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− | 狂気、死、長期入院の希望を聞く
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− | 狂気、死、長期入院の希望について聞いたり考える機会がありました。よくこんなことが書けるようになったなあと自分でもあきれるほどです。ただ予想するほど重いことでもありません。
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− | 専門的に研究されている方からの評価はわかりませんが、実践者としての実感を書きます。カウンセラー希望の方には参考になるかもしれません。
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− | 狂気になりそうだと聞いたことがあります。これまでに数人がその様子を話してくれました。その最中からの電話もありました。ことばに表現するのが難しいのでうまく表現できた人はいません。切迫した感情・感覚の場面をことばにするのは誰にとっても非常に難しいものです。以前に比べると私も少しは落ち着いて聞けるようになったはずです。
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− | 今回のPさんは間近に迫った自分の誕生日を越せるかどうかが心配だったようです。連日の電話の話で2週間をこえました。誕生日を超えたあたりからだんだんと落ち着いたようです。
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− | 断片的なことばや単語やトーンをつなぎ合わせてみました。「狂気になりそう」な感覚をあえてことばにまとめるとこのようなものです。十分に言い表すことはできていないでしょうが参考にはなるかもしれません。
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− | <精神が壊れる不安があった。正気を失って収容される感じです。それは魂が飛んでいく感じ、飛び立つ感じがした。違う世界に行くのではないかと焦り怖かった。フッとなって飛んでいき、そのまま戻ってこられず、そのまま発狂するような気分に襲われました。>これが中心点です。
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− | そうなった背景は、常に周囲から見られている困惑した状態があり、覚られ妄想が強くなっている。自分のしていることが周りにつつぬけになっている。自分のポルノが漏れる。そういう追い詰められた状況になっていました。
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− | それに加えて、父が死ぬところを見た。これが大きくショックを受け、不安定になった。そのあとの母親の認知症的な振る舞いや家族がずるくてどうしようもないのがわかった、それらが重なった…。
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− | こんな切迫した状態から落ち着いてきた過程を振り返ります。
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− | これまでは誰にも話せなかった覚られ恐怖を、さえぎられたり否定されたりすることなく、落ち着いて聞いてもらえた。受けとめられた感じがした。若いころに話そうとしたこともあったが、バカなことを! ありえないでしょ! …ということでそれ以上を聞いてもらえたことがなかった。
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− | もう話すことはないと思ったが、せっぱつまって話したところ当たり前のように聞いてもらえたし、繰り返し話すことができた。これまで話せなかったのはそれがきっかけで嫌われるのではないかと恐れていたが、その余裕もなくしていた。
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− | もう一つは自分なりに落ち着いたときに身辺整理をした。発狂しないかとおそれて、身辺整理のつもりで片づける作業を続けてきた。処分するものをまとめたり、ネット上に書いたいやなものを消した。
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− | これらがよくなってきた理由だと思う。
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− | 以前に別の人から聞いた狂気の不安感を、あるところに書きました。
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− | <狂気 この世に生きているという存在感覚がうすれ(なくなり)、あるときに異次元に入っていった瞬間がありました。もしかしたら倒れていたのかもしれません。気持ちのいいものではありませんが、正気と狂気の境目は、それほど厚くない実感がしました。>
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− | 存在感覚=意識が薄れるというのと「魂が飛んでいく」というのは同じことで、人それぞれの表現の違いのように思います。
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− | Pさんも、狂気への恐怖と死の恐怖が重なっています。両者の入り口は隣り合わせになっています。
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− | Pさんが安全の場として思い浮かべたのがもう一つが入院です。それを永遠のサナトリウムといいました。このサナトリウムという表現は別の人も使いましたし、シェルターといった人もいます。これらは「人間世界からの撤退願望」を指しています。
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− | しかし、これは人間世界のサービスを受けなくてはならないので完全撤退にはなりません。
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− | 狂気は精神的な人間世界からの撤退、死は物理的な人間世界からの撤退、長期入院は社会的な人間世界からの撤退といえると思います。入り口が隣り合っているので、同時に思い出しやすいのでしょう。
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