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Center:2000年6月ー脱引きこもり期の身体症状

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脱引きこもり期の身体症状

〔2000年春ごろ、B5版2枚の手稿の未完成メモ。
タイトル「脱引きこもり期の身体症状」はサイト掲載時につける。
原文ではTくん、Kくん、Nくんは実名。読み取れない文字を補正して原文の98%以上を保持〕

Tくんと最初の会ったのは3年ぐらい前のことです。
こみゆんとクラブの会合に、通信制高校のKくんと一緒に参加したのです。
そのときは25歳だったと思います。
どれくらいたったときでしょうか。
Tくんが「外出するとすごく疲れる」と繰り返し話しているのをききました。
数時間外出すると「家に帰った後はぐったりと寝込んでしまうくらいだ」というのです。
まるで重労働をした後の雰囲気だと、私には思えました。
当時のTくんは、7~8年の引きこもり生活から抜け出そうとしていたところです。
Kくんに出会ったのは、通信制高校に入学した後のことで、当時のKくんは20歳ぐらいで、在籍5~6年のベテラン通信制高校生。
Tくんは24~25歳の新参通信制高校生という関係でした。

Tくんにかぎらず、引きこもりの生活から抜け出そうとする人たちと何人にも会いました。
そのほとんどが「外出すると疲れる」と話すのです。
Tくんの疲れ体験は、Tくん固有のことではなく、引きこもりの人に共通するものであることがわかったのです。
Nくんの場合は、疲ればかりではありません。
吐き気がしたり、実際に吐いたこともあります。
胃や腸の調子が悪くなり、トイレに行きたくなる、とも話していました。
それが心配で、外出するのは疲れのほかに、トイレの心配も加わっているのです。
いわば二次的症状ということでしょう。
ふり返ってみると、Nくんに限らず、いろんな場でトイレにたつ(?)ことの多い人が何人かいる気がするのです。
私が気づかないうちに、あるいは気づかれないように、吐き気やトイレや、もしかしたらそれ以外の精神的・身体的な微調整をそれぞれがやっているのではないかと思います。

いったいこれはどういうことでしょうか。
引きこもり(傾向)の人にとっては、人のなかに入っていくことがかなりの精神的・身体的なプレッシャーあるいは重労働になっていると考えた方がいいのではないだろうか。
私はとりあえずそんな仮説を立てて、いろいろな人の話を聞く機会い観察を重ねました。
少し前まで、私は引きこもり傾向の人に対して、勇気をもって外出しよう、人とのコミュニケーションをとろうと、訴えてきました。
しかし、この観察をつづけるうちに、人とのコミュニケーションをとること、人の集まる場に出かけていくことを「修業」のつもりでやってみようと呼びかけるようになりました。
一つの重労働、あるいは力仕事をするのに必要なのは挑戦する勇気も必要だけれども、失敗してもいい、修業のつもりでくり返していけばいい、その方がより本筋に近いと思えるようになったのです。
しかし、「勇気」というよりも「修業」といった方が、なんとなく引きこもりの人のうなずき方に強い納得が感じられる気がするのです。

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