文通・交流誌『ひきコミ』の発行と休刊

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ある出版社が「不登校」をテーマにする出版企画を準備する過程で、以前に発行の『ひきコミ』を入手したい旨の連絡がありました。手持ちの『ひきコミ』を送付し、また問い合わせも簡単に答えました。以下は問合せへの返事です。

〈いくつかの質問がありますので、記憶がなくならないように返事を書きます。参考にはならない気がします。
雑誌からネット上のデータベースへの移行は、費用面の理由か?
市販版『ひきコミ』がなくなったのは出版社側の事情によります。編集に関する支払いは皆無でしたが、不登校情報センター直売の読者が相当数いましたし、多くの人が情報センターに集まり(居場所の形成)、多くの相談があり、親の会ができるなどの面で、編集費はなくても、私の側で市販版をなくす理由はありませんでした。
出版社は私の元いた出版社の営業部の人(T氏)で、その人の提案で市販版『ひきコミ』は始まったのです。しかし、市販版発行中の18か月の途中で、K氏(これも元同じ出版社の営業部)に交代し、K氏の関心が低かった(『ひきコミ』の販売数が減少?)ためと思います。市販の第1号は6000部でほぼ完売なのでよかったのですが、その後の発行・販売部数はわかりません。
19号(2003年9月に発行)以降は手作り版で、書店には並びません。記憶では手作り版の初期は2~300部であったと思います。売れ行きがいいわけはありません。投稿数も減り、内容は文通目的よりも、居場所に通う人や、親の会に参加する人たちを想定した、ひきこもりと周辺事情を説明した会報的なものになりました。平均すると3か月間2回ぐらい発行で、最後の97号は2012年4月の発行で、よく続いたものです。
実際に文通に参加した人は600人余です。文通が1回きりの人もいたでしょうし、10年以上続いた間柄の人もいるようです。市販版『ひきコミ』が途切れたおよそ8年後(2010年1~3月)に、これらの元文通者にアンケートをお願いしました。これは懇意にしていた通信制高校の協力によります。郵送したわけで転居などにより届かないものもありました。それでも約1割にあたる66名から回答がありました(アンケートの全文は「ひきコミWEB版」ページに掲載しています)。文通をしていたそれぞれの人の現状や文通についての思い出などが寄せられています。
「ひきコミWEB版」による文通はやめているのではありませんが、今はSNSの時代でほとんど機能していません。年に数人が「文通ボランティア」を希望する連絡をよこします。その全員が、不登校経験者、いじめの被害者にあたる人になります。自分の経験を生かしたいというものです。
文通を介してわかったことの1つは、アドバイスを求めていないことです。自分の苦しかった体験を理解してほしいことと、そして共感を求めているのです。これはきわめて重要なことです。文通によりアドバイスをしようとすると、その時点で連絡は途切れるものです——私が文通を仲介して得た最大の教訓といえます。
世の中で、一般に「文通」がどういう状況になっているのかわかりませんが、もしかしたら紙媒体なら文通のよびかけは成り立つかもしれません。〉

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