皮膚の役割は体性感覚プラス免疫機能
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「皮膚は知覚作用のほかに、いろいろな外からの刺激を保護したり、体温を調節するなどの働きがあるので、人によっては、感覚器から切り離して、独立させているくらいである」(吉岡郁夫『人体の不思議』講談社現代新書、30ページ、1986年)。<br> | 「皮膚は知覚作用のほかに、いろいろな外からの刺激を保護したり、体温を調節するなどの働きがあるので、人によっては、感覚器から切り離して、独立させているくらいである」(吉岡郁夫『人体の不思議』講談社現代新書、30ページ、1986年)。<br> | ||
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2018年1月19日 (金) 22:12時点における最新版
皮膚の役割は体性感覚プラス免疫機能
〔2014年7月31日〕
体性感覚というのを知りました(7月26日のブログ)。
少し前に『皮膚の医学』(田上八朗、中公新書、1999年)を読んだのを思い出し、もう一度読みなおしてみました。
そこでは知覚神経として次のように説明されています。
「単に角層がおおうだけでは、ものにぶつかったり、とげにひっかけたりで、皮膚はすぐに傷つきますので、アンテナや調節が必要です。
皮膚には表面のすぐ下にまで、痛い、熱い、冷たい、あるいは何かにさわっている、おしつけているといった感覚をキャッチする知覚神経の網が、くまなく張りめぐらされています。
つまり、皮膚は脳の出店といってよいように、知覚神経がネットワークを張っています。
逆にいうと脳のかなり広い部分は皮膚の感覚を支配する領域で占められています。
皮膚で危険を感じると、すぐにそれを無意識でも反射的に避けることができます」(85~86ページ)。
この時点までは、皮膚感覚や接触感覚の理解を超えた「体性感覚」の理解ではなかったわけです。
読み直して気付いたのは免疫機能の大切さです。
「生存のために、神経の働きより基本的な重要性をもつのが、この皮膚の免疫機能です。
外から入ってきた異常なものの情報をまずキャッチするのが、表皮内に長い枝を伸ばしている樹枝状のランゲルハンス細胞です」(94ページ)。
「この免疫反応は、微生物だけではなく、身のまわりの環境のいろいろな物質が侵入しても起こります。
この場合は、この物質がある環境で暮らすかぎりは、皮膚に免疫反応の炎症が起きつづけ、いつもつらい思いをすることになります。
じんましんやアレルギー性疾患がそれです」(105ページ)。
「アレルギー性接触皮膚炎に見られる免疫反応でも、わたしたちが生存してゆくうえに大切な基本的な防御機構が過剰に起こっていることによるわけですから、これを体質を変えておさえるということは、環境の微生物の侵入にもまったく反応しないからだをつくり、感染症には、なすすべもないからだにするという危険をはらんでいます」(204ページ)。
感覚器官としての皮膚感覚(体性感覚)が鋭いことは、感受性が鋭いことの理由になるでしょう。
感受性が鋭いのは体性感覚だけによらないかもしれません。
しかし欠かさずに考慮する点です。
他の感覚と同じく皮膚感覚も感覚自体は変えられないでしょう。
周囲の状況を鋭くキャッチする皮膚感覚の鋭い人は、ここでも不都合に出会います。
とりわけ免疫反応による身体症状と苦痛に悩まされます。
免疫機能は変えられず、免疫反応をコントロールしがたいのであれば、環境を変えるしかありません。
個人的な事情を変えることが可能であったとしても、大きな社会的な環境、たとえば石油からつくる大量の生活用品に関係することであれば、個人的には手の打ちようはありません。
よく大人になったら症状がおさまったというものがあります。
これは大きな環境の改善とは別問題でしょう。
免疫機能が成長したのか(?)、免疫反応が体力的にコントロールされたと理解されることなのでしょうか。
私の想定できる対策はここにあるかもしれません。
この通俗的な理解が、せっかくのものを壊すのか、何かの手がかりになるのか……謎です。
なお皮膚とは何かを考えると「皮膚は基本的にはわたしたちのからだを包み、環境からまもる働きをする大切な防御機関です。
しかも、人体で最大の臓器です」(1ページ)を忘れてはいけないでしょう。
ある本によればこうです。
「皮膚は知覚作用のほかに、いろいろな外からの刺激を保護したり、体温を調節するなどの働きがあるので、人によっては、感覚器から切り離して、独立させているくらいである」(吉岡郁夫『人体の不思議』講談社現代新書、30ページ、1986年)。