家を飛び出して(2)

母が帰ってきてから、
失くしたものもあったけど、
得たものもあって、

信じ続けてきたけど、
その力は日に日に衰えていった。

そうして、今
私には何も無くなってしまったのかな?

見渡せば、たくさんの幸福があることを
分かっているのに…。なぜだろう?

今年を一漢字で表すなら、
私は『母』と答える。

仕事もしたし、いろんなことも
たくさんあったけど、
母と過ごした、この1年。

時に苦しく、時に愛しく、
時に厳しく、時に切なく、

甘えて、甘えられて、
悲しくて、嬉しくて、寂しくて、

……楽しかったよ。

書きながら、
不思議とそんな言葉が出てくる。

お母さん、ありがとね。

最近、私は「いつの日か」って、
ばかり言ってるけど、
母と過ごした、この1年を思い出して、
いつの日か笑っていたらいいな。

家を飛び出して(1)

現在、21時。

家にいるのが、
どうにも耐えられなくなって、飛び出した。

今夜は生温い強い風が吹いている。
雨が降ったのかな?地面が濡れている。

駅まで歩いてきた。

マックに入る。
100円のアイスウーロン茶を頼む。

店員さんに聞く。

「すみません、
ここのマックは何時まで開いていますか?」

「23時までです」

ありがとう。
夜遅くまで、お疲れ様です。

2階に上がる。

そういえば、1年前も私はここにいた気がする。

去年の11月に家を出て行っていた母が帰ってきた。

母との新しい生活が始まったが、
やっぱり私は耐えられずに、
家を飛び出して、夜のマックに来たことを思い出す。

あれから、いろんなことがあったな。
想いをめぐらせてみる。

やっぱり、怖いものは怖い。

どんな時でも、前向きに歩いていたかった。

もう足を止めることだけはしたくない。
そう思いながら、頑張って、頑張って…。

でも、もう無理だ。やっぱり、怖い。

いつもなら、
「きっとまた笑顔になれる」
「また幸せを見つけられる」と言ってきた。

言葉にすることで、そうなれると信じてきた。

でも、私はまた心から笑える日がくるのかな?
また幸せを見つけることができるのかな?

ただ、ただ、怖くて怖くて…。

そんな本当の気持ちを、
誰にも話せなくて。伝えられなくて。

だから、我慢している。隠している。
無理して笑顔を作って、嘘をついて。

何をやっているんだろう。
何がしたいのだろう。

どこに向かっているんだろう。
どこに行きたいのだろう。

今は考えれば考えるほど、分からなくなる。

愛を知るために変わっていく

私は変わってしまうことが、
寂しくて、怖くて…、仕方がない。

どうして変わってしまうのだろう?

好きだったものが嫌いになったり、
大切なものが大切にできなくなったり…。

そのぶん、
嫌いだったものが好きになったり、
大切にできなかったものが、
大切にできるようになったり。
それもあるのだと思う。

頭では分かっているけれど、
失った悲しみのほうを見てしまう。

その中でも、一番弱いのは『別れ』。

愛する人がいなくなる。
その現実を実感することができなくて、

「また明日、会おうね」の気持ちで
私は別れてしまった。

その後悔は15年以上続いた。
永遠の別れを信じられなかった私は、
現実や時間を止めてしまった。

時間が掛かってもいい。
今は変わってしまうことや、別れを
受け入れられるようになりたいと
本当に思っている。

「別れ」を受け止めることは、
その次の「出会い」を受け入れること。

「さようなら」の後には
「はじめまして」があって、

まだ見たことない世界が広がっている。
そして、そこには初めて出会う自分もいる。

楽しみにしながら、
たくさんの人達に出会って、
支え・支えられ…。

愛を知っていくんだろう。

謙虚に学ぶ

「今までの私はできていた!」
そんな想いがある。

だから、

「今の私はできなくなってしまった!」
と焦って、

「昔の私に戻りたい」とか思ったりしている。

できていたのではなく、
できなくなったのではなく、

ただ状況・状態が変わったという真実を
受け入れられたら、

少しは目の前のことに対して、
謙虚になれるのかもしれない。

悲しみが友のように

私は「仕事をしたければ、
心を閉ざさないと」と思ってきた。

自分の中にある、悲しみや恐れを
無視して生きること。

傷付くのが怖かったから、
傷付かない自分になろうとした。

心を閉ざせば、
目に見えるものは上手くいく。
実際に上手くいっていたのかもしれない。

けれど、やっぱり私が願うことは…。

「仕事をしながらでも、
目に見えないものを大切にしていきたい」
という想いだった。

現実的でないかもしれない。
笑われるかもしれない。
心を閉ざしたほうが楽なのかもしれない。

それでも、私は
目に見えないものを大切にしてきたから、
ここまで来ることができた。

いろんな人達に出会えて、
たくさんの愛に命を与えてもらった。

「ありがとう」

それは本当に奇跡だった。

ポルノグラフィティの
『シスター』という歌がある。

『悲しみが友のように語りかけてくる。
永遠に寄り添って、僕らは生きていく』

私の中にある、悲しみや恐れ…。

心を閉ざさずに向き合って、
共に歩いていこう、生きていこう。
永遠に寄り添って。

それはまるで友達のように。

信じてきたものが

絶対に「ある」と信じてきたものが、
本当は「なかった」と知った時、

私は、生きていけなくなる。
そのショックがあまりにも大きいから。

それでも「幸せ」になることはできる。

今まで、何度も挫折してきた。
今度こそ「幸せ」の道に進んでいこう。

悩みに優しく

置き去りにしている悩みがある。

向き合わなきゃいけないのに、
一人で向き合うには難しい課題。

どうしたらいいのだろう?
その前に私は何を望んでいるのだろう?

置き去りにしていたけど、
かまって、優しくしてあげよう。

きっと、また私を成長させてくれる。

気持ちを言葉に

今は自分の気持ちを
言葉にするのが難しいと感じる。

特にネガティブで後ろ向きになっている、
心がモヤモヤして整理できない、
そんな自分を話せないのが苦しい。

ネガティブでウジウジした後ろ向きな話は、
話せば話すほど、増していくし、
聞く方も困ってしまうだろうと思う。

何よりも、そんな自分自身が嫌なんだ。