Archive for the ‘詩’ Category

120 風もにわかに

土曜日, 11月 3rd, 2018

 

 

希薄な空気を

息する身体

 

濃密なヒミツの

波打つ脳内

 

実体らしきは

目に見えず

 

遠い金属質の

音の交錯

 

失われる

自我より帰すもの

 

到達のない

生死の遍歴

 

日と光

闇と夜気

 

風もにわかに

吹き溜まる

 

119  小舟

木曜日, 10月 4th, 2018

 

 

凍える人よ

我が身をくるむ

敷布をはがせ

 

飢えたる人よ

我が身をみたす

食餌をこばめ

 

寒さ

空腹

孤独

それらもあるいは

密かな快感

 

生きているから

痛むんだ

死に向かうから

道はあるんだ

 

行く方は

羅針盤の

針のさすまま

天道まかせ

 

うねる

波のまにまに

小舟が浮かぶ

 

118  眠り

月曜日, 9月 3rd, 2018

 

 

あたためる

 凍える心

あらためる

 歪んだ夜

 

ほとばしる

 今現在

先走る

 未来予想

 

いくつもの

 思いの片々

いつくしむ

 世の端々まで

 

いのちの選択

 枝わかれ

きもちの洗濯

 あらわれて

 

寝苦しい

 布団の中

めまぐるしい

 夢をみる

 

117  生まれたての詩

金曜日, 8月 3rd, 2018

 

 

暗示を拾いに

街に出る

見えない関係性を

確かめる

 

あらゆるものの

在りようは

偶然的必然か

必然的偶然か

 

不本意ながら

隠れた欲求は

すべてが繋がっているように

意味づける

 

人知れず落ちてる

夢のしるしの

暗示のさきには

異界さえ見え隠れ

 

この長い夜を

絡めとって

全身全霊で見る

幻像と現存

 

大丈夫

世界はいまだ美しい

問題ない

自分はいつも生まれたて

 

116  異界の人

火曜日, 7月 3rd, 2018

 

 

異次元の僕へ

 

傷んでいるなら

助けを求めて

 

異世界ながらも

僕にも傷みが

伝わってくる

 

目覚めるたびの

疲労感

覚醒とともに

心象はうすまりゆきつつ

次元をまたいだ

眠りからの生還

 

息苦しさと

震えにおそわれ

命からがら

起きあがる

 

異界の無数の

僕の一人が

傷つき

失われても

次元のパラレルのうち

僕は生きてる

 

そしてこの僕が死んでも

無数の僕らは

生きるだろう

 

115 世界の広さ

月曜日, 6月 4th, 2018

 

 

世界の片隅

小さな私の部屋にいる

 

窓からもれる

淡いともしび

 

内から見る外

外から見る内

 

異界の家々

それぞれに在る

 

閉じた空間

めぐらす思考

 

生まれ得ずして

あるトキも

 

死に絶えてさえ

あるトキも

 

繋がる時の間

永遠なる輪

 

末期的な

夢に見まわれ

 

世界の広さが

つかめない

 

114 ラジオと詩集と窓際と

水曜日, 5月 2nd, 2018

 

 

良質の音楽の

流れるラジオ

ありがちな詩集片手に

窓際座る

 

シュンタロウ氏は

宇宙人のようだ

リュウイチ氏は

格好いい酒呑み

 

マーシー氏は

詩をよむに違いない

ヒロト氏は

実は繊細なパンクロッカー

 

窓の外は雨が降って

濡れる窓枠

夏を告げる雨が降って

ブルルと雫はじく

 

流れるように

とはいかなくて

つまづき停滞しつつ

渇望のままに勉める