紙一重の泣き笑い
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紙一重の泣き笑い
(一生懸命の果てにつかんだ栄冠)
私は運動会の徒競争では毎年ビリでした。
運動会の前日は明日は雨になればいいと思ったり、朝になると、お腹が痛くなればいいと思ってみたり・・・。
それでも毎年大勢の観客の前で走らなければならなかったのです。
たとえ一番後ろを走っていても、わたしはいつも一生懸命走りました。
その悲しいこと。
一生懸命走っても報われないやるせなさは、「その場から消えてなくなりたい」と思うほどでした。
ところが、6年生のとき、ほんの数秒の違いでしたが、何とビリから抜け出せたのです。
その誇らしいこと。
その優越感は多分、ほかの人には分からなかったでしょう。
初めて一生懸命走ったことが認められたようで、うれしくて涙がいっぱいこぼれました。
家に帰っても感動はさめやらず、両親にそのときのことを何度も何度も話し、そのたびに両親も「よかったね。よかったね」と言ってくれました。
どんなことでも一生懸命に取り組むことの大切さを実感できた日でもありました。
〔『公明新聞』2005年4月23日 29歳 家事手伝い〕