四国こどもとおとなの医療センター
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'''四国こどもとおとなの医療センター:心の傷、見守り続ける「治療」 善通寺の医療機関 児童虐待防止、先駆的に実践 /香川''' | '''四国こどもとおとなの医療センター:心の傷、見守り続ける「治療」 善通寺の医療機関 児童虐待防止、先駆的に実践 /香川''' | ||
'''◇「シート」で情報集め/親の相談にも''' | '''◇「シート」で情報集め/親の相談にも''' | ||
− | + | 三豊市で生後間もない長男を殺害しようとしたとして16日、父親が殺人未遂容疑で逮捕された。<br> | |
− | + | そのきっかけは病院からの通報だった。<br> | |
− | + | このように医療機関の好判断で児童虐待の発見や防止につながるケースがあるが、その対応には大きな差がある。<br> | |
− | + | 善通寺市の医療機関では、診療に来た子どものけがの程度や親の態度など、ちょっとした異変から児童虐待の可能性を見つけ、防止につなげる取り組みを先駆的に行っている。<br> | |
− | 取り組みは各地で知られるようになり、木下さんは月1、2回、看護師や教員らを対象に講演もしている。 | + | 実践しているのは「四国こどもとおとなの医療センター」(善通寺市仙遊町2)。<br> |
− | + | 旗振り役は小児科医の木下あゆみさん(42)だ。<br> | |
− | + | 2001年に前身の病院に赴任した当初、虐待を受けた疑いのある子どもの主治医となり、警察や児童相談所に通報。<br> | |
+ | しかし証拠がそろわず、子どもは親の元に帰った。<br> | ||
+ | 木下さんは「家族から苦情を受けることもあり、一人の医者として対応するには負担が大きかった」として、医療機関として取り組めるように要望し、03年に「育児支援対策室」の設置を実現させた。<br> | ||
+ | 室長の木下さんの他、看護師や医療ソーシャルワーカーらで構成。<br> | ||
+ | 「気になる外傷がある」「母子関係が気になる」などのチェック項目がある「気になるシート」を使って各診療科から外来患者の情報を集めている。<br> | ||
+ | 14年度は約260件の情報が寄せられた。<br> | ||
+ | 集まった情報から対策室が虐待の疑いや緊急性を判断し、必要に応じて医師や看護師が親子の相談や支援を行っている。<br> | ||
+ | 虐待防止の支援は親も対象になる。「どうしてもたたいてしまう」という親の相談に乗り、何に困っているかを聞き出す。<br> | ||
+ | 子どもの発育に悩む親には、普段作っている食事を弁当で持参させて食生活の見直しを指導。<br> | ||
+ | 木下さんは「親の悩みに向き合って『ちゃんと育っているよ』と医者の立場から言うだけでも、安心する親は多い」と話す。<br> | ||
+ | 自身も3人の子どもを育て、誰にも相談できずに子育てに悩んだことがあった。母親としての共感が支援の幅を広げている。<br> | ||
+ | 取り組みは各地で知られるようになり、木下さんは月1、2回、看護師や教員らを対象に講演もしている。<br> | ||
+ | 県は「虐待防止に先駆的に取り組んでいる」として「県児童虐待防止医療ネットワーク事業」を同センターに委託している。<br> | ||
+ | 木下さんは「『医者の仕事じゃない』と言われれば、確かにそう。<br> | ||
+ | でも虐待を受けた子どもがどんなトラウマを残すのか、誰に見守られて、どんな大人になるのか。<br> | ||
+ | 心の傷を見守り続けるのが『治療』なんです」。<br> | ||
+ | 〔2016年8月29日・貧困ネット、◆平成28(2016)年8月17日 毎日新聞 地方版〕 <br> | ||
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2016年9月21日 (水) 16:09時点における版
周辺ニュース
ページ名:四国こどもとおとなの医療センター、香川県善通寺市、パンくず上(健康・医療・いのち)
四国こどもとおとなの医療センター:心の傷、見守り続ける「治療」 善通寺の医療機関 児童虐待防止、先駆的に実践 /香川
◇「シート」で情報集め/親の相談にも
三豊市で生後間もない長男を殺害しようとしたとして16日、父親が殺人未遂容疑で逮捕された。
そのきっかけは病院からの通報だった。
このように医療機関の好判断で児童虐待の発見や防止につながるケースがあるが、その対応には大きな差がある。
善通寺市の医療機関では、診療に来た子どものけがの程度や親の態度など、ちょっとした異変から児童虐待の可能性を見つけ、防止につなげる取り組みを先駆的に行っている。
実践しているのは「四国こどもとおとなの医療センター」(善通寺市仙遊町2)。
旗振り役は小児科医の木下あゆみさん(42)だ。
2001年に前身の病院に赴任した当初、虐待を受けた疑いのある子どもの主治医となり、警察や児童相談所に通報。
しかし証拠がそろわず、子どもは親の元に帰った。
木下さんは「家族から苦情を受けることもあり、一人の医者として対応するには負担が大きかった」として、医療機関として取り組めるように要望し、03年に「育児支援対策室」の設置を実現させた。
室長の木下さんの他、看護師や医療ソーシャルワーカーらで構成。
「気になる外傷がある」「母子関係が気になる」などのチェック項目がある「気になるシート」を使って各診療科から外来患者の情報を集めている。
14年度は約260件の情報が寄せられた。
集まった情報から対策室が虐待の疑いや緊急性を判断し、必要に応じて医師や看護師が親子の相談や支援を行っている。
虐待防止の支援は親も対象になる。「どうしてもたたいてしまう」という親の相談に乗り、何に困っているかを聞き出す。
子どもの発育に悩む親には、普段作っている食事を弁当で持参させて食生活の見直しを指導。
木下さんは「親の悩みに向き合って『ちゃんと育っているよ』と医者の立場から言うだけでも、安心する親は多い」と話す。
自身も3人の子どもを育て、誰にも相談できずに子育てに悩んだことがあった。母親としての共感が支援の幅を広げている。
取り組みは各地で知られるようになり、木下さんは月1、2回、看護師や教員らを対象に講演もしている。
県は「虐待防止に先駆的に取り組んでいる」として「県児童虐待防止医療ネットワーク事業」を同センターに委託している。
木下さんは「『医者の仕事じゃない』と言われれば、確かにそう。
でも虐待を受けた子どもがどんなトラウマを残すのか、誰に見守られて、どんな大人になるのか。
心の傷を見守り続けるのが『治療』なんです」。
〔2016年8月29日・貧困ネット、◆平成28(2016)年8月17日 毎日新聞 地方版〕