ニュースタート事務局
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2020年11月7日 (土) 23:23時点における版
ニュースタート事務局
運営団体 | 特定非営利活動法人ニュースタート事務局 |
代表者名 | (役職名 代表)北澤久実 |
所在地 | 〒279-0011 千葉県浦安市美浜1-3 ※〒272-0122 千葉県市川市宝2-10-18 事務局 |
TEL | 047-307-3676 |
FAX | 047-307-3687 |
URL | |
特色(方針・創立趣旨) | 若者の再出発を応援する「家族をひらく」活動を1994年から開始。家族だけの閉ざされた人間関係から離れて他人と繋がることと(親離れ子離れ)、体験不足を補います。人間体験・社会体験・仕事体験を通じて自然と仲間ができ、人の役に立つ喜びを感じます。この希望が就労への大切な原動力となり、まずは嫌でない仕事を見つけて再出発を果たしていきます。「仲間・働き・役立ち」でのニュースタートを応援しています。 |
活動内容・活動日・活動形態 | ①家族をひらく訪問活動(レンタルお姉さん・お兄さん) 不登校・ひきこもり・ニート等社会とのつながりを失った若者の自宅を訪問し、就学や就労など次のステップへの橋渡しを担う。全国どこでも訪問サポート。 ②人間体験・社会体験・仕事体験のための共同生活寮 仲間と暮らす共同生活で人と協力し合ったり、人の役に立つ体験を積み重ねることで、自立のための生活力を身につける。 ③仕事体験塾 介護・IT・喫茶店・パン屋・レストラン・農業プログラムなど実際の仕事現場で、社会との関わり、働く感覚を養う。 地域にひらかれた場で、実社会の仕事を体験することを通して「働く」感覚を養いながら、社会に参加できる力を身につけていきます。 その他、厚生労働省「集中訓練プログラム(3ヵ月)」※1ヵ月9.8万円(収入により減免措置あり) |
スタッフ(運営体制) | 常勤14名、非常勤7名、ボランティア10名、その他31名 |
利用料金 | ・入寮に関する費用:1ヵ月22万円(消費税含む。準備金は別途) ・レンタルお姉さん、お兄さんの費用:1ヵ月10万円(消費税、交通費他含む。申込金は別途) |
見学の時期・受入れ相談・予約方法 | ・無料見学会(毎月第2、第4土曜日15:30~18:00)電話にて資料請求後、要予約 ・なんとかしよう親の会(奇数月第3日曜日13:30~16:30)電話にて資料請求後、要予約 ・保護者面談(日程は相談に応じて) |
利用者の声 | 僕は中2の7月にいじめが原因で不登校になり、そのままひきこもりになりました。ニュースタートへは親に連れられ入寮しました。今までやった事もなかった家事(特に料理)や、何もしなくても良かった生活から何かをやらなければならない生活への環境の変化に順応できず、最初は正直「早く此処から出たい」と思ってました。ですが徐々に慣れ、家に居た頃出来なかった事の多くが出来るようになりました。他人に何かを頼ったり、尋ねたりするのが苦手な僕は失敗したくないから先に自分で考え1人で出来るような方法を探す、そんな事を意識して動くようになり、大抵の事は動じずに1人で対応出来るようになった気がします。 |
活動内容による組織分類 | 宿泊施設、自立援助施設、その他(訪問支援活動) |
対応者・支援者 | 心理専門職(カウンセラー)、福祉専門職(介護職)、当事者・体験者、その他(専任スタッフ) |
具体的な対応方法 | 各種交流会、電話相談、面接相談、訪問相談、イベント企画、集団活動、対人関係(友人)づくり、仕事探し、仕事起こし・仕事づくり、自然体験、表現活動、創作活動、宿泊体験 |
支援対象者の具体的な状態・事情 | 不登校、引きこもり、ニート、親子・家族関係 |
支援対象者の想定年齢と男女別 | 男女どちらも可、10代後半、20代、30代、その他(40代前半) |
