藤田朋子「無償労働のなかの『見えない家事』——夫婦の家事分担調査からの検証」(p101~121)を読みました。 書かれたのは、最も新しい引用が総務省統計局「2006年社会生活基本調査」ホームページであり、それ以降となります。 これまで日本で行なわれている家族調査を大きく3分類しています。 1) 官公庁等の大規模調査 2) 家族社会学領域の調査 3) 家政学領域の調査
これら調査全体の家事関連項目をみると同一ではありませんが、私には衣食住に関連する家事労働と、子育てに関することの2つに分類できると理解されます。 介護および病人・障害者のケアは全ての調査において見られません。いずれこの部分も加わっていくでしょう。 1つの調査において、「回答者の基本的属性」を紹介しています。 大阪府内のある女子大学の卒業者で30代後半から40代になった人を対象としたアンケート調査(2007年7月実施、705通発送し284通の有効回答,p108)。これ以上の家族全員の構成を調べたものは見当たりません。実施したとしても集計は難しいと思えますが、その視点はない)。 上の2つの点がないので、家事の現実を調べる点では有効であるとしても、家族状態の変化を動かす部分への言及は出てこないでしょう。ヤングケアラーの問題もここからは光が当てられないのでは…。 この論文の内容に関しては、多くの論文をみて、全体状況を把握したうえで、改めて個々の点に入っていくのが妥当になると思います。