四方の壁に取り込まれていた
力いっぱいこぶしを叩きつけた
壁からはぽろぽろと粉がこぼれるばかり
ひざまづき、血だらけの手の甲をなめる
力をなくした渡り鳥が
海に没していくような気分だった
四方の壁は僕をあざわらった
どこにもいけやしないぞと
変わることはない
まるで生まれて初めて父親に殴られた時のように
無力感が口の中に広がっていく
記憶が遠すぎて書き換えることができないように
ここから脱出することができない
光の浮遊に突如目を覚ます時
僕には見える
何千年も前からの壁
パラパラ落ちる土に何度も咳き込み
目をこすりつづける
誰かが鍵をかけていったみたいだ
この世界には一人しかいないのに