母親と長いあいだ口を利かない娘さんのこと

最近の驚いた(驚かされた)話です。
40代の対人不安のある女性です。かなり離れた地域で開かれた引きこもり関係の講演会に参加しました。100名を超える出席者ですが顔を知る人はいないようです。会の終わりに「質問は3名まで」と言われ、2名の質問を終わったところで3人目の手が挙がりません。思わず自分で手を挙げていました。
さて質問となったのですが、あわあわして言いたいことがうまく言えません。
「どうしても人が怖いんです」「先生の所に診察に行けますか(講師は医師)」ということで終わったようです。
私にとってこれが驚いた話です。多数の出席者のいるところで挙手をして質問をする、驚くには十分な“事件”です。

会が終わった後、近くにいたおばさんから声をかけられて一緒に食事をすることになりました。質問に立ちあがったことで声をかけられたようです。その方には40歳近い娘さんがいて、いつのころからかまったく親子の会話ができなくなったと言います。
自分の話しをするつもりで、半分は娘さんの気持ちを考えてみようとしました。しかし、途中であきらめました。このおばさんは人が生きていくのに大事なことを一生懸命に話すのですが、相手の気持ちを聞いて理解しようとする姿勢はないのです。何を話しても「それはわかっている…」、「私もそういうことは経験した…」などというのですが、その部分にとどまって理解を深めるとか、話す相手の気持ちを考えるというのがありません。おばさんの大事だと思うことを手を変え品を変え話し続けていくのです。
自分の経験を話すとか、娘さんの気持ちを代弁しようという気持ちはたちまちうすれました。娘さんがこの親の前で何も話さなくなるのは当然だと納得しました。私にそういう体験を話してくれたわけです。

ときどき娘との会話ができない、という相談を受けます。この話しはそうなる原因、背景の一つがでています。親子関係というなかでも、母親と娘さんの関係に表われるのが特徴的です(一般論としては、父親との関係はそれ以前の気がします)。
困るのは話さなくなる娘さんは親や家族に対してだけではなく、誰に対しても話さなくなることが多いことです。“支援”としては、そうであっても話していくよりも、聞いていって理解しようとする姿勢がないと人と関わる糸口は見つからないのは確かです。

ミニパンフ『不登校生の高等学校』完成しました

『不登校・中退生を受け入れる高等学校』というミニパンフをつくりました。
8月1日の「かつしか進路フェア2015」で配布します。
B6版8ページ、学校のリストが5ページで約50校、「高校教育のかんたんな用語説明」として昼間定時制高校、通信制高校学習センター、通信制高校サポート校など11の用語解説が2ページ分、不登校情報センターとかつしか子ども・若者応援ネットワークの説明を空きスペースに書きこみ、表紙を合わせて8ページです。まずまず合格の出来ばえです。
このパンフ(情報提供)作成に協力していただいた高等学校等に感謝です。

9月6日には足立区で進路相談会「未来マップ」を開きます。さらに改善版を作りたいと考えています。

母と娘がお互いに不安材料になる場合の対応

あるお母さんからの手紙です。少し省略して紹介します。
<25歳になる娘はいま独り暮らしをしています。独り暮らしのきっかけは、私が家をある期間空け、兄弟みんな家を出て独立すると言い渡し、自分で住まいを探すように伝えました。
相談してきた保健センターの担当職員とグループホームを探そうと決めたら自然に方向が定まりました。そこからは私は何もタッチせず流れに任せました。
保健センターとグループホームの担当職員さんと主治医、そこのデイケアと娘本人、両親との話し合いも保健センター中心で世話をして下さり、持つことができました。その後の娘との連絡は人をはさんで主人が対応しました。
娘は1年弱グループホームにいて、アパートに独り暮らしに移りました。金銭的な独立はできていませんが、作業場へ週3日通っているようです。
いまは私も自宅へ戻り、娘もこれは知っています。気分の波は治まってはいなく、ときおり泣きながら電話を掛けてきたり、嫌なメールが届いたりします。こちらも受け止めきれないので、いまは連絡できないようにしています。
娘が世話になっている方からもきょくりょく会わないように言われています。とても冷たい親子関係のように思えますが、お互いの存在が、お互いに不安材料です。
さらに時間をかけて改善(決して仲良しになるという意味ではありません)、不安でなくなることを目指していこうと思います。会わずに改善なので、自分をどうにか変えることになるのかと思います。いろいろ手探りをしていますが、どれもこれも、良い方法が見つかっていません。娘もそうだと思います。>

