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家族が離れて暮らすーひきこもり支援策の改善(2)

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家族が離れて暮らすーひきこもり支援策の改善(2)

紀さんが指摘する親子間の共依存をどのように乗りこえるのか。
紀さんはご自身の経験からこの痛みをともなう状態を乗りこえる方法の必要性をコメントしようとしていますが結局、書ききれませんでした(2022年3月6日のコメント)。
そこでは家族内と介在する支援者でどう取り組もうとするかを考えています。
その家族内の取り組みは必要ではありますが、それでは乗りこえられないことは多くあります。
取り組む方向は2つ考えられます。1つは親子がそれぞれ、あるいは一緒に居場所あるいは親の会(家族会)に参加することです。
これは人との関係を親子関係から広げることです。とくにひきこもり経験者の人間関係を広げることにより、親との関係を相対化することが重要です。
居場所や親の会に参加するのは、その人環境条件をつくることになります。
不登校情報センターに通って来た人の多くは、そういうことを想定して来始めた当事者たちです。
そこで顔見知りができる、趣味の話をする、一緒に外出をするなどの行動をする、そういう重なりのなかで、家族への依存を相対化できるのです。
この後は、ひきこもり経験者にとっての居場所の役割になり、それ自体が詳しく多面的に述べられてもいいのですが、ここでは省きます。

もう1つの方法が親と子が離れて生活する方法です。この方法はあまり広く伝わっていませんので、私が関わった数例を紹介します。
ただ、失敗かもしれないのもあります。主にこの家族と離れて暮らす方法を2回に分けて書きます。
同じ家族との別居の形でもひきこもっている本人がアパートなどに移る形が多いでしょう。ある人の場合です。
とくに母親への暴言がひどかったので自治体に相談に行ったところ介在してくれる支援団体を紹介されました。
難しい問題もあったみたいですが、ひきこもる息子に働きたいという意欲もあり、支援団体が仲介して一人離れてアパートに住むことになりました。
条件は本人が家族とは直接に会わないということです。携帯電話は認められました。
私はその彼の住むアパートを訪ねたことがあります。
食事、洗濯など日常生活は全て自分でしなくてはなりません。
訪ねたときは部屋が清潔にされているのに気づきました。非正規雇用ですが職に就いていました。
彼のばあいは本人の状態が比較的安定していること、仲介の支援者が距離をおいて守っていること、そして自治体も何らかの支援をしています。
この支援団体への費用を助成していると勝手に推測しています。
家賃を含む生活費は家族の負担であり、預金通帳は父母が預かり収支面から生活を見ています。私はこの形が1つの参考例になりうると考えています。
この他にも、女性で家族と相談して一人住まいになった例もあります。母との関係がきつくて、自分から距離をおく方法を選んだのです。
彼女は働いていませんが、一人住まいとともに自分から居場所を探して通い、好きな手づくりの作品に打ち込んでいます。
彼女の生活費はこの一人住まいのアパート代を含めて家族の負担です。
上の例といい、一人住まいがひきこもりの改善に進むのであれば、自治体などの施策としてとり入れるのが好ましいと思います。
彼女の場合は一人住まいを自ら選んだのですが、ひきこもり当事者が現状から抜け出そうとするとき、その条件づくりを自治体等の施策にできると思います。

家族内の共依存から前進するには、物理的に別住まいする方法を紹介したのですが、機械的、事務的にそうすればいいわけではありません。
訪問先のある人が「親と離れたい」と言い、私も加わり近くの不動産屋さんに頼んで、一緒にアパート探しをしました。
彼が口にしたのは部屋立地等のよしあしもさることながら、家との距離です。何かあったら家には戻りやすいところが条件になります。
数ヵ所のアパートを見学させてもらい、「後で考えます」と不動産屋さんにお礼を行って終わりました。
そのアパート探しをしながら彼にわかったことは、自分一人では生活するのに大きな不安をかかえていることです。ここはかなり迷うようです。
何人かの例で、親とは別居生活になった人がいますが、うまく行かないでまた元の家に戻った例は少なくありません。
しかし家に戻ればまた同じ状態が繰り返されると予測できます。共依存の傾向は親側にもあるからです。
食べる、着る(洗濯)、寝る、部屋をかたづける…という生活を一人で続けることは、やってみないとわからないことがあります。
おそらく、共依存的家族関係で平穏な生活が取り戻せたときには、このあたりの準備が必要になると考えます。
ひらたく言えば生活リズムの確立です。部屋のそうじ、小遣い・生活費の使い方、などを可能な形で身につけていくようにすすめることでしょう。
判断の難しい例を次回に話します。失敗例とみられるかもしれないですが、それも含めてやめるように言う気はしないです。
最悪の事態を避ける方法かもしれないし、少なくとも参考にはなるでしょう。

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