155 彼らの彼方

かくも生きづらかった

彼らの声を聞く


声さえ出せなかった

彼らの文字をたどる


文字さえ綴れなかった

彼らの沈黙を察する


自我はもはや

虫の息

消えてゆくのは

超えてゆくこと


人差し指を

天に向け

のぼり龍の鼻の先


腕を広げて

地に立って

降ってくるのはヤリの雨


地と天空の

はざまに生きて


無と存在の

彼方を目指す

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