必要経費 | なんとかしよう親の会-1家族5000円 訪問支援-1ヵ月10万円(消費税、交通費他含む。申込金は別途) 共同生活、仕事体験-1ヵ月22万円(消費税含む、準備金は別途) 厚生労働省「集中プログラム(3ヵ月)」1ヵ月9.8万円(収入より減免措置あり) |
活動内容・方針の特色 | 仲間・働き・役立ちでニュースタートしよう! 家族だけの閉ざされた人間関係から離れて、他人と繋がることと(親離れ子離れ)、経験不足を補います。 人間関係、社会体験、仕事体験を通して自然と仲間ができ、人の役に立つ喜びを感じます。この希望が就労への大切な原動力となり、まずは嫌ではない仕事を見つけて再出発を果たしていきます。 |
出版物 『希望のニート』 『勝ち負けから降りる生き方』 『ニートがひらく幸福社会ニッポン』 |
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調査年月 | 2014年7月 |
多様化する引きこもり 9割がコンビニOK、20年働いた後に引きこもる人も
『コンビニは通える引きこもりたち』(久世芽亜里・著、新潮新書)の著者は、1994年から引きこもりなどの若者の支援をしている「認定NPO法人ニュースタート事務局」のスタッフ。
訪問活動と共同生活寮の運営が同法人の業務の中心で、これまでに1600人以上を支援してきたという。
本書ではそんな経験に基づき、引きこもりと彼らを取り巻く状況について説明している。
ところで「引きこもり」という言葉を聞いて多くの人は、「ずっと家の中にいて、外に出ない人」を思い浮かべるのではないだろうか?
正直なところ、私の中にもそんな印象が少なからずあった。
ところが著者によれば、それは間違いであるようだ。
だとすれば、勝手なイメージと乖離した“リアルな“引きこもりの実態とはどのようなものなのだろうか?
アキラ君(仮名)は現在22歳。小さい頃から人間関係が苦手で、友人があまりいないタイプでした。
大学に入って間もなく不登校になり、そのまま中退。その後何もしないまま、約3年が過ぎています。
両親は働いているので、日中は家で1人。昼頃に起きて、家にあるものを食べながら、リビングでテレビなどを見ています。
両親が帰宅する夕方頃からは、自室でパソコンに向かい、ゲームをしたり動画を見たりして過ごします。
廊下で親と顔を合わせて話しかけられると、普通に返事もします。
家族が寝静まってから用意してある夕飯を食べて、そのまま夜中までパソコンです。
バイトしてみたらと親には言われるのですが、一度も働いた経験がなく、応募する勇気も出ません。
週に何度かは近所のコンビニに行き、もらっている小遣いでお菓子や飲み物を買います。
たまに電車に乗って、少し遠くまで服などを買いに行くこともあります。
年に2、3回は、好きなアイドルのコンサートに出かけます。(11~12ページより)
これは特殊な例ではなく、よくいる引きこもりの生活。
統計上でも、引きこもりと言われている人の9割弱は、近所のコンビニ程度の外出はできているのだという。
ずっと自室から出ることがなく、親が部屋の前まで食事を運び、食べ終わったら食器を廊下に出しておく。
親もそれを取りに行くだけで、何年も我が子の姿を見ていない――。
外出はできて、買い物時には店員と必要最低限の話はし、道端であった近所の人とも挨拶程度はするけれど、親しく会うような友人はいない――。
どちらも引きこもりと呼ばれる人たちのあり方だろうが、一般的には前者を思い浮かべる人が多いのではないか。
しかし実際の引きこもりは、後者のタイプが大半だというのだ。
さらに言えば、かつての引きこもりに見られたような暴力を振るタイプも少ない。
<きっかけは不登校というイメージも誤り>
また、引きこもりのきっかけは不登校だというイメージも根強いが、それもまた違うそうだ。
引きこもりの相談で一番多いのは、「学生時代はなんとかやってこられた。
就職やバイトの経験も少しはあるが、うまくいかずにやめてしまい、結局引きこもった」というケースだというのである。
だとすれば若い人と同じように、年齢を重ねた人たちが似たような道筋をたどったとしても不思議ではない。
