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ストレスへの抵抗力はなぜ必要なのか、どうつけるのか

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ストレスへの抵抗力はなぜ必要なのか、どうつけるのか

「現代社会はストレスが多い、強い」といわれます。
確かにその通りで、ある本によると現代人が受け取る情報量は江戸時代の人の1万倍以上にも達するそうです。
しかしこのストレス要因を減少させることはできないでしょう。
せいぜい周辺の身近なストレスをなくすこと、意図的なストレス解消法を身につけることができるだけです。
こういう訳でストレスはずいぶん“悪役”になるのですが、ある本によるとストレスは“悪役”ではなく、ニュートラル(価値中立的)なものです。
ある場合は“悪役”になるけれども、人にとっては必要なもので、それがなければ心身の不安定を招くものです。
ウィキペデイアはそれをこう書いています。
「ストレスには生体的に有益である快ストレスと不利益である不快ストレスの2種類がある。
これらのストレスが適度な量だけ存在しなければ本来的に有する適応性が失われてしまうために適切なストレスが必要である。
しかし過剰なストレスによってバランスが失われてしまう場合があるため、様々なストレス反応が生じる」

他方、私の実感ではストレスに弱い人が増えているとも思います。
「打たれ弱い」、これは元々あった「打たれ強い」の対称語として生まれたはずですが、最近は普及したのかよく聞きます。
日常生活にたとえると寒さ対策で厚着の人が増えています。
これは寒さに対する抵抗力を弱めます。
同じことがストレスにもあって、ストレスを避けようと過剰なストレス防衛策をとると、自分のストレス対応力を低めます。
過剰なストレスを避けるため必要なストレスもさえぎるのです。
ストレスへの対応力、とりわけ対人関係におけるストレスの対応力の低下(=「打たれ弱い」の増加)はこういう状況が長く続いた結果ではないかと思います。
自分とはなぜか会わなさそうな人、なにかのトラブルがあったらそれ以降は避け続けること、そういう人を異質な人として避ける傾向、対人関係にあるそういうものが、対人関係のストレス対応力を弱め、ストレスを感じやすくストレスに弱い体質をつくりだしていると思えます。
対人関係を避ける点では細心の注意を払う引きこもり状態では、これは時に深刻な影響を持つと考えないわけにはいきません。
ストレスに対抗する力を伸ばすチャンスがあまりにも少ないです。
ストレスに対抗する力とは抵抗力とか、免疫力あるいは我慢や辛抱と呼んでもいいのでしょうが、そういうものが育たない。
そうすると別の困難が生まれます。対人不安、対人恐怖などで、さらにすすむと病的レベルになります。
私は引きこもりも、実は否定的なものではなくニュートラルなもの(価値中立的)だと考えます。
けれどもストレス対抗力が病的レベルまで達すると、引きこもりの気質や性格の肯定的な面が有効に生かせません。
何とかしたいのはそこを考えるからです。
(会報『ポラリス通信』1月号に掲載)


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