練馬区家庭内暴力の息子刺殺事件
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− | + | '''「元農水次官の長男殺害」に重なる23年前の事件'''<br> | |
− | + | 44歳の息子を殺害した元農水次官による事件。「息子殺し」の事件では23年前の事件にも共通するものがありました。<br> | |
− | ''' | + | 農林水産省の元事務次官の熊沢英昭被告(76歳)が、東京都練馬区の自宅で長男(当時44歳)を刺殺したとして殺人罪に問われた裁判。<br> |
− | + | 東京地方裁判所は12月16日に懲役6年(求刑懲役8年)の実刑判決を言い渡した。<br> | |
− | + | ところが、その4日後の20日に東京高裁が保釈を認める決定を出し、保釈金500万円を支払った熊沢被告は保釈された。<br> | |
− | + | 殺人罪で実刑判決を受けた被告が保釈されるという極めて異例の展開をたどっており、控訴審で判決が見直される可能性もある。<br> | |
− | + | ひきこもりがちだった長男の家庭内暴力に悩み、東京大学を出て頂点にまで登り詰めたエリート官僚の凶行。<br> | |
− | + | 発達障害だった息子に献身的に寄り添う姿も明らかになり、また、熊沢被告は事件直後に自ら110番通報するなど、当初から罪を認め、弁護側も執行猶予付き判決を主張したことから、その量刑に注目が集まっていた。<br> | |
− | + | 果たして、懲役6年の判決は適切だったのか。<br> | |
− | + | ■あまりにも似た構図の23年前の金属バット殺人事件<br> | |
− | + | この判決を語る前に、どうしても振り返っておきたい事件がある。<br> | |
− | + | いまから23年前の1996年11月6日に起きたもう1つの息子殺しの事件だ。<br> | |
− | + | 俗に「東京・湯島金属バット殺人事件」と呼ばれるもので、こちらも家庭内暴力に悩んだ父親が、当時14歳の長男を金属バットで殴り殺している。<br> | |
− | + | この事件の背景が、あまりに今回とそっくりなのだ。<br> | |
− | + | ところが、こちらの判決は懲役3年。今回の半分の量刑で終わっている。<br> | |
− | + | この湯島の事件の父親も、実は東京大学を卒業していた。<br> | |
− | + | それも熊沢被告と卒業年度が近く、ほぼ同じ時期を東大で過ごしている。<br> | |
− | + | しかも、卒業後は出版社に勤務するのだが、この父親の父親、すなわち被害者の祖父は京都大学を出て農林省(農林水産省の前身)に入省して東京勤務になっているのだから、もうそこから因縁めいている。<br> | |
− | + | さらに、熊沢被告には長女がいたが、長男の素行が原因で婚約が破談になり、自殺していたことが公判で明かされている。湯島の場合も長男の上に長女がいる家族構成まで同じだ。<br> | |
− | + | この家族は、文京区湯島のマンションに一家で暮らしていたが、長男が中学に進学した頃から、「朝の起こし方が悪い」というような理由で、母親に暴力を振るうようになる。<br> | |
− | + | 父親はやめるように言い放つも、その暴力が父親のほうに向きはじめる。<br> | |
− | + | エスカレートする息子の暴力に、父親は都内の精神科クリニックに相談したところ、「息子を受け入れるように」と諭されて、これに納得する。<br> | |
− | + | やがて、暴力に耐えかねた母親が家出。<br> | |
− | + | 暴力に加えて不登校にもなったことから、再びクリニックに相談するも、医師からはこう告げられたという。<br> | |
− | + | 「奴隷のように使われるのも、ひとつの技術と考えて頑張るように」<br> | |