これが参考になる人を何人か思い浮かびます。このような物理的に距離をおけない状態のなかで親子関係を改善するのは難しいです。

ミニ冊子『不登校・中退生の高校』の試作品をつくる

ミニ冊子『不登校・中退生を受け入れる高等学校』の試作品を作りました。
8月1日に「かつしか進路フェア2015」という大規模な進路相談会があります。その相談コーナーに関心をもつ人に配るつもりです。
試作品はB6版8ページです。内容の中心は不登校・中退生を受け入れる高等学校で、50校程度を予定しています。不登校情報センターで各校の学校案内パンフを扱うので、その申し込み校が約30校、もう少し追加したいと考えています。
紹介は主に高校ですが、学習センターやサポート校もありますので「高卒同等資格取得校」をサブテーマにしました。これらが合計5ページ分です。
「高校教育の用語説明」を2ページ。全日制高校、通信制高校学習センター、通信制高校
サポート校、単位制高校、高卒認定試験、高校留学などの概略を説明します。たぶん学習センターとサポート校の違いを区別できる人は少ないはずです。
発行する不登校情報センターの概略と連絡先を、表紙の下段に書きました。発行者を明示するためです。
試作品をつくり完成版の検討がつきました。少し安心です。

1学期の様子から転校などの問い合わせがあります

事務作業グループの3時の小休止には先日いただきましたヨウカンが出ました。
この春、不登校状態のまま中学校を卒業したお母さんからの贈り物です。いろいろあって高校進学ができ、これまで休むことなく通学をしているという報告です。
もう一つ話があって、親戚の高校生が生徒間のトラブルから事実上の退学を言われているのですが、それがおかしいというのです。聞いていると子どもを育てるというのではなく、学校というか教師の事なかれ対応のように思えます。
これはまだこれからの展開がありそうなのでそれを待ってから話しましょう。

7月も半ばを過ぎ(ほとんど学期末)、1学期の様子から生徒の様子がだいたい明らかになってくる時期です。学校が合わないとか、このままでは出席日数が足りなくなるのでは…ということで、転学や編入を考える人が多くなります。また2学期になって本格化する来年度の入学準備(これは主に高校側ですが)の動きがあります。
いまはここに力点を置いて学校からの情報集めとサイト制作に取り組んでいます。忙しいです。

大人の引きこもりを考える教室・7月

7月12日(第2日曜日)は、大人の引きこもりを考える教室の日です。今月は事前予約に数名の新参加者がいて、人数が増えそうです。
ちょうど1年前にも似たようなことがありました。そのうちの数名が継続すると予測します。多くが継続しないのは力量不足か、人数が多くなると目標が違う人が加わるのか、よくつかめません。
基本的には引きこもりの親の会ですが、当事者なども参加します。引きこもっている人への対応方向はなかなか手ごわくて、基本に立ち戻らないと事態をつかめないことがよくあります。私にとっても事態を理解する不可欠の場の1つです。
基本を考えつつ、参加する親が生活面や話す内容で何か1つつかめるようにするのが会の目標です。ストレスの解消や参加している当事者から何かを得るのも副産物(または主産物)かもしれません。2001年5月から毎月続けていますので171回目になります。

学校毎に「見学会等」の見出しを作りリンクする新企画

A通信制高校から、学習センター分のを含めて「学校見学会・個別相談会」の予定表が送られてきました。合計すれば数十回の見学会・相談会です。
「不登校・ひきこもり・発達障害のイベント」という特別のページがありますから、これまではそこに掲載してきました。これがたいへん手間のかかることで、掲載できないうちに期日が過ぎることもありました。
今回のこの情報提供をどうするのかを考えました。Excelで入力したデータをWikiシステムに変換するのはメンドーみたいです。ハッと思いついてA通信制高校のサイトをみると学習センターごとに「学校見学会・個別相談会」が整理され掲載されています。そうです、ここにリンクをすればいいのです。
新しく学校紹介ページにその学校の「学校見学会・個別相談会」などの見出し項目をつくり、各校の該当ページにリンクします。これが新企画です。企画をまとめ近く案内を送ります。

