立花高等学校
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+ | 「子どもたちが『助けて』と言えず死んでいくのは、大人が助けてと言わないからだ」-。<br> | ||
+ | 福岡県弁護士会は、引きこもりや生活困窮による自殺を予防しようとシンポジウム「だれも孤立させない社会をめざして」を開いた。<br> | ||
+ | ホームレスの自立支援などに取り組む北九州市のNPO法人「抱樸」(ほうぼく)の奥田知志理事長や、不登校経験者を多く受け入れる立花高(福岡市)の斎藤真人校長が対策を訴えた。<br> | ||
+ | 奥田理事長は講演で二つの事件に触れた。<br> | ||
+ | 今年5月に川崎市で児童ら20人が殺傷された事件と、その直後に発生した東京都で元農林水産事務次官が長男を刺殺した事件だ。<br> | ||
+ | 前者では加害者、後者では被害者が引きこもり状態にあったとされる。<br> | ||
+ | 川崎の事件を巡ってはテレビ番組でコメンテーターらが「1人で死ね」という趣旨の発言をし、インターネット上で賛否両論があふれたことでも話題になった。<br> | ||
+ | 「自己責任や身内の責任が社会の道徳となり、『助けて』と言えない、言わせない社会になっている」<br> | ||
+ | 奥田理事長はこう語り、「引きこもりは本人だけでなく家族も孤立している。『迷惑は悪だ』という考え方が彼らの孤立を助長している」と続けた。<br> | ||
+ | また、引きこもり当事者を家族が引き受け続ける一方、社会として担う仕組みがないと主張。<br> | ||
+ | 居住支援などを通じて家族の負担を社会に分担することが必要と強調した。<br> | ||
+ | シンポジウムで不登校の生徒への支援について語る立花高の斎藤真人校長(左)<br> | ||
+ | '''NPO法人「抱樸」の奥田知志理事長も講演した'''<br> | ||
+ | 立花高の斎藤校長は全校生徒約500人のうち、8割が中学時代に不登校を経験していることを紹介。<br> | ||
+ | 「名前を書けば入試に受かる」とのうわさが広がっていることに触れ、斎藤校長は「事実です」と認めた。<br> | ||
+ | 「不登校だった生徒がどれだけの思いで学校に来て、答案に名前を書いているか。分かっていて落とせるわけがない」<br> | ||
+ | 中学時代に一度も学校に行ったことのない生徒も多い。<br> | ||
+ | 入試問題や校内の掲示物などに振り仮名をつけていることや、卒業後にすぐ就職や進学をしなかった生徒たちの中には、<br> | ||
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+ | 斎藤校長は「当たり前にとらわれない。不登校の子が安心していられる空間でありたい」と言葉を強めた。<br> | ||
+ | 一方で、引きこもりの当事者や家族を巡る状況について「対立軸をあおり攻撃する、悪者探しをする傾向の社会で肩身の狭い思いをしている」と語った。<br> | ||
+ | 一連の事件の後に、卒業生の1人が自ら命を絶ったことも明かした。<br> | ||
+ | 「『自分がいつか同じように父母に迷惑をかけるのでは』と心配したこの子の優しさから幕を引いたと思う」。<br> | ||
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+ | シンポは9月28日、福岡市であった。<br> | ||
+ | 県弁護士会の小鉢由美弁護士は自殺遺族や支援者に向けた同会の法律相談などの支援を紹介。<br> | ||
+ | 「(いろいろな立場の)みんなが一歩ずつはみ出しあって、支援が面になればいいと思う」と語った。<br> | ||
+ | 〔2019/10/3 西日本新聞(黒田加那)〕 <br> | ||
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2019年10月16日 (水) 13:55時点における版
目次 |
立花高等学校
教育機関としての性格 | 全日制高校 | |||||||||
