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引きこもっている当事者に“強制的な外出”を促す方法(4)

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2017年11月12日 (日) 17:46時点における最新版

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引きこもっている当事者に“強制的な外出”を促す方法(4)

もう一人、20代後半の男性、Rくんへの訪問活動を紹介します。
訪問に先立ち「自由選択方式」を採用していません。
打ち合わせが不十分であったのです。
約7か月にわたり20回以上訪ねました。
正月期間を挟んだので3週回以上空いた時期がありますが、他はコンスタントに毎週訪ねています。
そして1度も顔を合わせることもなく終了しました。
2階の部屋がRくん自室で、階段を上がったところからそのRくんの部屋の間に4畳半ぐらいのスペースがありました。
そのスペースにいることはRくんの部屋の出入口の前にいることになります。
そこから初めに声をかけ、後は座って待ちます。
本を読みながら待つことが多かったです。
Rくんは玄関からではなく2階の自室の窓側から出入りすることもあります。
ひきこもり当事者がときたましている2階の自室からの出入り方法です。
隣のスペースの窓からRくんの部屋の窓側を見ると、1階の屋根の上に敷物がありそこに靴らしきものが見えたことがありました。
ここからの観察も1方法ですが何かをつかめたわけではありません。

訪ねてきたとき「松田です。こんにちは、お話しませんか」というような声をかけて後は待ちます。
その20回以上の機会にはいろいろな試みをしています。
初めのころは、その場で書いたメモを入口の引き戸に挟んでおきました。
後になるとやや詳しい手紙を用意して行きました。
会えないとわかり階下でご両親との話しに進む前にそれを挟んで帰るのです。
Rくん側の対応として、私が訪ねてくる時間に合わせて眠るようにしているのではないか。
お母さんからそういう話を聞いて、それまでの訪問時間を夜に変えてみたこともあります。
Rくんがネットを見ていると聞いていたので、不登校情報センターのサイトを見てください、こういうサイトの制作を一緒にしませんかと誘ってみたこともあります。
他にもありますが、いずれも功を奏しませんでした。

どうして会おうとしないのか、本当のところはわかりません。
子ども時代からの性格と行動の特徴が関係しています(小学校時代に長い不登校経験があります)。
対人恐怖感が相当にあることは予想できます。
外出は夜間に時たまあったようです。
以前に関わったある支援団体での経験がマイナスに働いているのではないかとお母さんは言います。
いろいろな背景がありますが、それらを超えようとするのが、訪問相談活動です。
そこを超えられなかったのが私の力量不足なのです。
はじめに「自由選択方式」の手続きをちゃんとしていなかった影響が大きかったかもしれません。
ひきこもっている当事者の感じる困難とRくんがそれへの対応方法を考える場を提供していないのです。
前回に書いたPくんのように訪問担当者が交代して「自由選択方式」から始める、私が訪問を続けながら「自由選択方式」を設定し直す、そういうものがあってもよかったと反省もしました。
選択肢を明瞭に示し、それに対する意思表示の機会を設けるのが「自由選択方式」の主要な面です。
“強制的な面会”による“強制的な外出”が主要な性格ではないのです。
それは家族(母親になることが多い)もまた決意がいるのです。
Rくんの場合はそこが曖昧であったのです。

引きこもっている当事者に“強制的な外出”を促す方法(1)
引きこもっている当事者に“強制的な外出”を促す方法(2)
引きこもっている当事者に“強制的な外出”を促す方法(3)
引きこもっている当事者に“強制的な外出”を促す方法(4)
引きこもっている当事者に“強制的な外出”を促す方法(5)

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