事実、“高年齢引きこもり“も増えている。
ハジメさん(仮名)は現在50歳。大学を卒業し、バブル期に就職しました。
仕事内容はかなりブラックだったようで疲れ果て、7年後に一人暮らしから実家へ戻ります。
今度は運転手として就職し、あまり残業もない仕事で13年勤めますが、ケガをして退職することに。
その後は派遣社員として倉庫で働き始めます。
ですが、派遣法が変わった影響で3年で雇止めにあいます。
そこから5年間、仕事はしていません。(24~25ページより)
当初はまた職探しをしたものの、年齢制限に引っかかったり、面接で落ちたりと失敗続き。結局は、親への罪悪感を抱きながら引きこもることになった。
この年代の人たちの相談について著者が指摘しているのは、彼らに共通する“独特の閉塞感“だ。
なにしろその親も高年齢なので、親が相談に出向くことが難しい場合も少なくない。
また、その下の世代にあたる40代は就職氷河期世代。ほとんどの人は希望の職に就けたという経験を持たず、時代の閉塞感をそのまま引きずっているということだ。
そしてもうひとつ。高年齢引きこもり以外で、著者がもうひとつ心配している「見えにくい問題」が、女性の引きこもりだ。
内閣府の調査では、女性の引きこもりは15~39歳では36.7%、40~64歳では23.4%、全体では29.6%が女性だということになります。
私たちが受けている相談での女性の割合も、だいたい2割くらいですが、この2割には深刻なケースが多いのです。(28ページより)
引きこもりになった経緯や傾向もさまざまだが、特筆すべき点は母親との距離感。
母親とやたらに仲がいい人、よすぎて束縛というレベルになっている人、甘えから暴言暴力に至っている人など、母親と適度な距離感を保てている人が少ないという。
それにしても、なぜ女性の引きこもりは少ないのか。
興味深いのは、この点について著者が「仮説ですが」と前置きをした上で「家事手伝い」が関係している可能性があると指摘している点だ。
内閣府の調査でも、就労状況についての問いに「専業主婦・主夫」や「家事手伝い」と回答した人は、引きこもりに含めていないという。
つまり、男性なら引きこもりと呼ばれるようなケースも、女性だと家事手伝いとみなされる可能性があるということだ。
ましてや仲がよ過ぎるのであれば、家族がそのことをさほど問題視しないことも考えられる。
<引きこもり問題縮小化に向けた著者の提言>
かように引きこもり問題は複雑で、引きこもっている人たちの年齢や考え方も多種多様。
ましてや親の世代と彼らとの間には、社会との関わり方や価値観にも大きな相違がある。
また、これから先、引きこもりの人がさらに増えていくことも十分に予想される。
決して極論ではなく、身内の誰かが将来的に引きこもりになることもあり得るだろう。
では、われわれは彼らとどう接していけばいいのだろう?
なかなか答えが出そうもないこの問題について、著者は次のような意見を述べている。
引きこもりの問題はゼロにはなりませんが、100万人という現状からは脱することができるはずです。
それには、引きこもりの多様化を認識し、支援の多様化を推し進めるとともに、生き方の多様化の定着が必要です。
このスピードが、引きこもり問題縮小化のスピードにつながります。
そのためには上の世代は子ども世代の生き方を否定しないことが大切ですし、スピードを速めるには上の世代から積極的に歩み寄り、認める必要があります。
そうやって、時代の変化のスピードを速めるのです。(204~205ページより)
もちろんそれは、決して簡単なことではないはずだ。
しかし、長く引きこもっている人の多くは、生きる途中でつまずき、動けなくなっている状態にある。
だとすれば、そんな人たちに寄り添い、手を差し伸べることも必要ではないか。
そして、彼らの生き方や考え方、失敗体験などを認め、受け入れることこそが必要ではないだろうか。
〔2020年11/2(月) ニューズウィーク日本版【印南敦史(作家、書評家)】〕