企業のグローバル化がもたらす長時間労働
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2015年7月10日 (金) 06:22時点における版
企業のグローバル化がもたらす長時間労働
企業社会の変容・その1
(専門学校 東京スクールオブビジネス 専任教員 庄司一也)
現代の日本人は働きすぎであると言われている。
その理由はなんであろうか。
これにはさまざまな原因が考えられるが、そのひとつに「企業のグローバル化」が挙げられる。
1990年代中盤頃より本格化した企業のグローバル化、すなわち国際化・国際競争力の激化が、労働者の労働時間をいっそう長時間化させている。
厳密にいえば、バブル期から長時間労働化は問題になっていたが、その後の国際競争力の激化に伴い、各企業が生き残りをかけてリストラや業界再編を図った結果、労働者にそのしわ寄せが来て、長時間労働は本格化した。
いまや企業は国内のマーケットだけを見ているだけでは生き残っていくことはできない。
世界の新興国が力を付けてくることによって、競争相手として、あるいはお客様(消費者)として、重要な存在になっているのである。
一方で、グローバル化による企業の発展も事実である。
競争の激しい世界のマーケットを相手に確実に利益を上げ、業績を伸ばすことも可能になった。
しかし、グローバル化以降、企業を取り巻く環境は非常に厳しくなっている。
生産拠点を賃金の安い海外に移すことで、日本人の労働時間は短縮するかと思いきや、海外拠点の発展とともに、中国をはじめとした低賃金長時間労働者と競争されるかたちで、日本人労働者の労働時間が長時間化してしまった。
前述のとおり、「もともと日本人は働きすぎ」といわれていた。
しかし、昨今の経済情勢を受けて、さらなる長時間労働が現実のものとなり、多くの労働者が困難に陥っている。
とりわけ問題なのは、労働者の健康問題である。
長時間労働による過重労働やストレスにより、心身に支障をきたす者が続出している。
今後、企業に求められるものとして、「グローバル化のなかでの社員の健康問題の配慮」が重要になってくる。
週40時間以上の労働はもはや当たり前化しているなかで、うまく業務分担を行ったり、適宜休暇を取らせるなど、各配慮が必要になってくる。
企業社会環境が変化してくるなかで、労働者に求められるものも変化してくる。
労働者は自分を労働力として企業に貢献し対価を受け取るわけであるが、義務を果たすことは当然のこと、きちんと権利も主張しなければならない。
一方で、企業は、労働者(従業員)の声にしっかり耳を傾け、健全な経営を実施することが望まれる。
これは広い意味でCSR(corporate social responsibility 企業の社会的責任)にもつながることである。
「労働者あっての企業経営」ということを再認識してもらうと同時に、今後も企業の経営環境を見守っていきたい。
構成
1企業のグローバル化がもたらす長時間労働
2企業・事業所のCSR(企業の社会的責任)として雇用創出
3情報通信技術(ICT)の発展が与えた企業社会の変容
4企業を取り巻く情報社会の変容とそれに伴う弊害
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