2017年9月6日 (水) 13:36時点における版
ページ名西法寺、福岡県北九州市八幡西区、（子どもの貧困のニュース、寺院・教会のニュース）
お供えの菓子、寺から困窮の子へ「おてらおやつクラブ」、県内21寺参加／福岡県
お供えの菓子を経済的に恵まれない子どもに届ける「おてらおやつクラブ」の活動が県内でも広がっている。
「自己責任」が声高に叫ばれ、助けを求めにくい雰囲気がある中、「あなたを気にかけています」というメッセージも添えて届けている。
北九州市八幡西区の西法寺（西村達也住職）での婦人会の会合。
出席した門徒ら約20人がお供えの菓子や清涼飲料水などを段ボール箱５箱に詰め、「仏さまからのおさがりを、ご縁のある皆様へおすそわけします」などと説明した紙を同封した。
品質には問題がないのに包装の汚れなどで廃棄される食品を譲り受け、生活が苦しい人などに提供するＮＰＯ法人フードバンク北九州ライフアゲイン（北九州市八幡東区）を通して、子どもたちに届けられる。
おてらおやつクラブの活動は、奈良県の安養寺が2013年秋に始めた。
大阪市でその年の５月、死後数カ月の母親と幼い男の子が、食べ物がなくガスや電気を止められたマンションの一室で見つかった事件がきっかけ。
松島靖朗住職の呼びかけで全国に広がり、福岡県内の21寺を含む約730寺が参加している。
西法寺では、坊守の西村聡子さん（50）が「お供え物を生かしたい」と昨年５月に始めた。
盆の前後や彼岸の前などお供えが多く集まる時期を中心に年８回、賞味期限が残り３週間以上のお菓子や飲み物を選んで贈っている。
婦人会に仕分けや箱詰めを手伝ってもらうのは、より多くの門徒に子どもの貧困問題を知ってもらうためだ。
婦人会の山本美智子さん（73）は「年収200万円未満で、１日２食の家庭もあるそうです。お供え物を喜んで食べてもらえたら、こちらもうれしい」と話した。
西村さんは、生活保護受給者へのいわれなき非難などで、困っていても声を上げにくい雰囲気があるのを残念がる。
「活動を通して困っている人に、『あなたを助けたい』と思っていることが伝われば」と願う。
〔◆平成29（2017）年8月16日 朝日新聞 西部朝刊地方版〕