− | + | 父親はこれに従順に従い、むしろ息子に尽くすようになる。<br> | |
− | + | また、息子のために処方された睡眠薬と精神安定剤をこっそり味噌汁に混ぜるなどして飲ませている。<br> | |
− | + | それでも買ってきたサンドイッチが気に食わないと言っては、父親を足蹴にして鼻を折るなど、暴力はやむことはない。<br> | |
− | + | 長男が中学3年になったとき、長女が入院させることを提案。<br> | |
− | + | 世田谷区の精神病院に見学に行くが、実際の入院施設を見て、入院させると息子がショックを受けてしまうのではないか、と思いとどまる。<br> | |
− | + | そして、犯行の2カ月前。父親は金属バットと縄跳びの縄を購入して、自宅に隠すようになった。<br> | |
− | + | 縄跳びはバットで中途半端に殴るよりも、首を絞めて完全に殺してあげたいという思いからだったという。<br> | |
− | + | やがて、事件前日。職場から帰った父親は息子にゲームの攻略本を買ってくるように乞われて(というより、命じられて)、買いに出かけ、戻るとすぐにレンタルビデオの返却に向かう。<br> | |
− | + | 夜10時。帰宅すると、息子に言われて購入しておいたTシャツを見せる。<br> | |
− | + | すると、気に食わなかった息子は、「なんでこんなもの買ってきたんだ」「すぐ返してこい」などと言って殴りはじめた。<br> | |
− | + | その翌朝。この日は息子に朝7時に声をかけて起こすことになっていた。<br> | |
− | + | 6時半頃に寝室に入ると、息子は頭をこちらに向けて眠っていた。<br> | |
− | 〔2019年12/ | + | 「いまは静かだが、今日もまた殴られるんだなあ」<br> |
+ | そう思った父親は、隠していた金属バットと縄跳びを持ち出してくる。<br> | ||
+ | 午前7時過ぎ、父親は金属バットを息子の頭部に4~5回振り落とした。<br> | ||
+ | その後、首に縄跳びを巻いて絞めた。息子は脳挫傷と窒息により死亡した。<br> | ||
+ | 父親は、返り血で汚れた服を着替え、そのまま近くの警察署に自首している。<br> | ||
+ | ■熊沢被告も息子との関係づくりの努力をしていたが…<br> | ||
+ | 他方で熊沢被告の長男も、やはり中学に入学した頃から母親に暴力を振るうようになった。<br> | ||
+ | 大学進学を機に独り暮らしをはじめてからは、熊沢被告が月に1度は発達障害で苦手なゴミの片付けの手伝いに通い、定期的に長男の状況を主治医に伝え、処方箋を届けるなど、長年にわたって世話を続けた。<br> | ||
+ | また「生きがいを持たせたい」とコミックマーケットへの出品を勧め、会場で売り子として手伝ったこともあったという。<br> | ||
+ | 判決では、この点を評価して「適度な距離感を保ちつつ、安定した関係を築く努力をしてきた」と言及している。<br> | ||
+ | ところが、事件の1週間前に長男が実家に戻ると、熊沢被告に暴力を振るうようになる。<br> | ||
+ | ゴミの処分の話から、熊沢被告の髪の毛を引っ張ってサイドボードに頭を打ちつけるなど暴行を加えた。<br> | ||
+ | 夫婦は実家の2階で暮らすようになる。<br> | ||
+ | そして事件当日の今年6月1日、2階から降りてきたところで長男と目が合い、「殺すぞ」と言われたことから台所にあった包丁を手に取り、凶行に及んだ。<br> | ||
+ | 懲役3年と6年。同時期に東大を出た2人の父親の違いはどこにあるのか。<br> | ||
+ | 違うとすれば、熊沢被告の判決文にあるように、「(長男の)主治医や警察に相談することが可能で、現実的な対処方法があったのに同居してわずか1週間ほどで殺害を決意して実行した」とする点だろう。<br> | ||
