14. キボウ

「希望の氾濫のなかで
 僕は溺死しそうだ」

という言葉を
何かの本で読んだ
実際僕は
無邪気で無責任な
愛すべきキボウのおかげで
かろうじてなんとか生きている

僕の小さなキボウたちは
僕自身の合理的精神に迫害されながら
それでもけなげに
えたいの知れないあやしげなエネルギーを
僕に与えて
僕を生きさせようとする

僕のキボウたちは
希望といっても
清く正しく明るいものではなく
いつも僕を
分裂させまやかしにおとしいれる
キボウたちはいつも
神出鬼没で夢のようで
未熟な僕をからかいつづける

さて僕は
いったいどこへ行くのだろう
夢のように夢をみて
恋のように恋をした
僕は
愛すべきキボウたちに
死へ追いたてられて
生へ生きさせられる

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