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==不登校生、高校中退生の受け入れ校==
〔『不登校・中退生のためのスクールガイド』の「はじめに」の部分です。1996年11月.東京学参発行。2011年8月転載〕<br>

不登校生や高校中退の人たちに目を向け、その子と家族をさまざまな形で支援する対応組織・機関が全国各地に生まれています。<br>
そのうち、主に子どもたち・青年たちの学習面での対応－学習の場を提供し、自習や補修指導の形を通して、あるいは授業の形を通して、援助している“スクール”の情報を集めたのがこの本です。<br>
一般の学習塾（の一部分）、フリースクール、通信制高校のサポート校、大検予備校などが中心です。<br>
それらの“スクール”情報を、より多く（150か所以上）、コンパクトで利用しやすい形で収めたつもりです。<br>
学校教育法による通信制高校、定時制高校、単位制高校も、不登校生や高校中退生をよく受け入れています。<br>
養護学校や東京都下の健康学園、山村留学や海浜留学に対応する学校も、積極的に、あるいは事実上、かなり多数の所が受け入れ校になっています。<br>
私立の中学校・高校にも積極的に受け入れようとしている学校があります。<br>
これらのうち、比較的情報の得にくい通信制高校、単位制高校、山村・海浜留学校は資料として所在地と連絡先を入れておきました。<br>
養護学校と健康学園および定時制高校は、教育委員会などで比較的わかるところだと思いますので、入れていません。<br>
高校同等資格とみなされる大学入学資格の得られる大検（大学入学資格検定）と高等専修学校を資料として入れておきました。<br>
これらを見てもなお必要な“場”と出会えない方には、全国各地にある“親の会”の方に相談してみるといいでしょう。<br>
この本には掲載されていないフリースペースや学習塾などの情報を聞くことができるかもしれません。<br>
“親の会”はそれぞれ特色があり、活動内容も把握している情報も違いますが、何かの手がかりを得る可能性はあるのです。<br>
“親の会”のリストも資料に入れておきました。<br>
なお“親の会”は基本的には相談機関ではありません。<br>
自分と自分の子どもの事情や悩みを互いに語り合う場ですから、その点の配慮は注意したいところです。<br>
じつは、すべての小学校、中学校、高校が、不登校生や中退生を受け入れるようになること――逆説的なことですが、少なくとも学校の要因による不登校や中退が生まれることがなくなるというレベルをはるかに越えた事態です――が理想的なのです。<br>
しかし現実の社会の進展はそう直線的に進んでいません。<br>
そのような学校をつくるため、学校現場で努力されている教職員は多数いますが、現実にはごく一部の場面での成果にとどまっているようです。<br>
学校の外部で活動しているこれらのフリースクールやサポート校や大検予備校で、その取り組みはより明瞭な成果を上げています。<br>
そしてそれらの“スクール”が、事実上の学校制度として受け入れられていく道筋の方が、より現実味を帯びてきているように思います。<br>
もちろんそれはまだ一部であって、学校制度全体には影響しているとはいえません。<br>
不登校生、高校中退生とその家族にとっては、いまの子どもさんの状態でできる選択をすることです。<br>
学校へ行って学習するのは一つのやり方である、と思うことです。<br>
もし子どもが望まなければ、行けなければ、学校へ行って学習するのはやめていいのです。<br>
登校拒否が大きな社会問題になってほぼ20年、社会は、学校以外で、子どもの教育を受ける権利を保障する学習の場をかなりつくってきました。<br>
これからも増えつづけるでしょう。<br>
この本にはまだ情報として掲載されていない所も多数あります。<br>
さらにその延長には、自宅での子ども自身が学習内容を決めて学習をするという、ホームスクーリングの姿があります。<br>
その形はまだ変則的ですが、日本でもすでにその試みは始まっています。<br>
子どもは学校だけで学習するのではありません。<br>
しかし、その意味は以前と同じではありません。<br>
場合によっては、「学校に行かないで」別の形で学習することを公式に認める、という内容を社会に求めてきているのです。<br>
この事態は、すべての国民に必要な教育を保障する点で、これまでと比べ一歩前進になるものと、私たちは考えています。<br>
[[Category:不登校情報センター・五十田猛・論文とエッセイ|1996年11月]]
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