+ | 同判決では、同居翌日に暴行を受け、殺害を考えるようになったと指摘。<br> | ||
+ | 妻に心中をほのめかす手紙を書き、インターネットで殺人罪の量刑を検索していた経緯や、首や胸など少なくとも36カ所以上をめった刺しにしていることも踏まえ、「強固な殺意に基づく危険な行為で、犯行に至る経緯には短絡的な面がある」と批判している。<br> | ||
+ | だが、仮に警察や専門機関に相談したところで、犯行は回避できただろうか。<br> | ||
+ | 湯島のケースでは、精神科医に相談したところで「息子を受け入れること」「奴隷になること」を勧められているありさま。<br> | ||
+ | 事件の1カ月前には、新しいカウンセラーに相談もしているが、凶行は止められなかった。<br> | ||
+ | むしろ、湯島の事件では、あらかじめ金属バットと、確実に殺害するための縄跳びを購入していることからすれば、より計画的で強固な殺意がうかがえる。<br> | ||
+ | あれから20年以上が経って、ひきこもりや、子どもからの家庭内暴力に対する有効な手立てが見つかっているとはいえない。<br> | ||
+ | 「犯罪白書」でも家庭内暴力事件の認知件数は増加の一途。<br> | ||
+ | 内閣府の調査でも、ひきこもりの長期化・高齢化が顕著で、熊沢被告の親子関係にも象徴されるように、80代の親が50代のひきこもりの子の生活を支える「8050問題」という言葉が世間に飛び交う。<br> | ||
+ | ■20年以上が経っても同じ構図の事件は繰り返されている<br> | ||
+ | 金属バットで息子を殴り殺した湯島の父親は、公判でこう述べていた。<br> | ||
+ | 「現に家庭内暴力に苦しんでいる親に『絶対に子どもを殺すようなことはしてはいけない』ということを伝えるためにも刑を軽くしてほしいとは言いたくない」<br> | ||
+ | 懲役3年は、執行猶予が付く最低のラインだ。検察の求刑からして懲役5年だったが、執行猶予は付かなかった。<br> | ||
+ | 恐ろしいと思うのは、20年が経っても、同じ構図の事件が繰り返されていることだ。<br> | ||
+ | そうなると、また20年先には、悩み苦しんだ父親が咄嗟に息子を殺す事件が繰り返される可能性も否定できない。<br> | ||
+ | 「歴史に学ばないものは、同じ過ちを繰り返す」というが、同じ東京地裁での過去の判決から20年が経って、息子殺しにはより厳しい判決が下された。<br> | ||
+ | その熊沢被告が保釈されたいま、20年前の判例に照らして量刑が見直されることはあるのか。<br> | ||
+ | 執行猶予がつくのか、あるいは懲役6年の実刑が減刑されるのか。<br> | ||
+ | 日本の司法が試されている、といっても過言ではない。<br> | ||
+ | 〔2019年12/21(土) 東洋経済オンライン 青沼 陽一郎 :作家・ジャーナリスト〕 <br> | ||
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2023年1月31日 (火) 19:13時点における最新版
練馬区家庭内暴力の息子刺殺事件
所在地 | 東京都練馬区 |
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「元農水次官の長男殺害」に重なる23年前の事件
44歳の息子を殺害した元農水次官による事件。「息子殺し」の事件では23年前の事件にも共通するものがありました。
農林水産省の元事務次官の熊沢英昭被告(76歳)が、東京都練馬区の自宅で長男(当時44歳)を刺殺したとして殺人罪に問われた裁判。
東京地方裁判所は12月16日に懲役6年(求刑懲役8年)の実刑判決を言い渡した。
