企業を取り巻く情報社会の変容とそれに伴う弊害
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2018年2月28日 (水) 17:03時点における最新版
企業を取り巻く情報社会の変容とそれに伴う弊害
企業社会の変容・その4
(滋賀大学 経済学部 特任講師 庄司一也)
現代の「情報化の進展した社会」を、私は以前、「超情報社会」であると主張した。
しかしながら、現在企業を取り巻く環境が情報社会の真ん中にいるのかどうかについて多くの疑問がある。
すなわち現代においては、ITや情報機器の発展により、企業をはじめとして日々大量の情報が生産・発信され、かつ大量に消費されていることは事実であるが、情報の生産者や消費者は果たして、本当に情報を使いこなすことができているのかどうかということである。
もしこれについて本当にうまく使いこなせていないのであれば(優位な立場に立っていないのであれば)、ただ情報に振り回され、情報の下位におかれた、「情報に支配された社会」に過ぎないだけかもしれない。
なぜこのように考えるかについて、まずは、現代の情報利用・生活環境が挙げられる。
確かにいわゆる「WEB2.0」の到来により、有益な情報を受け取ることはもちろん、積極的な発信も促進され、インタラクティブな情報環境が構築された。
これは従来の「情報の一方向的伝達環境」から脱却した好ましい姿といえる。
しかしそれが行き過ぎとなり、いわば「情報過多・情報渋滞」の状況になり、企業であれば、「取り急ぎ情報を発信する・とにかく大量の情報を生産・多方面に発信する」、
消費者であれば「その情報をさまざまなところから常に受け取り続ける・各場面で乗り遅れない」という、情報を正確に把握・管理できない余裕のない社会になってしまっていると感じるのである。
つまり、本来意図されている「WEB3.0」の世界ではなく、「WEB2.0」以降中途半端な情報社会が到来してしまったと感じているのである。
次の理由として、NPO法人不登校情報センター理事長の松田武己氏の発言を受けてである。
同氏は「人がうまく情報を使っているレベルに至っていないのではないか、情報に振り回され、情報に管理され、情報の下位におかれている状況が多すぎる時期ではないかと思う。
資本主義にたとえればラダイト運動の時代、資本主義の創成期のように感じている。
対比して違うのは労働者も初めからデメリットとともにメリットを得ている点である」
と述べられている。
この発言を受けるとともに、併せて私なりに視点を変え、「トフラーの第三の波」をもって考察してみたい。
まず、18世紀は農業社会であり、19~20世紀は工業社会、そして現代は情報社会に分類される。
現代の情報社会が以前の社会と大きく違う点は、その進展がとても速いということである。
いままでにないくらいのスピードと規模で歴史的転換期を迎えており、情報社会はますます進展しており、さらには多摩大学情報社会学研究所所長の公文俊平氏が主張するように、情報を価値・智識とみなす「智識社会の到来」も主張され始めている。
これだけ情報社会が発展すると、いわゆる「成熟期」に入っているように感じる者もいるかもしれないが、現代社会はまだまだS字カーブ理論でいうところの(「出現期」を過ぎたばかりの)「突破期」の時期であるといえよう。
すなわち、まだまだ情報社会の(初期を少し過ぎた)中期で、右肩上がりで発展をし続けているのである。
その証拠に、新しい情報インフラの整備、ソフトウェアやハードのさらなる開発などを挙げることができる。
この流れからいうと、まだまだ右肩上がりの発展は続き、もう少し経ったら成熟期に入り、その後場合によって定着期に入ることになる。
ただし、いままでの時代と違い、各期の周期はまったく読むことができない。
そもそも、情報社会で必要とされるものは、情報を正しく活用する能力である。
すなわち「情報リテラシー」のことを指す。
現代のような情報過多時代においては、まず情報を入手することが必要であるが、それと同時にそれら情報を正しく判別して、理解して、処理するという能力が必要になるのである。
最初に述べた「超情報社会」というのは、社会の情報発信や受け取りに、人間の「情報リテラシー」が追いつかなくなった時に到来したとも言えよう。
企業が製品やサービスに関する情報を発信しより利益を上げることや、消費者がその情報を受け取り生活を豊かにできることは情報社会の恩恵である。
しかし、それが行き過ぎとなり、すなわち過度の情報競争に陥り、企業は必要以上に、あるいはきちんと精査されていない情報を発信するようになってしまった。
また消費者は情報の過剰摂取による消化不良を起こし理解不能・誤判断に陥る状況になってしまった感がある。
上述松田氏が主張されるように、歴史的転換期に混乱はつきものである。
しかし、それを乗り越え、以前は資本主義の転換や工業社会への移行が進んできたのである。
このように企業を取りまく一環境(情報面)が大きく変容しているからこそ、いまいちど、情報社会の本質を見極めることが必要である。
そして、われわれがそのメリットを最大限享受するためにも、現代情報社会の弊害にきちんと向き合っていく智が重要となる。
構成
1企業のグローバル化がもたらす長時間労働
2企業・事業所のCSR(企業の社会的責任)として雇用創出
3情報通信技術(ICT)の発展が与えた企業社会の変容
4企業を取り巻く情報社会の変容とそれに伴う弊害
5メリットの多い新しい働き方「テレワーク」