Archive for the ‘詩’ Category

141 リアルよりリアリティ

土曜日, 8月 1st, 2020

眠りと目覚め

世界をまたぐ

よびもどし


現実は付属物

もとよりあるのは

イメージの世界


夢や想念

といえるか

実体のつかめない

その事々が

あることそのもの


いくつもの

パラレルワールド

いくつもの自己


そして

今ある

この現実で

生き残ることこそが

オリジナルの

存在証明


ただ生きるのに

証明することも

確固たるものも

いらないけれど

140 ラインを超えて

木曜日, 7月 2nd, 2020

未知なる死の味

   こみあげてくる

  臓物の味

 

頭蓋の圧迫

   粘液質の

   重みのかたまり


 

 はじける鼓動

  激しく打って

  体の芯がとび出そう


 

乱れる呼吸

   息する苦しさ

   狂おしく


 

此岸と彼岸を

隔てる流れが

恐怖も安堵も

絡め取る


川面は目の前

水底深くも

蒸発していく

水の道筋


やがては

こちらとあちらを

分かつものも

消えてゆく

 

139  すばる

火曜日, 6月 2nd, 2020

 素晴

きみの声が

きこえない

 

素晴

きみの今は

どこにある

 

彼方からくる

合図の意味が

わからない

 

素晴

この世界では時々

確かな偶然を見る

 

読み取りがたい

暗示による

世界のほころびを見る

 

素晴

あなたの世界は

大丈夫だろうか

  

ひとりよがりではなく

共有される

世界だろうか

 

素晴

老婆心ながら

体には気をつけて

 

体らしきものが

あるのかどうかも 知ら

ないけれど

 

138 さまよい

土曜日, 5月 2nd, 2020

言葉の停滞

言語の解体

  言霊たちの

  本意を求めて

 

日を見ぬ閉塞

ひそかな生息

  居場所もないまま

  ようやく生かされ

 

道なき隠遁

未知なる混沌

  条理にこだわる

  自我をこえ

 

わずかな明り

かすかな脳裡

  統合うしない

  異界にまぎれ

 

あてなき彷徨

果てゆく徴候

  さまよい続ける

  しるしのもとに

137 この夜のことを

水曜日, 4月 1st, 2020

この

夜のことを

話そう


 相次ぐ偶然は

あるいは必然だった


 世界はエラーに

満ちていた


生死はつねに

曖昧だった


イメージの流れに

追いたてられる


末期的な夢幻の中に

まぎれこむ

 

生きてることの

根もとが揺らぐ

 

僕はこの夜

どこで

失敗したのだろう

136 クロスバイク

火曜日, 3月 3rd, 2020

クロスバイクの

軽い足

風を追いかけ

駆け抜ける





土壇場につき

形勢逆転

明日を見る目が

また変わる

苦楽のあいだ

谷深く

山は高く

天地の交わり

思いもかけない

ところに転がり

生きてる限りの

鼓動に戸惑う

135  現身

月曜日, 2月 3rd, 2020

不幸をしょってる

顔していても

不条理的な

幸福感の密かな湧出

この世この時

為されるがまま

波長にまかせて

浮くこころ

硬いよろいを

身にしていても

内は軟弱な

血肉のかたまり

この身この道

有るがまま

わたくし無くても

生きるうつせみ