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{{topicpath | [[メインページ]] > [[松田武己]] > [[:Category:ひきこもりパラドクス|ひきこもりパラドクス]] > {{PAGENAME}} }} ==プラザ合意―資本主義の継続させるための方策== 福島創太『ゆとり世代は、なぜ転職をくり返すのか？』（ちくま新書、２０１７）の内容は、ひきこもりの背景を考える参考になりました。<br> この本を読んで考えたその１点です。ただし批判を受けやすいと想定します。<br> 自分でも具体的な説得力のある根拠を示すことができず、直観による意見と扱われるのはやむをえません。<br> １９８５年のプラザ合意は、資本主義世界を継続するために先進５か国の指導者の合意でした。<br> そうなったのは国民の多数から同意を得る代案がなかったと思えることです。<br> プラザ合意にはゆがみもあり、各国間の優劣（アメリカに都合がよい）も含まれ、世界の不安定を解決できる策とは考えられません。<br> しかし事態を緩和し、時間かせぎの役割を図った面はあります。<br> 本物の代案を用意すべき第一候補は社会主義の側でした。<br>しかし当時の社会主義の盟主と目されたソ連は、その社会主義の内実がもろく、崩壊に向かう途上でした。<br> とても代案を示し、加勢できる状況ではありません。<br> １９７０年代に入って資本主義世界体制は、ある種の達成と同時に行きづまりも示していました。<br> 先進国ではイタリア、フランスである動きがありましたが、結局は国民の賛同は得られませんでした。<br> １９７５－７６年にイタリアでは国政選挙においてイタリア共産党が３割を超す支持を得ましたが、資本主義世界の動揺を象徴するものであっても、それに代わる選択肢を示せませんでした。<br> その後イタリア共産党は“諦めた”みたいです 。<br> フランスでも社会党、共産党による共同政府綱領にこぎつけましたが、国民の支持を得るには至りませんでした。<br> 数年後、両者は明確に距離を取り始めました。<br> 日本では社会党・共産党を中心とする革新自治体が広がりましたが、政府を担う方向には進まないまま消滅しました。社会党は姿が見えません。<br> 共産党は小さいながら健在で“資本主義の枠内”での改革、対米従属と大資本支配によるゆがみの是正を主張しています。<br> こういう状況の中で、５大先進資本主義国が、いわば自分らに都合のいいやり方で、資本主義体制を継続する根幹を決めた―それがプラザ合意です。<br> しかし今日に至るまで、資本主義は、いや世界は難問を抱き続けています。<br> プラザ合意に参加した５カ国を含むＧ７（ＥＵを含む）は毎年その方策を考える場をもっています。<br> しかし事態の進展をここに期待できません。<br> 人種・民族問題は資本主義を生み出した奴隷貿易や植民地主義に根をもちますが、何の妙案もありません。<br> エネルギー・環境問題が加わり、むしろジェンダー平等の動きに牽引される雰囲気です。<br> 旧社会主義大国ロシアと現社会主義大国中国は、強権を発揮して、世界に広がる民主主義の障害になっています。<br> 経済生活における市場を通して知る国民生活の実態と、政治における選挙を通して知る国民の総意を得る道なくては打開策に進めないのです。<br> ロシア・中国の社会主義はエセ社会主義と問われる今日です。<br> ◎「社会主義計画経済には、…努力を評価し報酬に結びつける「非人格的な」市場のような装置が欠落していることが最大の、致命的な欠陥なのだ」<br> 　猪木武徳『戦後世界経済史』（中公新書、2009、320ｐ）。ロシア・中国とも今日では市場経済を取り入れています。<br> 資本主義の経済社会、それを支える政治体制は揺れ動いています。<br> それに代わる新しい経済社会、政治制度はなお模索中です。<br> 国民の実感と意思に基づく合意による新しい社会の到来にはなお時間が必要なようです。<br> [[Category:ひきこもりパラドクス|ぷらざごういしほんしゅぎをけいぞくさせるための方策]] [[Category:不登校情報センター・五十田猛・論文とエッセイ|2021年12月30日]]

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