みやぎ生協鶴ケ谷店
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2017年11月8日 (水) 19:11時点における版
みやぎ生協鶴ケ谷店
所在地 | 仙台市宮城野区 |
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子どもの貧困を生協が対策 支援が全国で本格化へ 学習の場や食事を提供 ズーム
日本で深刻化している子どもの貧困問題を巡り、日本生活協同組合連合会(日本生協連)が全国的に対策に乗り出す方針を決めた。
各地の生協に地元の貧困問題の実情に応じた活動を呼び掛け、既存の施設や人材を活用して持続可能な支援策を探る。
消費生活に関わる全国組織では、先駆的な取り組みになりそうだ。
仙台市宮城野区にある、みやぎ生協鶴ケ谷店の集会室。
問題集を広げた女子中学生3人が学習支援コーディネーターと楽しげにやりとりしていた。
「塾に行くお金がないので、ここで勉強を教えてもらえて助かります」と女子生徒の一人。
仙台を本拠とするみやぎ生協が、4年前から取り組む低所得家庭の子どもへの学習支援だ。
店舗の集会室を無償で貸し、NPO法人「アスイク」のスタッフや学生ボランティアらが教える。
利用者がもらした情報から児童虐待が発覚するなど、福祉面での支援にもつながっているという。
近年、生活に困窮する世帯で育つ子が日本にも数多くいる現実が社会に伝わる中で、みやぎ生協のように、子どもの貧困対策に力を入れ始めた生協は少なくない。
学習支援や食事の提供、奨学金制度の創設など取り組みは多岐にわたる。
こうした流れを全国の生協に広げようと、日本生協連が方針を決めたのは今年3月。
昨年夏から湯沢直美立教大教授ら専門家を交えて議論を重ね、この結論を出した。
伊野瀬十三常任理事は「組合員の中核をなすのは、子育て世代の30代半ばから40代。子どもの貧困は、決してひとごとではない」と話す。
スーパーに似た一面もある生協だが、そもそもの出発点は相互扶助を目的とした非営利団体だ。
みやぎ生協の小沢義春生活文化部長は「困っている人に手を差し伸べて役立つことに、生協の存在意義がある」。
それぞれの地域の生協が、地元のNPOなどと連携し、得意分野を持ち寄って、実効的な貧困対策を展開する重要性を訴える。
県内ではグリーンコープ生協くまもと(熊本市西区)が、県内4カ所の子ども食堂に食材を提供。
生協くまもと本部(水俣市)では11月から、コープ春日(熊本市西区)で1食100円程度の地域食堂をつくる計画があるという。
立命館大の野田正人教授(児童福祉論)は「全国組織である生協が持つ人材や店舗、物流網などは、子どもの貧困対策を進める上で貴重な基盤となりうる。消費者が互いに生活を向上させようとしてきた生協本来の趣旨にも合致する。それぞれの地域が抱える課題とマッチする対策を組み立てていけば、ニーズに合った支援の実現が期待できる」と評価している。
○用語=子どもの貧困率
全国の18歳未満の中で、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす子の割合。2012年に過去最悪の16.3%に達した。
ひとり親家庭は54.6%と特に深刻だった。
貧困状態の家庭は地域社会で孤立しがちで、子どもが将来へ希望を抱きにくく、成長に悪影響が出やすいとされる。
こういった「貧困の連鎖」を断ち切る支援の重要性を指摘する声が、近年強まっている。
〔◆平成29(2017)年10月12日 熊本日日新聞 朝刊〕