ところが、その4日後の20日に東京高裁が保釈を認める決定を出し、保釈金500万円を支払った熊沢被告は保釈された。
殺人罪で実刑判決を受けた被告が保釈されるという極めて異例の展開をたどっており、控訴審で判決が見直される可能性もある。
ひきこもりがちだった長男の家庭内暴力に悩み、東京大学を出て頂点にまで登り詰めたエリート官僚の凶行。
発達障害だった息子に献身的に寄り添う姿も明らかになり、また、熊沢被告は事件直後に自ら110番通報するなど、当初から罪を認め、弁護側も執行猶予付き判決を主張したことから、その量刑に注目が集まっていた。
果たして、懲役6年の判決は適切だったのか。
■あまりにも似た構図の23年前の金属バット殺人事件
この判決を語る前に、どうしても振り返っておきたい事件がある。
いまから23年前の1996年11月6日に起きたもう1つの息子殺しの事件だ。
俗に「東京・湯島金属バット殺人事件」と呼ばれるもので、こちらも家庭内暴力に悩んだ父親が、当時14歳の長男を金属バットで殴り殺している。
この事件の背景が、あまりに今回とそっくりなのだ。
ところが、こちらの判決は懲役3年。今回の半分の量刑で終わっている。
この湯島の事件の父親も、実は東京大学を卒業していた。
それも熊沢被告と卒業年度が近く、ほぼ同じ時期を東大で過ごしている。
しかも、卒業後は出版社に勤務するのだが、この父親の父親、すなわち被害者の祖父は京都大学を出て農林省(農林水産省の前身)に入省して東京勤務になっているのだから、もうそこから因縁めいている。
さらに、熊沢被告には長女がいたが、長男の素行が原因で婚約が破談になり、自殺していたことが公判で明かされている。湯島の場合も長男の上に長女がいる家族構成まで同じだ。
この家族は、文京区湯島のマンションに一家で暮らしていたが、長男が中学に進学した頃から、「朝の起こし方が悪い」というような理由で、母親に暴力を振るうようになる。
父親はやめるように言い放つも、その暴力が父親のほうに向きはじめる。
エスカレートする息子の暴力に、父親は都内の精神科クリニックに相談したところ、「息子を受け入れるように」と諭されて、これに納得する。
やがて、暴力に耐えかねた母親が家出。
暴力に加えて不登校にもなったことから、再びクリニックに相談するも、医師からはこう告げられたという。
「奴隷のように使われるのも、ひとつの技術と考えて頑張るように」
父親はこれに従順に従い、むしろ息子に尽くすようになる。
また、息子のために処方された睡眠薬と精神安定剤をこっそり味噌汁に混ぜるなどして飲ませている。
それでも買ってきたサンドイッチが気に食わないと言っては、父親を足蹴にして鼻を折るなど、暴力はやむことはない。
長男が中学3年になったとき、長女が入院させることを提案。
世田谷区の精神病院に見学に行くが、実際の入院施設を見て、入院させると息子がショックを受けてしまうのではないか、と思いとどまる。
そして、犯行の2カ月前。父親は金属バットと縄跳びの縄を購入して、自宅に隠すようになった。
縄跳びはバットで中途半端に殴るよりも、首を絞めて完全に殺してあげたいという思いからだったという。
やがて、事件前日。職場から帰った父親は息子にゲームの攻略本を買ってくるように乞われて(というより、命じられて)、買いに出かけ、戻るとすぐにレンタルビデオの返却に向かう。
夜10時。帰宅すると、息子に言われて購入しておいたTシャツを見せる。
すると、気に食わなかった息子は、「なんでこんなもの買ってきたんだ」「すぐ返してこい」などと言って殴りはじめた。
その翌朝。この日は息子に朝7時に声をかけて起こすことになっていた。
6時半頃に寝室に入ると、息子は頭をこちらに向けて眠っていた。
「いまは静かだが、今日もまた殴られるんだなあ」
そう思った父親は、隠していた金属バットと縄跳びを持ち出してくる。
午前7時過ぎ、父親は金属バットを息子の頭部に4~5回振り落とした。