テレワークという働き方を紹介されました

「企業社会の変容」というテーマで毎月投稿いただいている滋賀大学の庄司一也さんから、今回は「メリットの多い新しい働き方「テレワーク」」の原稿が送られてきました。
在宅勤務と在宅ワークの違いなども説明しながら、テレワークという働き方が広がり、その積極的な可能性を簡潔に紹介しています。
「不登校情報センターを利用している方も、こういう働き方を1つの方向性として考えてみるのはいかがであろうか」と提起されていますが、もっともなことです。というよりは「引きこもり気質のままの社会参加」を考えるときには、欠かせない社会参加方法の1つです。
その意味でテレワークという言葉は知りませんでしたが、私がSOHOの複合型として考えてきたことに重なります。他の引きこもり支援団体もそのあたりを少しは意識していると思いますが、私が重要と考えるのは「集団的な自立」方式です。ざっくばらんな言い方をすれば、相談役つきの各人の得意を生かす社会参加方法です。不登校情報センターが不文律でめざしているのはそのようなものです。
引きこもりや弱者の社会参加を研究テーマにしている方からのこういう投稿をこれからも歓迎します。
[[http://www.futoko.info/…/%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%…]]

斜視や色覚異常の場合も一部はそうなのでは

吃音(どもり)が発達障害支援法の障害に加えられたのは昨年12月です。吃音の全部がそうなるとは思えませんが、根拠はあると思います。根拠というのは身体的な不全が社会生活上に重要な障害がつながる場合でしょう。身体条件ではなく社会生活の判断が関係するのです。
LGBT(性的マイノリティ)も同様な事情があります。発達障害ではありませんが身体的な条件が社会生活上の障害になっているのです。世界的に同性同士の婚姻が認められる方向にあるのは社会生活上の規制を除く道になるからです。
先日の引きこもり講演会で講師の斎藤環さんは「旧世代は食うために、若者世代は承認のために」働くと表現しました。A.マズローの有名な欲求段階説を端的に表したのです。現代は、そういう時代です。日本では1970年代の初めから徐々にその傾向が強まり、21世紀に入って大きな潮流になっています。

吃音やLGBTは、身体条件ですが、社会生活上の不利益、障害になっています。「承認のために」以前の「食うために」困難があれば、社会保障の対象になる動きです。食うための困難がないところでは、社会的な制限を解消する動きが顕著です。
私が関心を持つ斜視もまたその要素があると思います。色覚異常(特に全色盲)もそうなるでしょう。他にもいろいろな身体状態・精神状態が社会生活上の不利益になっている事情が表面に出てくるでしょう。その全部が社会保障の対象になるのではありませんが。
決定的なのは該当する当事者です。その人が意思表示をしないことには伝わらないからです。少数の弱者としてではなく、人としての正当な扱いを求める動きです。人間は(教科書的に知られている以上に)多様であり、変化(進化)の途上にあるのだと思います。

斜視の人が集まれば話したいことがあります

斜視の人に集まってもらおうと目論んでいます。
先日初めてあった人から連絡を受けました。その人への返事です。
他にも該当者がいましたら連絡を待っています。手術で矯正した方も含みます。

<返信ありがとうございます。
斜視の診断を受けていないというのは、意外なような、あり得るような感じです。
斜視であることはそれ自体が問題でなければ、診察を受けないからです。
私の場合は、大学病院に事務員として勤め、外来の眼科担当となり、診察ではなく懇意になった医師から「動眼斜視」と非公式に言われたのが診断名です。
これなどはきわめて珍しいことで、正式な診察を受けたわけではありません。

昔、斜弱視の会と呼びかけた人がいまして、その人と1度やり取りをしたことがあります。
今回その人にあらためて手紙を書きました。
何しろ18年前ですから、手紙が届く保証はありません。
届いて、その人が関心を持ち続けていれば、4名にはなるのです。
斜視を身体科学としてみるだけではなく、対人関係や社会環境や社会心理の関係で見たいと思っています。
まずはメンバー(?)の自己紹介から、体験的ないろんな話にすすんでいきたいです。>

〔追記・15日〕斜弱視の会を呼びかけた人への手紙は、「宛先不明」のため返ってきました。予想されたことですが、残念です。