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==『登校拒否と適応指導教室』あとがき==
〔不登校情報センター・編『登校拒否と適応指導教室』（学校に行けない子たちの居場所）あゆみ出版、1998年12月発行のあとがき、1998年11月ころ執筆〕<br>

適応指導教室とは、学校に行っていない（不登校の）小学生・中学生に居場所を提供するために教育委員会が設置している場です。　<br>
第1章に見るように、名称は教育相談室、中間教室、あるいは呼称としてチャレンジ、ふれあい教室、さわやか教室、<br>
はてはフリースクール、塾までいろんな名称が使われています。<br>
文部省では「学校への復帰をめざす」ことを前提とした教室運営を目的にしています。<br>
すでに全国で８００教室を超え、その内容は実にさまざまです。<br>
その全体の様子を示すことを編集の一つの目標にしました。<br>
適応指導教室の職員など関係者の間では、互いに交流もあり、県単位、地域単位の交流会も行われています。<br>
児童相談所や家庭児童相談員など子どもの福祉に関係する人にも、ある程度その日常的な内容や運営を知る人もいます。<br>
一方、適応指導教室に子どもをおくり出している形の学級担任を除くと、多数の学校教職員にはその内容はあまり知られていません。<br>
適応指導教室の関係者からは、学校側や教員の無理解を指摘されるところです。<br>
もう一つ重要なことは、親にも知られていないことです。<br>
知ってはいても、相談に行くところ程度であったり（確かにそれだけの教室もあります）、どんなところなのか、何をしているのかよく理解されず、<br>
そのため利用面で不十分になっているところもあります。<br>
この出版は、そのあたりの不足をいくぶんカバーすることにもあります。<br>

不登校情報センターでは、『登校拒否関係団体全国リスト』（97・98年版）において、適応指導教室を次のように指摘しました。<br>
「一般の学校では学級定数も多く、教師は子ども一人ひとりの目が届かない面がありますが、<br>
相談学級・適応指導教室では、子どもが少なく、教師にゆとりがあり、一般的には相対的にスムーズです」<br>
このような肯定的・積極的な紹介をしています。<br>
同時に、「根本的には問題をもっていると指摘されている」例をいくつかあげています。<br>
「登校拒否の子どもへの教師（学校）としての指導を放棄し、相談学級に入れて一件落着にする。<br>
すべての学校、学級で登校拒否の子どもに対応する方向が必要なのに、相談学級にその役割を負わせ、<br>
一般の学級は登校拒否の子どもが提出している問題を素通りする。<br>
相談学級に通級する子どもと一般学級の子どもの間に生まれる区別と差別。<br>
また『再登校』を目標とするあまり、不適切に対応するケースもあります」<br>
今回の適応指導教室へのアンケートでも、また当センターに相談に来られる利用者の体験でも、これらの両面は裏付けられています。<br>
今回の調査で、それによりふみ込んで考える材料を得ていますが、その発表は別の機会にします。<br>

ここでは、前半の肯定的・積極的な面に目を向け、教師と教育関係者、不登校の子どもをもつ親に、理解をしていただきたいと思います。<br>
多くの適応指導教室がめざしていること、重視していることは、①子どもの自主性の尊重と、②子どもがからだを動かして体験する機会の設定、<br>
であるように思います。<br>
その前提には、①全体として教室が小人数であること、②学習指導要領によるつめこみ型指導から解き放たれていること、があります。<br>
そして、この４点は、ただ適応指導教室の子どもにとって重要であるだけでなく、日本の子どもたちすべてにとって大事なことである重います。<br>
適応指導教室が日々実践している軌跡は、もしかしたら小学校・中学校の行きづまり状況から抜け出す代案になっているかもしれません。<br>
少し身を引いて全体構造を見れば、「民間フリースクール⇒適応指導教室⇒小学校・中学校」という形で、影響が伝わり、<br>
学校が変わっていく文化伝導の図になっているのかもしれません。<br>
その意味でも注目していいでしょう。<br>
なお、不登校情報センターでは、適応指導教室について、あるいは登校拒否に対応するさまざまなことに関して、情報提供をお待ちしています。<br>
また、問い合わせにもできるだけ応えようと思います。<br>
お問い合わせください。<br>

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