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教育活動の特色 |
|
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代表者名 | 校長 齋藤 眞人 | |||||||||
住所 | 〒811-0213 福岡県福岡市東区和白丘2-24-43 |
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TEL | 092-606-2792 | |||||||||
FAX | 092-606-2846 | |||||||||
法人名 | 学校法人 立花学園 | |||||||||
設置コースと学費 |
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在籍する児童・生徒について |
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情報提供年月 | 2017年6月 |
周辺ニュース
ページ名立花高等学校、福岡県福岡市 (全日制高校・福岡県)
「助けて」と言える社会へ 引きこもりや生活困窮孤立させない 自殺予防を考えるシンポ
「子どもたちが『助けて』と言えず死んでいくのは、大人が助けてと言わないからだ」-。
福岡県弁護士会は、引きこもりや生活困窮による自殺を予防しようとシンポジウム「だれも孤立させない社会をめざして」を開いた。
ホームレスの自立支援などに取り組む北九州市のNPO法人「抱樸」(ほうぼく)の奥田知志理事長や、不登校経験者を多く受け入れる立花高(福岡市)の斎藤真人校長が対策を訴えた。
奥田理事長は講演で二つの事件に触れた。
今年5月に川崎市で児童ら20人が殺傷された事件と、その直後に発生した東京都で元農林水産事務次官が長男を刺殺した事件だ。
前者では加害者、後者では被害者が引きこもり状態にあったとされる。
川崎の事件を巡ってはテレビ番組でコメンテーターらが「1人で死ね」という趣旨の発言をし、インターネット上で賛否両論があふれたことでも話題になった。
「自己責任や身内の責任が社会の道徳となり、『助けて』と言えない、言わせない社会になっている」
奥田理事長はこう語り、「引きこもりは本人だけでなく家族も孤立している。『迷惑は悪だ』という考え方が彼らの孤立を助長している」と続けた。
また、引きこもり当事者を家族が引き受け続ける一方、社会として担う仕組みがないと主張。
居住支援などを通じて家族の負担を社会に分担することが必要と強調した。
シンポジウムで不登校の生徒への支援について語る立花高の斎藤真人校長(左)
NPO法人「抱樸」の奥田知志理事長も講演した
立花高の斎藤校長は全校生徒約500人のうち、8割が中学時代に不登校を経験していることを紹介。
「名前を書けば入試に受かる」とのうわさが広がっていることに触れ、斎藤校長は「事実です」と認めた。
「不登校だった生徒がどれだけの思いで学校に来て、答案に名前を書いているか。分かっていて落とせるわけがない」
中学時代に一度も学校に行ったことのない生徒も多い。
入試問題や校内の掲示物などに振り仮名をつけていることや、卒業後にすぐ就職や進学をしなかった生徒たちの中には、
社会に出る前のステップとして学校食堂で働いている卒業生もいることなどを紹介した。
斎藤校長は「当たり前にとらわれない。不登校の子が安心していられる空間でありたい」と言葉を強めた。
一方で、引きこもりの当事者や家族を巡る状況について「対立軸をあおり攻撃する、悪者探しをする傾向の社会で肩身の狭い思いをしている」と語った。
一連の事件の後に、卒業生の1人が自ら命を絶ったことも明かした。
「『自分がいつか同じように父母に迷惑をかけるのでは』と心配したこの子の優しさから幕を引いたと思う」。
卒業生の両親はそう語ったという。
「引きこもりという現象を社会全体が追い詰めすぎているのでは」と斎藤校長は警鐘を鳴らした。
シンポは9月28日、福岡市であった。
県弁護士会の小鉢由美弁護士は自殺遺族や支援者に向けた同会の法律相談などの支援を紹介。
「(いろいろな立場の)みんなが一歩ずつはみ出しあって、支援が面になればいいと思う」と語った。
