176 最後の仔
ハンドサインで
助けを求めた
サインの意味も
知らないまま
宇宙内外の
はるかどこかに居るはずの
僕の親玉に
サインを送る
見放された仔の
無力と絶望
彼方からくる
暗示ももはや
途絶えがちで
混沌のうちから
この生を受けるも
生まれ落ちた衝撃で
使命も指令も
そんなものがあったのかさえ
忘れてしまった
そうして僕は
つぶされる
全身全霊
つぶさに滅びる
あなたの
最後の仔になる
覚悟はすでに
できていたのに