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Center:2001年3月ー引きこもりに居場所づくりを

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2021年1月6日 (水) 07:32時点における最新版

引きこもりに居場所づくりを

(2001年3月、「朝日新聞」論壇)

引きこもりの人は数十万人、もしかしたら百万人に達すると言われています。
私は不登校の子どもの相談を続けてきたのですが、いまは学齢期以上の引きこもりの相談が半分以上をしめています。
昨年『ひきコミ』という、不登校、引きこもりなど対人関係不安の人の友達づくりを目ざす月刊の個人情報誌を発行しました。
その結果、引きこもりの人の年齢構成では三十代、四十代の人もかなり多いことがわかりました。

今年に入ってから相談や問い合わせがあったうち、年齢がわかった151人の内訳は20歳以下47%、21~30歳38%、31歳以上15%です。
引きこもりとは、学齢期であれば学校へ通えない、それを超えると働くに働けない、就業できないでいる状態です。
決して怠けているわけではありません。
多くは社会参加を願いながら、人への恐怖心があったり、人中で緊張して動けなかったり、違和感を感じ続け、その結果、就業できなかったり、仕事をやめざるをえなくなった人です。
また犯罪予備軍などでもありません。
大部分は、むしろとても静かで優しい人たちです。
犯罪発生率を下げるのに貢献していても、その逆ではありません。

この人たちが社会参加できるようになるには、対人関係の不安をうすめ、人とコミュニケーションする力を伸ばさなくてはなりません。
そのためには、本人の意思や努力に任せておくだけでは、単なる無策で、多くの人と組織の支援を必要としています。
とくに、引きこもりの人を受けとめ、ソフトな人間関係を経験させることのできる居場所が必要です。
私の事務所でも「人生模索の会」という名の会合を週1回のペースで開いています。
重要なポイントは、教える指導員ではなく、おじさん、おばさん的な人が、参加者を気楽にする環境をつくることです。
話したい人に話させ、話したくない人はそのまま認められる場づくりです。
議事進行やテーマにとらわれず、雑談OK、隣の人とのひそひそ話OK、いやむしろそういう非公式コミュニケーションが会の中心になるようにしていくことです。

こういう気やすい居場所が多数必要です。
参加人数が少なすぎると、友達になれそうな相手がみつかりにくく、やりづらいです。
十人程度必要ですが、多すぎてもまた別の大変さがあります。
人生模索の会の参加者をみると、いろんな場に出かけ、いろんな人と出会いたいことがわかります。
彼らは社会から受け入れられた経験が少ないので、受け入れ合える人との出会いを強く求めているのです。
人に対しては警戒心をもちながら、孤立、孤独から抜け出したいのです。

この会もどんどん参加者が増え、サブグループ的なものができつつあります。
社会参加をめざす引きこもり女性の会、三十代後半以上の人の会、先の『ひきコミ』読者交流会などがそれです。
雑談や会の後入った店で、一緒にコンサートやサッカー、野球見物に行く話が出るなど友人らしくなります。

そして友達ができると、引っこみ思案な彼ら、彼女らも元気が出てきます。
意欲がマイナスからプラスに変わってきます。
それがアルバイト探しです。
すでにアルバイトを始めている人から体験をきき、参考にしています。
アルバイトで、社会経験を積んでいます。
いったん就職して、辞めてこの会に戻ってくる人もいます。
アルバイトが短期であったり、就職が短期に終わったりしても、訓練であって、失望することはありません。
このような居場所を全国につくりませんか。
行政任せでなく、民間有志で始めてみませんか
有志からの連絡を期待しています。
           

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