〔2019/10/3 西日本新聞(黒田加那)〕
周辺ニュース
ページ名立花高等学校、福岡県福岡市(全日制高校、不登校のニュース)
どう乗り越えた?不登校経験者が語る思い
自身の不登校の経験について語り合う立花高の生徒たち
不登校を経験した子どもたちは何を悩み、自らの置かれた状況とどう向き合ってきたのか。
不登校経験者で、福岡市の立花高校に通う3年の上田修平さん(17)、菊池拓海さん(17)、2年の稲葉玲さん(16)、1年の沢田夢羽さん(15)に集まってもらい、それぞれの思いを聞いた。
-どのようなきっかけで不登校になったのか。
上田 小学3年くらいから別室登校で、中学1年の夏休み明けから行けなくなった。
グループを作って机を並べる給食の雰囲気が苦手だった。
食べるのが遅く、強要されているようで嫌になった。
菊池 ずっとサッカーをやっていて、部活動では副キャプテン。
中学3年の春、最後の夏の大会に向けて頑張ろうと思っていたら「ほどほどでいい」と考える周囲と温度差ができて空回りしてしまった。
相談したくても先生が苦手。
「学校で勉強以外に学べるものは何か」と考えたときに、独りで勉強する方が良くないかという結論に行き着いた。
一気に気持ちが抜け、学校に行けなくなった。
稲葉 中学1年の体育祭が終わってから、具合が悪くなって早退をするようになり、1日休んだら学校に行けなくなった。
中学の雰囲気になじめず、2年からは適応指導教室に通い、そのまま卒業した。
沢田 小学校のときは成績が良かったのに、中学最初の期末テストで点数が大きく下がり、パニックになった。
勉強をしたくなくなり、それから2年くらい不登校になった。
-今はみんな高校に通っている。どのように気持ちを整理したのか。
菊池 将来を考えると、この状況をどうにかしないといけないと思っていた。
不登校を多く受け入れている立花のことを知って見学に行き「こんな学校もあるのか」と好感を持った。
ここは無理せず、自分のペースで過ごせる。
他の学校にはなくて居心地が良かった。
中学は無理して周りに合わせて負担になっていた。
教師も「進学してくれ」と言うばかりで、生徒を見ずに自分の実績づくりを考えているように感じた。
沢田 親から「この先どうするんだ」と聞かれて悩み、勉強が嫌いになってから、ずっとしていたゲームにも飽きていた。
高校で気持ちを切り替えようと思った。
勉強を頑張ると、理解することが楽しくなり、大学に行きたいと思うようにもなった。今は勉強が面白くて仕方がない。
-高校に進んで何かが変わったか。
上田 中学の時は先生が大嫌いだったが、高校は親身に接してくれる先生ばかりで、そこそこ信用できるようになった。
最初、週1回は休んでいたが何とか勉強も追い付けている。友達も徐々に増え、毎日通えるようになった。
菊池 書道という自分が打ち込めるものを見つけた。
1年の芸術の授業ではまり、今は書道をやりたくて、学校に通っている。
思い通りにいかず、どれだけ書いても成長しないこともある。
それでも課題を克服していく達成感がたまらない。
書道部で一緒に取り組む仲間もいる。今のところ学校は1日も休んでいない。
将来は書道の楽しさを伝える教師になりたい。
稲葉 自由な雰囲気が自分に合った。慣れるまで大変だったけど、勉強も中学の範囲からやり直すことができて助かった。
「1回休んだら、授業に追い付けなくなる」と自分にプレッシャーをかけ、それがモチベーションになった。
体調が悪い日もあったが、今年は1日も休んでいない。
-不登校だった自分に対し、今どのような声を掛けてあげたいか。
沢田 成績を上げるために長い時間机に向かうなど、できることはしたけど、何をしてもうまくいかない悪循環に陥っていた。そんなときもある。
エンジンがかかるまでは、正直そっとしておいてあげたい。
菊池 当時は「今のうちに勉強しておかないと大変なことになる」と言われてもピンと来なかった。
声を掛けてもらうより「なるようになる」と受け止めよう。悩む時間も大事だ。
どんなに周囲が「大丈夫?」と心配してくれても、結局は自分で考え、頑張らないといけない日がやってくる。
そのタイミングを待つしかない。
【立花高校】
1957年創立の私立高校。73年に立花高に改称した。90年代以降、不登校の生徒の受け入れを進める。
