フードバンク宇都宮
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ページ名:フードバンク宇都宮、栃木県宇都宮市、パンくず上(子ども食堂・フードバンク)
フードバンク宇都宮15年度 食の相談 3年で5.5倍 母子家庭への対応課題
経済的に困窮する家庭やホームレスの人などに食べ物を届け、生活全般の相談にも乗る「フードバンク」活動。県内4カ所で運営する認定NPO法人とちぎボランティアネットワーク(Vネット)の「フードバンク宇都宮」に2015年度相談を寄せた世帯は165世帯で、統計が始まった12年度の5倍以上となったことが24日までに、Vネットのまとめで分かった。Vネットは「認知度が向上した結果」と分析する一方「母子家庭など潜在的な需要はまだまだある」として支援の充実を図るとしている。
「お米持ってきました」 8月、宇都宮市内。食べ盛りの男子中学生1人、男女の小学生2人を育てる母子家庭の母親(35)の元を、フードバンク宇都宮のスタッフが訪れた。収入は不安定。アパートの家賃を支払うと、食費に困ることも少なくない。県外出身で身近に頼れる親類もなく「自分だけ食事を抜くこともある」という。職探しに行ったハローワークで困窮ぶりを相談したところ、社会福祉協議会を通じフードバンク宇都宮につながった。母親は「何はなくとも、お米はある安心感はありがたい」と話す。
Vネットは県内6カ所あるフードバンクのうち4カ所を運営。フードバンク宇都宮には3支部を通じた相談のほか、直接訪れるなど多くの相談が集まる。15年度に相談を寄せた世帯は、12年度30世帯の5倍以上。内容は「病気や障害を理由に仕事に就けない」ことも含め「収入が少ない」ことが6割を占める。相談した165世帯のうち単身が140世帯で、大半が男性。Vネットの矢野正広(やのまさひろ)事務局長は「女性のニーズを掘り起こせていない表れ」と分析する。現在支援している母子世帯は20世帯。生活のために車を手放せないことや「親類に知られたくない」などの理由で、低所得でも生活保護を受給しておらず、フードバンクに相談していない世帯も多いとみられる。15年度からは母子世帯向けに、定期的に米を提供し、使わずに済んだ食費を学用品などの購入に充ててもらう「奨学米プロジェクト」を始めた。矢野事務局長は「継続的な関係が生まれ母子家庭の孤立を防ぐことにつながる」と話す。15年度、フードバンク宇都宮が母子世帯支援に費やした米は約2トンに上るが十分でなく、現在の支援世帯数が限界。保管スペースにも限りがあるなど課題は多く、矢野事務局長は「支援の拡大へ一つ一つ課題を解決したい」としている。
〔2016年9月6日・貧困ネット、◆平成28(2016)年8月25日 下野新聞 朝刊〕