フリースクール・IHセンター 活動記録
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I・Hセンターの活動から得ている実感です。<br> | I・Hセンターの活動から得ている実感です。<br> | ||
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2024年4月12日 (金) 22:04時点における最新版
フリースクール・IHセンター 活動記録
所在地 | 〒890-0055 鹿児島県鹿児島市上荒田町23-21 永谷ビル1階 |
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TEL | 099ー254ー3253 |
FAX | 099ー254ー3253 |
そのまんまの自分が出せる場を用意
川添由博(I・Hセンター代表、2006年)
ピアノレッスンで自信回復
不登校をして外出もできない中学3年のA子が、受験勉強をしたいと母と一緒に相談に来ました。
A子は、小学校では友人が多く、明るい子どもでした。
小学校卒業と同時に転校し、親友と離れたことが一つのきっかけとなって、新しい中学校ではなじめず、暗い日が続きました。
I・Hセンターに来たA子は、母と一緒のときでも、一時間も経つと緊張して疲れを感じてしまいます。
それで少し休んでしまいました。
家でくつろいで一週間くらいすると、「また行ってみようかな」と思って通所するという状態でした。
I・Hセンターに来てみると、学校とはかなり違ってホッとする雰囲気は感じられましたが、目を伏せたままあいさつをするのが精一杯のようです。
I・Hセンターには、規則・時間割・しなければならない活動はありません。勉強は教師とマンツーマンです。好きなことができます。そんな生活がしばらく続きました。
A子は通所するうちに、「それまで人と会うのが嫌いだったが、いつのまにかそんな気持ちのかけらもどこかにいったように思える」と言います。
彼女は、「センターのほのぼのとした独自の空気や楽しいキャンプ、登山、遊びなどを経験し、いろんな人と出会って学校に行かない自分に対しての考え方が180度転換したことがよかった。
不登校前は不登校の受けとめ方は世間と同じだったが、不登校の友人が『学校に行かなくても学ぶことはたくさんあるよ』と言った意味がわかるようになった。
本当にそうだし、学校に行くだけが人生じゃないという考え方を持てて、人と会うことがいやでなくなった」と手紙に書いています。
同じ痛みを持っているはずの仲間が、明るく楽しんでいることにふれて、少しずつ心を開いて前向きになっていった例でしょう。
彼女はひけめを感じ、つらい思いをしながら「なんとか遅れを取り戻し、同級生と一緒に学校に行かなければ」と自分を責めていました。
現在、通信制高校生のA子には、いつの間にか自然にというほどにおしゃべりと笑いがあります。
いま、ピアノレッスンを始めて1年が経ちますが、通所生のレッスン(フルート、ピアノ、バイオリンのレッスンができます)を開いて、ピアノを弾いていた小学生のころの自分を思い起こしたのだそうです。
いまピアノレッスンに意欲を燃やしていて、小学生のレッスンの手伝いもしています。
3月のスプリングコンサート(毎年行うI・Hセンターの発表会)では、幻想即興曲を弾いて観客を圧倒しました。
聴き入っていた彼女の母親は、「昨年は(私に)絶対来るなと言いましたが、今年は何も言わなかったもので・・・。
こんなホールで娘が弾くのは初めてなので、涙が出て目を開けては聴けませんでした」と感動を語ってくれました。
いろんな人との出会いで、A子が少しずつ自信をつけてきた現れでしょう。
M男はとY男はギターを介して
M男は、小学5年で不登校になりました。友達がほしいが、人と話しができないと悶々としていた彼は中学3年になって再通所を始めました。
I・Hセンターには毎日ギターを弾き歌うY男がいます。
彼はギター仲間をほしがっていたのでM男を誘いました。
毎日聴きながら刺激を受けたM男は、何かをやりたいと思っていたときだったので、親にギターを買ってもらって練習を始めました。
仲間が増えて喜ぶY男は、毎日教えていましたが、ほかの通所生の目を引くほどやります。
半年も経って来訪者も感心するほどの上達ぶりです。
ところが、3月になってY男が心ならずとも緊急入院をしたのです。
センターの全員が落胆しました。
Y男がいて、コンサートの目標があってやる気に燃えていたからです。
2週間後のコンサートを控えて失意のまま1週間が経ちました。
難病のY男の入院が長引くことがわかりました。
コンサートのプログラムはできており、周囲の励ましもあってM男たちは出演を決心しました。
これまでに学生ボランティアのS男さんとの交流でM男は心をほぐし、音楽を楽しむ気持ちをふくらませていたことも幸運でした。
スプリングコンサートの日、M男は、一人で演じるギターの弾き語りと、バンド演奏も見事にやりぬいて発表会の最後を飾りました。
M男は、「Y男の気持ちの分までがんばったよ」と満足した笑顔で語りました。聴くのは初めてという彼の父親は、「思いもよらぬことで感心しました」と感動を表してくれました。
M男は、Y男との出会いでギターが好きになり、ギター仲間ができたことで生まれ変わったようです。
子どもが人と話すのが苦手だとか、○○が好きでやりたいと思っているという、そのまんまの自分を出せることが大事だと思います。
そういう自分自身を素直に受けとめるとき、好きなことをやっているとき、必要が起こったとき、少々の勇気を出して声をかけてみると、意外に言葉のやりとりができて気持ちが通じ合って喜びを感じることがあります。
心の通じ合いに上手・下手はないと思います。
共感できる人に一人出会えることで思わぬ元気が出ることがあります。
I・Hセンターの活動から得ている実感です。