Archive for the ‘詩’ Category

190 沈む

日曜日, 12月 1st, 2024

お日さま沈む

斜陽のとき

いつのまにやら

くだり坂

 

過去は加工

してもいい

未来は見ない

ままでいい

 

世界は難しく

なりすぎた

生はなるべく

シンプルに

 

言葉を欲して

やまない生き物

抒情にひたる

暇はない

 

うねる激流

進みゆき

深い水底

沈みゆき

189 日のつなぎ目に

金曜日, 11月 1st, 2024

祭りのない秋

冬の訪れ

静かな景色と

空模様

 

途切れる意識の

はざまに在るもの

宙を掻く手と

確かさ執る手

夢とうつつが

頭蓋の裡に映り移ろい

 

眠れず見つめる

天井の

咲かない花のような

幾何学模様

希少な花たちが

開いてゆくのを見届けよう

 

去る日と来る日

まどろむ日のつなぎ目

のりしろが

重なりすぎたり

離れすぎたり

188 無機的な夜

火曜日, 10月 1st, 2024

夜は明けない

日は出ない

見えない路を

徘徊する

 

夢とも何とも

いえないところで

自らそこへと

入っていった

 

その隅っこは

暗かった

顔が闇に

埋ずもれた

 

そうだ僕は

なにものでもない

顔をもたない

無機物だ

 

そろいもそろって

よくもまあ

不毛さだらけで

つどったものだ

 

というよりそれは

集まりではなく

それぞれに在る

一人の僕だ

 

独りの闇で

虚空をつかんで

握ったこぶしを

解く指の一本ずつ

187 漂う夢

日曜日, 9月 1st, 2024

春が僕を

けだるい空気へ

誘いこむ

 

失われた夢のように

消えてゆくのは

あおい春

 

夢を

夢と認識するために

毎日めざめる

 

夢では現実を

目覚めれば夢を

忘却するばかり

 

目覚めなければ

夢は

永久に閉じられた

異世界

 

個人的であり

普遍的でもある

了解不能の世界

 

世界として

漂う夢らは

見えない

言えない

質量もない

186 青山

木曜日, 8月 1st, 2024

風にしたがう

空にかしずく

 

夜によりそう

日にひらかれる

 

そうして青山を

求めて歩く

 

それはおそらく

至るところにある

 

青山に立つことは

眠りか覚醒か

 

そこに満ちるのは

祈りか沈黙か

 

流れのままに

立つその地

 

救われるのか

失われるのか

185 ペンと水

月曜日, 7月 1st, 2024

手にもつスプーンを

ナイフにかえて

闘うことを

覚悟する

 

甘いミルクを

吸うのはやめて

勝利の美酒に

酔うため闘う

 

かざすナイフを

ペンにかえ

闘い方を

熟慮する

 

士気高める酒で

渇きは満たせず

万事をうるおす

清水を求める

184 未完の僕たち

土曜日, 6月 1st, 2024

十四才のはじけ方


 

十七才の倦怠感


 

歯をむいて立ち上がるのを

余儀なくしたのは

あなた方だ


 

人差し指を

天に向け

昇るイメージ

空の道


 

振りあげた

拳を解くのは

不本意だ


 

陽は輝いて

闇夜は深く

くり返される

波にのる


 

自分の足で

立つために

自分の目玉で

見るために


 

いまだ未完の

僕たちだ