45. 言葉の墓標
音もない暗がりは
言葉のない世界だ
否
言葉のない世界とは
そう簡単なものではない
あらゆる感覚器の受容体の
スイッチをオフにして
体験する世界
とらえようのない間
対する客体のない主体
かつて詩人が
硬質な言葉によって
言葉のない世界を
反転表示のようにあらわした
それは今なお標しである
言葉によって
純粋精神はあらわし得るか
言葉によって
あらわすものは空虚でもある
言葉による構築
構築による言葉
自己解体に至る道
愚弄な言葉を
吐いては吸って
掃いては捨てて
言葉の墓標を立てつづける