143 井の中のかわず

深遠なるとされる

井戸の底で

無限なるとされる

大海を知らず


一三七億光年より

遠い世界が

あるのか

ないのか


そらを

いくら思い描いても

想像にあまる


井戸の外の大海は

蛙にとって

想像できないどころか

その有無さえ

知らない


そして

蛙が生きるうえで

そのことは

知らなくても

問題にならない


ひいては

大海を想うときこそ

困難と深遠を

生きることとなるに

違いない

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