眼科的な検査依頼
眼科的な検査依頼
日本弱視斜視学会への手紙
(1995年12月23日)
眼科的疾患を持つ人間の検体を提供いたします。
検体となるのは私自身。男、50歳。
近視にして乱視があります。
裸眼視力は3年前で右0.1前後、左が0.01から0.02程度。矯正視力は右0.8ぐらい。
左もたぶんその程度になると思います。
ただし眼鏡の視力矯正は左右のバランスをとるため、左は0.1程度までになっています。
左右の視力差が大きいため、小学低学年ころから斜視(動眼)になっています。
その時期のことはよくわかりません。
小学1、2年の頃の裸眼視力は右1.0、左0.8ぐらいであったと思います。
左右の視力差は少なく、かなり正常な視力でした。
それが小学2、3年ころから斜視になっていったと思います。
小さい頃両眼視していて、小学校低学年で視力差が拡大し、斜視になったものと思います。
すでに十代の後半には、このことを意識していたように思います。
以来40年、この眼で生活しています。
眼鏡をかけ始めたのは高校2年生の時からです。
斜視による生活とは、事実上、右目の単眼視の生活です。
しかし、それで普通の状態で距離感を失うことはありませんでした。
そのことを自覚したのは、高校生のころ、眼の構造として、ヒトは両眼を使うことで距離感を感じることを学んだときです。
当時私は単眼の生活で距離を計る生活をしていました。
それは小さなころの両眼生活の「記憶・後遺症(?)」によるのではないかと思いました。
いまでもそう思っています。
ごくたまに、特定の状態で、距離感を失ったことがあります。
鮮明に覚えているのは、野球でサードを守り、強い打球が真っ正面に飛んできた時です。
グラブを差し出すタイミングにとまどったことがあります。
これと似たことがほかにもありますが、いずれも野球の最中で、しかも合計5回を超えることはないでしょう。
中学時代、私は野球部に入っていて(当時はまだ眼鏡をしていません)、3年生のときには捕手をしていました。
投手は速い球を投げましたが、距離感がわからないことはありませんでした。
打球の場合は、ボールのコースが予測できず、しかも強い(速い)球で、正面、という要素が重なったものと思います。
投球の場合は、正面であっても、打球ほどのスピードボールはなく、コースが要するに守備範囲で予測できたことと関係していると思います。
社会人になり、25歳ぐらいまで時どきアマチュア野球の捕手をやっていましたが、投手のボールの距離感がわからなくなることはありませんでした。
研究テーマの一つは、この単眼による距離感の把握が、小さなころの「記憶、習慣、後遺症(?)」によるものかどうか、それとも別のものか、というものです。
次の問題は「動眼」です。
私は、斜視で、左目を使うことはあまりありませんが、しかし、左眼ははっきり視力があります。
近距離の物を見るとき、例えば文章を書くときには、かなりの頻度(割合)で左眼を使っています。
(左眼を使うときは、後述する理由で、左眼単眼視になっています)。
ある程度の距離(3メートル以上)の場合は普通は右眼単眼視です。
しかし、意識すれば左眼で見ることもできますし、両眼視することもできます。
しかしその場合は、意志の作用がなければできません。
ちょうど呼吸をとめるのと同じ状態で、意志の力なくして呼吸を止められないように、意志の力なくしてある程度以上のものを見るとき、左眼を使って物をみることはできません。
その気がなくなると同時に、右眼単眼視に切りかわってしまいます。
この意志的な左眼単眼視、または両眼視は長く続けることができません。
ある種のゲームとして繰り返していますと、気分が悪くなります。頭痛はしません。
静かに柱につかまって立っているとか、ちょっと程度が大きい場合は、しゃがんで眼をつぶり、眼のあたりを手で強くおさえつける感じにしなくてはなりません。
表現はピタッとしないのですが、あえていえば脳がバラける感じになる、というような、意識の点が脳内のあるところに浮いているような状態です。
それは両眼視のときに、特に強いように思います。
視力差によるものかもしれません。
両眼視に慣れないためかもかもしれません。
両眼視のときはむしろ距離感がなくなるように思います。
-あるいは意識を錯乱されているからかもしれません。
左眼単眼視でゲームができます。
自転車に乗って、坂を下るときは左眼単眼視でできます。
平坦な道で、自転車をこぎながら、左眼単眼視で周りを見る方が疲れます。
疲れるというのはオーバーな表現ですが、要するにその方向の精神作用があります。
この意志による左眼の使用と、特に両眼視を繰り返したときの、頭の「バラける」ような感じは何なのでしょうか。
誰かに説明してほしいと思っています。
そのほか赤緑色弱というのがあります。
また明るい光に眼をとじた顔を向けたとき、脳裏に、ある小さな虫(蚊?)のような形のカゲが見えます。
何年か時を置いても、その脳裏に映る姿は同じなのですが、たぶんこれは眼のどこかに、その形をした傷があるのではないかと思います。
これは20代後半から30代に入ってからのことです。
これらについて眼科的検査・調査をしていただくことを期待しています。
条件は、すべて無料とし、調査時間はある程度私の生活条件を考慮していただくこと、研究テーマとその結果を知らせていただくこと、この3点です。