本年度の全校生徒数は524人。現在の生徒の不登校率は5割強で減少傾向にあるという。
学校には常勤のスクールカウンセラー(SC)がいる。
全日制の単位制高校で、3年でも卒業できるが、3年を超えて通い、卒業する生徒もいる。
一般教室への登校が難しい生徒を対象にした少人数制の混成学級「サポート教室」や、登校が難しい生徒のために、公民館などに教師が出向く「学校外教室」を置く。
就業機会を提供するため、職場体験にも力を入れる。生徒の居住地は福岡市近郊が多いが、福岡県外からの問い合わせも多く、寮を備えている。
〔2019年8/6(火) 西日本新聞〕
生徒の7割が不登校経験 成長待ち続ける…校長の信念 福岡の高校
生徒に卒業証書を渡す立花高校の斎藤真人校長(左)=1日、福岡市東区
25日公表された文部科学省の調査で、2017年度の全国の不登校の小中学生は約14万4千人となり、5年連続で増加した。そんな中、不登校経験者を多く受け入れ、卒業後の就職や進学につなげている高校がある。福岡市東区の私立立花高。同校を訪ねると「できないことを嘆くより、できていることを認めよう」という教育方針の下、生徒たちの一歩を待ち続ける教師たちの姿があった。
10月1日、立花高では9月までに必要な単位を修得した生徒のための秋の卒業式が行われた。
斎藤真人校長(51)は祝辞を述べた後、9人の卒業生一人一人の名を挙げ、壇上から声を掛けた。「1年のときからバイトを一生懸命頑張ったね」「真っすぐで素直だから苦労することもあるけど、そのままのあなたでいてください」-。そして感極まった表情で締めくくった。「卒業証書を返してもいいんだよ。そしたらまた君たちと一緒にいられるから」。会場からは、かすかな笑い声とすすり泣きが聞こえた。
卒業生を見送った斎藤校長は式を終え、なおも言う。「あの子たちがいとおしくてたまらんとですよ」
入試に行けず落ち込む親に「いつまでもお待ちしています」
同校の1学年の定員は150人。入学する約7割は中学時代に不登校を経験している。地元の一部では「入試で名前を書けば合格する高校」とやゆされることもある。斎藤校長は「それは事実。でも、生徒たちが入試といえども学校に来るのがどれだけ大変か分かりますか」と表情を硬くした。
入試当日の朝、決まって職員室の電話が鳴る。「子どもが緊張して玄関で動けなくなった」「布団から出られなくなった」。教師は落ち込む親たちに「入試の機会は何度でもあります。いつまでもお待ちしています」と説明する。
試験会場で無事に入試が始まるのを見届けると、斎藤校長は付き添いの親たちが待つフロアに向かう。「お子さんたちは、ちゃんと答案用紙に名前を書いていますよ」と伝えると、安心して泣き崩れる親もいるという。
広く門戸、校外教室も
同校では、一般の教室で学ぶのが難しい生徒が通える校内の「サポート教室」や、公民館などに教諭が出向く「学校外教室」などの仕組みを設けている。
不登校の要因は、家庭環境や友人関係の悩みなどさまざま。同校の浜本秀伸主幹教諭(39)は「学校に来られるまで何年もかかる生徒もいる。大事なのは、きっかけを与え続け、待ち続けることです」と話す。
3年の男子生徒の母親(50)は「中学時代は『なんで学校に行けないの』と息子や自分を責めていた。立花高で、ゆっくりでいいんだと受け入れられて楽になった」と振り返る。
04年に立花高に就職する以前、宮崎県の公立中教師として「ゴリゴリの生徒指導」を続けていたという斎藤校長は「厳しい教育を否定する考えはないけど、成長を待ち続ける教育がもっと広がってもいいと思う。うちで巣立った生徒たちが社会をおおらかに変えていける、そんな信念を持っていたい」と語った。
【ワードBOX】不登校児童生徒の支援
不登校の子どもたちが安心して学べる環境づくりを国や自治体の責務とする教育機会確保法が2017年2月に施行。不登校について学校を相当期間欠席し、集団生活に関する心理的負担などで就学が困難な状況と定義し、休むことの必要性を認めている。立花高校は普通科・全日制として原則3年で卒業するカリキュラムを組むが、単位制も採用し、3年以上をかけて自分のペースで学ぶことができる。就職を希望する卒業生には、就労支援施設などと連携して自立支援の取り組みも行っている。
〔2018年10/26(金) 西日本新聞〕