36. 夏の晩年

切迫した最期の
夏の到来は
記憶の中でぶよぶよしつつあって

ゆっくり弛緩しつづける
こよりみたい
つづく夏を重ねるたび

もはや静止でも
昂ぶりでもなく
無為のまま指先にふれてる緊迫の糸

無意にさぐる指先で
ほぐすこよりみたい
あの夏からすべての時間

来ぬ
すべての時間
脂汗と共にぶよぶよしつつあの夏の熱

切迫してなお
終わらぬ夏の
捻じ押出されるこよりみたいな

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