カスタム検索(不登校情報センターの全サイト内から検索)

 
Clip to Evernote  Twitterボタン  AtomFeed  このエントリーをはてなブックマークに追加  


NO GAME, NO LIFE?

提供: 不登校ウィキ・WikiFutoko | 不登校情報センター
(版間での差分)
移動: 案内, 検索
(NO GAME, NO LIFE?)
 
(1人の利用者による、間の2版が非表示)
62行: 62行:
 
時には100の言葉よりも、楽しそうにしている親の背中が子に良い影響を与えることもあるのです。<br>
 
時には100の言葉よりも、楽しそうにしている親の背中が子に良い影響を与えることもあるのです。<br>
  
[[Category:セシオネット親の会| nogamenolife?]]  
+
[[Category:セシオネット親の会|nogamenolife?]]  
[[Category:清水大樹|2022年11月]]
+
[[Category:清水大樹|2022年11月]]

2023年3月25日 (土) 23:46時点における最新版

NO GAME, NO LIFE?

今回は私がひきこもり訪問支援をしていて最も意外に思ったことを書いていきます。
それはずばりゲーム好きな人が少ないことです。
私はこの活動を始める際、ひきこもりの人は一日中ゲームをしているイメージがあるし、ゲーム好きな自分なら話が合いやすいだろうと思っていました。
実際、それは今でも正しかったと思っていますし、そのおかげで話題には事欠かず、ずいぶんゲームには助けられたものです。
もちろん私一人がかかわることのできた人数では統計的にどうこう言えるものではありませんが、私の知る限りほぼ全員が何かしらのゲームを日常的に遊んでいました。
ですが、毎日のようにやっていることと、ゲーム好きとは必ずしもイコールとは限らないことが分かったのです。

最も分かりやすい例として、私が一番仲の良いHくんのケースを紹介しましょう。
Hくんは当時中1相当の年齢で、一日中ゲームをしていました。
私とはゲームの話題で盛り上がり、すぐに仲良くなることが出来ました。
ある日、私が「俺にとってゲームは肉なんだよな。魚も野菜も食べるし好きなんだけど、やっぱり一番好きなのは肉だな」と言うと、彼はすかさず「僕にとっては米ですね」と返しました。
自分にとってゲームは主食であり、飽きるとか飽きないとかの次元ではなく毎日やり続けるものだと言うのです。
その時はなかなか言うじゃないかと感心したものです。
たしかにその後数年は宣言通りゲームばかりしていました。
ですが、大学の予備校に入り、友人が増えていくにつれて彼の趣味に変化が起きてきました。
友人と頻繁に旅行をするようになり、ゲームの話よりも土産話を聞いたり撮った写真を見せてもらったりといったことのほうが多くなりました。
そしてあれだけ熱中していたゲームは、スマホゲームを少し触る程度にまで落ち着いてしまいました。
まさかの「米派」から「パン派」への転向には私も驚かされましたし、同時に少し寂しい気分にもなりました。

ゲームをやっているひきこもり当事者はたしかに多いです。
ですが、それはゲームが一人で遊べて、あまりお金がかからず、より長く時間が潰せるポピュラーな手段であるというだけなのです。
親御さんからすれば、「うちの子はゲームばかりやって……」と心配になるかもしれませんが、それは暇つぶしの手段がそれしかないだけです。
他にやりたいことができれば自然とやらなくなります。
ですから、あまりゲームばかりしていることを心配する必要はありません。
ゲームをするためにひきこもっているのではなく、ひきこもっていて他にやることがないからゲームをするのです。
そこを取り違えて、とにかくゲームだけやめさせようとしてもろくなことになりません。
他にやりたいことがないのにゲームだけ取り上げたら毎日が虚無になります。
当然本人は取り上げられまいとして抵抗しますし、その様子を見て「やはりゲーム依存になっているからやめさせるのが正しい」と誤解することだけはないようにしていただきたいものです。