その後、首に縄跳びを巻いて絞めた。息子は脳挫傷と窒息により死亡した。
父親は、返り血で汚れた服を着替え、そのまま近くの警察署に自首している。
■熊沢被告も息子との関係づくりの努力をしていたが…
他方で熊沢被告の長男も、やはり中学に入学した頃から母親に暴力を振るうようになった。
大学進学を機に独り暮らしをはじめてからは、熊沢被告が月に1度は発達障害で苦手なゴミの片付けの手伝いに通い、定期的に長男の状況を主治医に伝え、処方箋を届けるなど、長年にわたって世話を続けた。
また「生きがいを持たせたい」とコミックマーケットへの出品を勧め、会場で売り子として手伝ったこともあったという。
判決では、この点を評価して「適度な距離感を保ちつつ、安定した関係を築く努力をしてきた」と言及している。
ところが、事件の1週間前に長男が実家に戻ると、熊沢被告に暴力を振るうようになる。
ゴミの処分の話から、熊沢被告の髪の毛を引っ張ってサイドボードに頭を打ちつけるなど暴行を加えた。
夫婦は実家の2階で暮らすようになる。
そして事件当日の今年6月1日、2階から降りてきたところで長男と目が合い、「殺すぞ」と言われたことから台所にあった包丁を手に取り、凶行に及んだ。
懲役3年と6年。同時期に東大を出た2人の父親の違いはどこにあるのか。
違うとすれば、熊沢被告の判決文にあるように、「(長男の)主治医や警察に相談することが可能で、現実的な対処方法があったのに同居してわずか1週間ほどで殺害を決意して実行した」とする点だろう。
同判決では、同居翌日に暴行を受け、殺害を考えるようになったと指摘。
妻に心中をほのめかす手紙を書き、インターネットで殺人罪の量刑を検索していた経緯や、首や胸など少なくとも36カ所以上をめった刺しにしていることも踏まえ、「強固な殺意に基づく危険な行為で、犯行に至る経緯には短絡的な面がある」と批判している。
だが、仮に警察や専門機関に相談したところで、犯行は回避できただろうか。
湯島のケースでは、精神科医に相談したところで「息子を受け入れること」「奴隷になること」を勧められているありさま。
事件の1カ月前には、新しいカウンセラーに相談もしているが、凶行は止められなかった。
むしろ、湯島の事件では、あらかじめ金属バットと、確実に殺害するための縄跳びを購入していることからすれば、より計画的で強固な殺意がうかがえる。
あれから20年以上が経って、ひきこもりや、子どもからの家庭内暴力に対する有効な手立てが見つかっているとはいえない。
「犯罪白書」でも家庭内暴力事件の認知件数は増加の一途。
内閣府の調査でも、ひきこもりの長期化・高齢化が顕著で、熊沢被告の親子関係にも象徴されるように、80代の親が50代のひきこもりの子の生活を支える「8050問題」という言葉が世間に飛び交う。
■20年以上が経っても同じ構図の事件は繰り返されている
金属バットで息子を殴り殺した湯島の父親は、公判でこう述べていた。
「現に家庭内暴力に苦しんでいる親に『絶対に子どもを殺すようなことはしてはいけない』ということを伝えるためにも刑を軽くしてほしいとは言いたくない」
懲役3年は、執行猶予が付く最低のラインだ。検察の求刑からして懲役5年だったが、執行猶予は付かなかった。
恐ろしいと思うのは、20年が経っても、同じ構図の事件が繰り返されていることだ。
そうなると、また20年先には、悩み苦しんだ父親が咄嗟に息子を殺す事件が繰り返される可能性も否定できない。
「歴史に学ばないものは、同じ過ちを繰り返す」というが、同じ東京地裁での過去の判決から20年が経って、息子殺しにはより厳しい判決が下された。
その熊沢被告が保釈されたいま、20年前の判例に照らして量刑が見直されることはあるのか。
執行猶予がつくのか、あるいは懲役6年の実刑が減刑されるのか。
日本の司法が試されている、といっても過言ではない。
〔2019年12/21(土) 東洋経済オンライン 青沼 陽一郎 :作家・ジャーナリスト〕