津幡町社会福祉協議会
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2018年6月3日 (日) 18:32時点における版
津幡町社会福祉協議会
ひきこもり まちかど a street corner (169)
「保育園の時から行き渋りがあって、小学2年生の時から学校に行けなくなりました。」
随分前、県内のとある親の会に参加した時に聞いた言葉だ。
淡々と話す親御さんの話を頷きながら聴く人、涙をぬぐう人、いとおしそうに見つめる人。
その人たちは、不登校を経験し、ひきこもってしまった子どもの保護者で、会は定期的に開催されている。
先日、40歳近くのひきこもりだった当事者とその親の話を聴く機会があった。
親はずっと子どもの育て方を後悔し、悩み、学校へ行かせることに固執していた。
当事者は、対人関係が苦痛で、いつも部屋の中で怯え、いつしか無理矢理にでも学校に行かせようとする親を敵だと思うようになった。
気持ちを言葉にすることができない苛立ちから、ついには家庭内暴力に発展していったそうだ。
好転したきっかけは何だったのだろうか。
親は、家族会や研修会に参加することでいろいろなヒントをもらったこと、そして決して子どもを見捨てず、ありのままを受け入れて、暖かく接することが何よりも大事だったと話した。
当事者は、親が家族の会に出るようになってから家の雰囲気が変わり、自分に優しくなって、家の中が癒やされる空間になったこと、言葉にすることができなかった気持ちを親が少しずつ理解してくれた、ジョギングやサイクリングをして世間の空気を吸い、家族の会に出たことで親の気持ちがわかってきたことと、自分は生きていて良いと感じ、自分自身を肯定できるようになったと話した。
「ひきこもること」は悪いことではない。
自分を守る手段の一つで、携帯電話のように自分の力を充電している期間と専門家は言う。子どもの将来を考えたら、親もいつまでもいるわけじゃないのに、とあせる親心や、自分は生きていて良いのかとまで追い詰められている当事者の思い。
そこに十分に充電できる家や居場所があれば、そして理解してくれる親や支援者、地域の目があれば、きっと「ひきこもった貴重な経験」はいつか支える側に変わっていくのだと確信した。
村中智恵(むらなか さとえ)
看護師として10年の勤務後、専業主婦となる。
4人の子育て中に出会った母親たちから聞こえてくる苦しみは、まさに「家族の危機」が多く、水面下の現実を知る。
その後、母親たちを支援することにより、子どもの健全育成を図ることができるのではないかと考え、地域協働の子育てを実現させようと活動を始める。
現在、津幡町社会福祉協議会に勤務。
〔広報つばた 2018年5月号〕