免疫学的便潜血検査
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− | '''便潜血陽性で内視鏡の遅れは影響する? 米国の7万例を対象とした後ろ向きコホート研究'''<br> | + | 米・Kaiser Permanente Northern CaliforniaのDouglas A. Corley氏らは、免疫学的便潜血検査(FIT)を受けた50~70歳の米国人約7万例を対象にFIT陽性所見が得られてから大腸内視鏡検査を受けるまでの期間を比較した結果をJAMA(2017; 317: 1631-1641)に発表した<br> |
− | 米・Kaiser Permanente Northern CaliforniaのDouglas A. Corley氏らは、免疫学的便潜血検査(FIT)を受けた50~70歳の米国人約7万例を対象にFIT陽性所見が得られてから大腸内視鏡検査を受けるまでの期間を比較した結果をJAMA(2017; 317: 1631- | + | (関連記事「大腸がんスクリーニング勧告を改訂」)。<br> |
'''30日以内の受診は陽性例の3分の1'''<br> | '''30日以内の受診は陽性例の3分の1'''<br> | ||
解析対象は、米・カリフォルニア州で大腸がんスクリーニングとして受検したFITで結果が陽性となり、大腸内視鏡検査を受けた50~70歳の7万124例(年齢中央値61歳、男性52.7%)。<br> | 解析対象は、米・カリフォルニア州で大腸がんスクリーニングとして受検したFITで結果が陽性となり、大腸内視鏡検査を受けた50~70歳の7万124例(年齢中央値61歳、男性52.7%)。<br> | ||
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− | そのため米・RAND CorporationのCarolyn M. Rutterと米・University of Washington School of MedicineのJohn M. Inadomiの両氏は同誌の付随論評(JAMA 2017; 317: 1627- | + | そのため米・RAND CorporationのCarolyn M. Rutterと米・University of Washington School of MedicineのJohn M. Inadomiの両氏は同誌の付随論評(JAMA 2017; 317: 1627-1628)で、<br> |
+ | 「Corley氏らの解析では、FIT陽性所見を得てから長期間が経過したケースを重視し過ぎた可能性がある」とし、「内視鏡検査を避けたいと考える患者は、症状が発現するまで検査を受けないかもしれない」と指摘。<br> | ||
「内視鏡検査の遅れががんリスク上昇に関連するように見えるが、そうではなく検査を避けていた患者が長期間経過後に症状を発現したため検査を受けた可能性もあり、大腸がんの頻度は自覚症状を有する患者の方が高い」と述べている。<br> | 「内視鏡検査の遅れががんリスク上昇に関連するように見えるが、そうではなく検査を避けていた患者が長期間経過後に症状を発現したため検査を受けた可能性もあり、大腸がんの頻度は自覚症状を有する患者の方が高い」と述べている。<br> | ||
〔メディカルトリビューンウェブ 2017.04.28 太田敦子〕 <br> | 〔メディカルトリビューンウェブ 2017.04.28 太田敦子〕 <br> | ||
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2021年7月18日 (日) 13:20時点における最新版
免疫学的便潜血検査
便潜血陽性で内視鏡の遅れは影響する? 米国の7万例を対象とした後ろ向きコホート研究 ☆
米・Kaiser Permanente Northern CaliforniaのDouglas A. Corley氏らは、免疫学的便潜血検査(FIT)を受けた50~70歳の米国人約7万例を対象にFIT陽性所見が得られてから大腸内視鏡検査を受けるまでの期間を比較した結果をJAMA(2017; 317: 1631-1641)に発表した
(関連記事「大腸がんスクリーニング勧告を改訂」)。
30日以内の受診は陽性例の3分の1
解析対象は、米・カリフォルニア州で大腸がんスクリーニングとして受検したFITで結果が陽性となり、大腸内視鏡検査を受けた50~70歳の7万124例(年齢中央値61歳、男性52.7%)。
FIT陽性所見から内視鏡検査までの間隔を、8~30日(対照群)、2カ月(31~60日)、3カ月(61~90日)、4~6カ月(91~180日)、7~9カ月(181~272日)、10~12カ月(273~365日)、12カ月超(366~1,751日)の7群に分けて大腸がんのリスクを比較検討した。
主要評価項目は、内視鏡検査時または検査後6カ月以内の大腸がん(病期を問わず全体)および進行がん(Stage ⅢおよびⅣ)の診断とした。
その結果、病期を問わず大腸がんと診断された患者は全体で2,191例(1,000例当たり31例)、進行がんは601例(同9例)であった。
検査間隔の中央値は37日で、30日以内に内視鏡検査を受けたFIT陽性例は33.3%にすぎなかった。
10カ月以後の受診でリスク上昇
検査間隔が9カ月以内の群では、対照群と比べて大腸がん全体のリスクに有意差がなかった(1,000例当たりの発生率は対照群30例、2カ月群28例、3カ月群31例、4~6カ月群31例、7~9カ月群43例)。
進行がんのリスクについても同様に有意差がなかった(それぞれ8例、7例、7例、9例、13例)。
一方、10~12カ月群では大腸がん全体のリスク〔オッズ比(OR)1.48、95%CI 1.05~2.08、1,000例当たり49例〕および進行がんリスク(同1.97、1.14~3.42、19例)の有意な上昇が認められた。
同様に、12カ月超群でも大腸がん全体のリスク(同 2.25、1.89~2.68、76例)および進行がんリスク(同3.22、2.44~4.25、31例)の有意な上昇が認められた。
以上の結果から、Corley氏らは「FIT陽性所見が得られてから内視鏡検査を受けるまでの間隔が8~30日の患者に比べて、10カ月超の患者では大腸がんの発症および進行のリスクが上昇した。
今後は因果関係を検討する研究が必要である」と結論付けている。
内視鏡の延期を反映した可能性も
今回の研究では、FIT陽性例の14%(8万1,518例中1万1,394例)が内視鏡検査を受けておらず、これは4カ月以上が経過してから検査を受けた患者より多い。
そのため米・RAND CorporationのCarolyn M. Rutterと米・University of Washington School of MedicineのJohn M. Inadomiの両氏は同誌の付随論評(JAMA 2017; 317: 1627-1628)で、
「Corley氏らの解析では、FIT陽性所見を得てから長期間が経過したケースを重視し過ぎた可能性がある」とし、「内視鏡検査を避けたいと考える患者は、症状が発現するまで検査を受けないかもしれない」と指摘。
「内視鏡検査の遅れががんリスク上昇に関連するように見えるが、そうではなく検査を避けていた患者が長期間経過後に症状を発現したため検査を受けた可能性もあり、大腸がんの頻度は自覚症状を有する患者の方が高い」と述べている。
〔メディカルトリビューンウェブ 2017.04.28 太田敦子〕