Job:弁理士
弁理士
〔2003年原本〕
新しい発明や実用新案などの工業所有権を守るための手続きをする専門家です。
工業所有権は4種類あります。発明など新しい技術に与えられる特許権、これまでの技術を新しいアイデアで実用性を高める実用新案、物品の斬新な形や模様などの意匠権、それに商品マークや企業マークなどの商標権です。
これらの工業所有権の特許庁への出願や登録は、ほかの類似の工業所有権との関連を調査し、書類や図面作成が必要です。弁理士は、依頼を受けてこれらを代行する仕事になります。個人や企業の発明家や工業デザイナーに代わって、工業所有者の出願、登録、さらにはその権利が満了するまでの手続きを行なう仕事です。
実務は事務的なもので、依頼者の用意した資料を見て、コンピュータなどでそれに類似する工業所有権の情報を探し、新しいものと確信できれば提出の手続きをとります。書類や図面に不満があれは直し、特許庁からの命令で補正書や意見書を提出することもあります。
発明が別人によって無断に実用化されるようなときには、意義申し立てを行ない、審判の請求をし、ときには代理人として訴訟をおこすこともあります。
最近は国境を越えての商標権侵害事件がおこり、国際条約の知識や英会話の力なども実際面では必要になっています。
弁理士は4029人(98年)、女性の増加が急です。
就業先は、弁理士事務所などの独立開業者が約6割をしめます。弁理士事務所の200~300人の弁理士のいるところから、一人だけのオフィスまでさまざまです。企業の特許部門にもかなりいます。
弁理士になるには弁理士試験に合格しなければなりません。受験者の合格率は3%程度の難関です。試験内容は特許に関する技術的なことと法律的なことで、大学の学科では理工系と法科系の出身者が有力です。弁理士事務所で事務を手伝いながら受験機会を待つ人も少なくありません。司法試験の合格者と、特許庁上級職で7年以上の実務経験者は無試験で弁理士になれます。
独立開業者の収入は、出願手数料、成功報酬、鑑定料、審判請求や訴訟の手数料などで、弁理士会の基準料金が決められています。開業3~4年の弁理士で月収100万程度といわれますが、個人(事務所)差は大です。独立開業者にとって情報収集はかなり力をいれなければならない項目のようです。
企業所属の弁理士のばあいは、特別手当を支給することが多く、また定年退職後も嘱託として働き続けている人も少なくありません。
〔問〕日本弁理士会
〒100-0013 東京都千代田区霞ヶ関3-4-2
TEL03-3581-1211
http://www.jpaa.or.jp/
〔参考〕特許庁総務部秘書課弁理士係
〒100-8915 東京都千代田区霞ヶ関3-4-3
TEL03-3581-1101
http://www.jpo.go.jp/info/benrisi.htm
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