bくんは家族の状態が逼迫(ひっぱく)しており、「生活条件の確保」が最優先されると思いました。
もちろんこれには家族としての生活保護の申請等も考慮に入れるべき事情もあったのですが、家族関係におけるBくんの位置は、家族をそう動かせる状態ではなかったのです。
たぶん「生活保護を申請するくらいならおまえ(Bくん)が働け!」で家族の話し合いは、終わってしまったでしょう。
もしBくんではなく女性からのものであれば、私は反対したと思います。
ソープランド自体は、外見上の自傷他害的なことはともかく、隠蔽された反社会的な行為ではないかと思うからです。
Bくんはそこでの役割はそれほど深くなかろうという気持ちがあって私は「やめろ」とか「反対」は言わなかったのです。
それが微妙なところという広義のOKという意味です。
(3)
AさんのばあいはBくんのばあいとはかなり違いますが、一部重なるところはあるように思いました。
いちばんの違いは相談者が、Aさんの場合は母親、Bくんのばあいは本人です。
そのうえで、私はAさんのお母さんに、前記のことを告げたことになります。
当然、唯一の正解というものはないのですが、私の考え方をもう少し詳しく考えてみましょう。
①母親の気持ちを伝えることは妨げられるものではない。
それは好き嫌いのレベルであって、「私は賛成できないけれども・・・」という前おき的なことになります。
②「でもこれは、あなたが判断し、あなたが決めることです」。
これが中心です。
判断の内容には犯罪的なことかどうかも入りますが、Aさんのこれまでの経過からして、彼の意思を尊重したいものだと思いました。
ここが母親の好き嫌いと一緒にされやすいのです。
③もし「法に触れるようなことはしないで」という部分だけを母親からAさんに伝えられたら、Aさんは母から反対されていると思われるでしょう。
Aさんのなかでは、ここで親から脱出する気持ち(自立)に向かうかもしれませんが、そうならないで「親の言いなり」になっていくこと、母親としてはここでもまたかつてのやり方を繰りかえしてしまうかもしれません。
④Aさんのこれまでの行状からみて、少なくとも犯罪に関わることを意図的に選ばない、そこを親として信頼する言葉にしたいものです。
犯罪的な道に進まないようにというのは了解できても、この微妙なところの判断を親として20代の息子に指示をするというのは、私には行きすぎ(干渉のしすぎ)と思えたのです。