無論例外もあります。例えば親のクレジットカードを使い込んで多額の課金をしているとか、ゲームのやりすぎで健康に支障があるというような場合には一度ゲームと距離を置く必要があります。
ですが、そういったケースを除けばあまり積極的に介入すべき所ではないと思います。
ゲームはあくまで枝葉の部分であり、ひきこもっている原因の根っこは別の所にあるのですから目を向けるべきはそちらです。
そして、それが一朝一夕でどうこうなるものではなく、長い目で見ていかなければならないことは言うまでもありません。
余談ですが、昼夜逆転についても同じことが言えます。
生活リズムが崩れていることを心配する親御さんも多く見受けられますが、当事者からすれば「なぜ用もないのに朝に起きなければいけないの?」ということになります。
朝早く起きるのは学校や会社に行くためであって、休日は平日よりも遅く起きるという方も多いと思います。
ひきこもりの場合それがより極端な形で表れているだけです。
必要がないから朝起きないだけであって、必要に迫られれば自然と起きられるようになりますし、またそうなるように本人も努力します。
必要もないのに生活リズムだけ矯正しても、長続きしないのであまり意味がありません。

更に完全に余談なのですが、私のゲーム以外の趣味についてお話します。
私はここ数年サイクリングにハマっています。
周囲からは急にアウトドアな趣味に目覚めたように言われますが、一人で遊べて、お金がかからず、長く時間が潰せるという点で実はゲームと変わらないのです。
おまけに健康に良くて、見知らぬ土地へ行って好奇心まで満たせると良いことずくめです。
当事者には近所の人の目が気になって出かけられないという人も多いかもしれませんが、10分もあれば地元の生活圏からは抜け出せますし、今の時期ならマスクで自然に顔を隠せるので多少ハードルは低いはずです。
最近の私は単にサイクリングするだけでなく、旅行支援のキャンペーンを活用してほとんどお金をかけずに宿に泊まったり、温泉施設まで行って汗を流して帰ってくるということもしています。
誰の力にも頼ることなく、ひたすら自身の体力の限界まで走るのは他では味わえない解放感があるので、オススメです。
まあオススメ云々はともかく、30年以上ずっと「肉食」だった私ですらこういうことになるので、どんな人でもゲーム以外の趣味がきっと見つかります。
もしも見つからなかったら?
それはそれで見上げたゲーム愛ですし、それもまた尊重されるべきものでしょう。

最後に、ここまでひきこもり当事者の趣味の話をしてきましたが、実は親御さんの趣味も大切なのです。
つい最近私が1年半ほど訪問している家庭のお父さんから、趣味で小さなエンジンを組んで動かすことに熱中していると聞かされました。
リモートワークで在宅されていることも多いので以前から軽いあいさつ程度はしていましたが、そんな趣味をお持ちとは知りませんでした。
何より、エンジンのパーツを中国から取り寄せたり、分からないことを秋葉原まで行って電機屋の店員に聞いたりといった苦労を楽しそうに語る姿に圧倒されました。
そういう話を息子さんにしてあげてくださいよと言いたくもなりましたが、趣味に熱中する姿を見せるだけでも大いに意味があります。
誰だって自分の親が憂鬱そうにしているよりも、楽しそうに趣味に興じている姿のほうが見ていて嬉しいのです。
お子さんの将来のことが心配でため息をついてしまうのも無理はありませんし、それが親心というものなのでしょうが、どうかあまり悲観的にならず自分の時間を大事にしていただきたいです。
時には100の言葉よりも、楽しそうにしている親の背中が子に良い影響を与えることもあるのです。

個人用ツール
名前空間
変種
操作
案内
地域
不登校情報センター
イベント情報
学校・教育団体
相談・支援・公共機関
学校・支援団体の解説
情報・広告の掲載
体験者・当事者
ショップ
タグの索引
仕事ガイド
ページの説明と構造
ツールボックス