猫の足あとハウス
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小中学生の勉強や食を支える場として、生きづらさを抱えた若者の住まいとして、今月11日から支援活動を始める。<br> | 小中学生の勉強や食を支える場として、生きづらさを抱えた若者の住まいとして、今月11日から支援活動を始める。<br> | ||
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2016年9月3日 (土) 09:06時点における版
猫の足あとハウス
元教師、私財投じ「支援ハウス」 子どもに学習支援や夕食 若者に住まい
貧困や格差から子どもや若者を守ろうと、小学校の元教師が私財を投じて民家型の「支援ハウス」を建てた。
小中学生の勉強や食を支える場として、生きづらさを抱えた若者の住まいとして、今月11日から支援活動を始める。
東京都西東京市の岸田久惠さん(60)は、3月に新宿区の小学校を定年退職したばかり。
新築した木造2階建ての建物は「猫の足あとハウス」と名づけた。
岸田さんの自宅から徒歩数分、西武新宿線の田無駅にほど近い場所にある。
大きなテーブルがある1階は、塾に行っていない小中学生向けの無料学習支援の場として使う。
月曜日と木曜日は夕方に小学生の宿題クラブ、夜には中学生の勉強会がある。夕食も無料で提供する。
2階にはエアコン付きの部屋が五つある。
児童養護施設の出身で家族の支援を受けにくい若者や、奨学金の返済や非正規雇用などで経済的に余裕がない若者たちに貸し出す予定だ。
家賃は2万5千円~3万2千円(ほかに電気ガス水道代とキッチンなど共有スペース使用料含む共益費1万円)。
勉強会などで食事を提供するときは、一緒に食べることもできるという。
教師生活38年。食事を満足にとれない子がいる一方、年間100万円以上の塾代をかけて学ぶ子もいた。
格差拡大を目の当たりにして、5年前から寺子屋的な学習支援「猫の足あと」を自宅で続けた。
副代表はこの春大学院を卒業した長女有理さん(24)で、大学生の長男真輝人さん(22)も先生役を務め、25人の中学生が学んだ。
「教師としてやりきれなかったことをやりたい」と、定年後に本腰でサポートに取り組もうと考えていたところ、たまたま近所で33坪の土地が売りに出た。
昨年、ローンを組んで購入。退職金と貯金をはたいたが、中学校教師の夫幸雄さん(58)は「やってみたら」と背を押してくれた。
「猫の足あと」の1期生で教員志望の大学生らも先生役で参加する。
食事づくりは地域のボランティアに応援を頼むつもりだ。
「教室から離れ、地域に私の居場所をつくりたかった。ワクワクする気持ちが強い」。
活動の開始を控え、2階はすでに19歳の女性が入居し、4月中に22歳の女性も暮らし始める。
定年後も多忙になりそうだが、気負いはない。
問い合わせは、メール(hisae.kishida@gmail.com)で。
〔2016年4月17日・貧困ネット、平成28(2016)年4月8日 朝日新聞 東京朝刊〕