『貧困と保育――社会と福祉につなぎ、希望をつむぐ』
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2017年3月20日 (月) 11:38時点における版
『貧困と保育――社会と福祉につなぎ、希望をつむぐ』
長崎大学の小西と申します。恐縮ですがお知らせをさせてください。
このたび、『貧困と保育』という本を出版しました。執筆者9名による共著です。
『貧困と保育――社会と福祉につなぎ、希望をつむぐ』(かもがわ出版)
編著者:秋田喜代美、小西祐馬、菅原ますみ
分担執筆者:平松和子、塚本秀一、中村強士、吉葉研司、猪熊弘子、藤原千沙
乳幼児期が「子どもの貧困」を考えるうえで大変重要であることはさまざまな研究が明らかにしてきました。
つい先日も新生児の貧困に関するニュースが当MLでもとりあげられました[ecp-ml:5889]。
「妊娠期からの切れ目のない支援」という言葉もよく耳にするようになっています。
まだまだこれからですが、議論や理解を一歩でも進めるためにも、今回「貧困と保育」というテーマに取り組みました。「保育から子どもの貧困を考えるはじめての本」です。
わかりやすい記述を心掛け、どなたでも読めるように作りました。
是非ともご一読いただき、ご意見・ご感想をいただければ幸いです。
本書ができるだけ多くの人(保育関係の人にもそうでない人にも)に届き、理解や関心が高まり、問題解決に近づくことを願っています。
よろしくお願いいたします。
小西祐馬(長崎大学教育学部)
先日紹介された「貧困と保育」(かもがわ出版)。
まず平松知子さんの「人生最初の6年間ではぐくめるもの」を読みました。
6月の第4回子どもの貧困対策情報交換会で平松さんが話された内容ほぼそのままです。
お話しを聞きながらぼくは何回も涙が出て困ったのですが、本で読んでまたあらためて感動しました。
3才のみきちゃんのお母さんは、登園の身支度はまったくしない・園のものを貸しても返さない・朝は無表情で荷物のようにみきちゃんを園舎に押し込めて去っていく・
みきちゃんが泣いても「ああ、うざい」と言う・みきちゃんは泣くことさえあきらめていく・・・「困ったお母さん」の典型ですが、その背景に貧困があります。
保育士さんたちの支援を受け、生活保護を受給し生活が安定するとお母さんもみきちゃんも変わっていきます。
貧困家庭は「提出物が出ない」「忘れ物が多すぎる」「おたよりを読んでいない」など「まず『困った親』として私たちはキャッチする」
「ささいな情報でも職員間で共有することによって別の職員が違う角度で知り得た情報につなげる」
「ここは非難して排除するところではない」
「身近な社会の窓口としての『保育所』」
こうした指摘は、ぼくが小児科医療現場で感じて来たことと完全に重なります。
まだ平松さんの所を読んだだけですが、この本はお勧めです。
和田浩(健和会病院小児科)
名古屋 けやきの木保育園の平松知子です。
6月の情報交換会の時、フロアの方々から「保育所とは、このようなアプローチができるところなのですね?」という「初めて知った」声をいただきました。
子どもの貧困に携わっている方々の反応に、社会のなかでの保育所の役割は、まだまだ知られていないことを痛感しました。
ということは、そのまま保育所で働く職員たちにも、その認識が薄いということも言えるわけで、
0~6歳時代に、子どもだけでなくその親も含めたケアができる社会的資源としての保育所の役割を、広く発信していかなければと感じた次第です。
『貧困と保育』はまさに、その分野の人々がそれぞれの角度から論考を寄せています。是非お読みください。
平松知子(けやきの木保育園)